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66:お悩み相談会
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僕たちはすっかり
いつもの調子で
おしゃべりしながら
サンドイッチを食べた。
食べきれないほどあったのに
二人はどんどん料理を
口の中に入れていく。
二人は僕が休んでいる間の
学院の話をしてくれた。
僕は、騎士団を見学した時の
話をする。
二人とも「見学行きたかった」
「今度は一緒に行きましょう」と言ってくれる。
一般公開日は一緒に行こう、って
そう約束したころ、アンナが
レモンのケーキを持ってきてくれた。
紅茶を淹れなおして、
ケーキがテーブルに置かれる。
アンナが皿を下げながら、
「ぼっちゃま」と僕を呼んだ。
「だって、すっぱかったんだ」
僕がサラダの皿を
少し遠くに隠していたことに
アンナは気が付いてしまったみたいだ。
「……夕食では、
サラダを多めにお出しするよう
料理長に進言しておきます」
きっぱり言われ、
僕は、うう、って唸ってしまう。
アンナが僕が食べ残した
サラダの皿を手に取り、
ワゴンを押して出て行くと、
サイラスが「やっぱりすげぇ」という。
「何? アンナのこと?」
「公爵家の侍女って、
完璧っていうか……
エレ様に、野菜食べろとか言うんだな」
言われている意味が分からずに
僕が首をかしげると
ライリーが補足してれた。
「通常、使用人たちは
雇い主の言いなりなので、
ちゃんとエレ様のことを考え
苦言を言ってくれる侍女が
いるのは、すごいって
サイラスは言ってるんです」
下級貴族の使用人は
通いの平民たちが多いらしい。
平民は貴族の不興を買って
解雇されないよう
言われたことだけをするように、
教育されているんだとか。
「そうなんだ。
この屋敷のみんなは
使用人っていうより、
家族だから。
アンナはね、
僕が小さいころから
ずっとそばにいてくれてるんだ」
遊びも勉強もずっと一緒だったから
姉のような存在だと思う。
だから、
早く休んで、とか
お野菜食べて、とか
そういうことも言ってくれるんだ。
「使用人たちと家族って
いいですね」ってライリーは
笑顔で言ってくれる。
それに、ぬいぐるみも
可愛いですね、って
ラグに目を向けて言ってくれた。
「うん。僕ね、
あのラグの上で、
お昼寝するのが好きなんだ」
庭に面した大きな窓から
お花も見えるし、
日当たりも良い。
クッションに埋もれて
ひなたぼっこしたら
あっという間に眠くなるんだ。
「へぇ、エレ様も
床で寝たりするんだ」
とサイラスが驚いたように言い、
「同じ床でも、
おまえとは全然違う」って
ライリーが言う。
「ねぇ、一緒に
寝転がってみる?」
まだケーキは食べてないけれど。
僕は立ち上がって
ラグまで行くと、
二人を手招きした。
二人は、顔を見合わせて。
「いいのか?」
「やばくないか?」
とブツブツ言っていたけど。
僕が「早く」っていうと
恐る恐るという様子で
ラグまで来た。
「ほら、座って」
ぬいぐるみを抱っこして、
二人が座る場所を開ける。
「わ、やわらかい」
毛の長いラグの上に座った
ライリーが声を挙げる。
「すげぇ!
やっぱり侯爵家、すげえ!」
サイラスはそういうと、
いきなり、ごろん、と
寝転がり、ラグの上を
ごろごろと転がり始めた。
「サイラス!
いくらなんでもっ」
「いいよ、大丈夫」
慌てるライリーを
僕は笑って止めた。
僕もたまに、
気持ちよくてゴロゴロすることがある。
サイラスの気持ちはわかるもん。
サイラスがゴロゴロしている横で
僕はライリーにクッションを勧める。
「クッションがたくさんあるでしょ?
ここで一番、気持ちいい場所を
クッションで作るんだよ。
母様なんて、僕を見て
リスの巣作りだ、って言ったんだ」
僕がそう言うと、ライリーは笑った。
「エレ様がリスというのも、
可愛いですね。
それに発想が面白いです」
「うん」
って僕が返事をしたとき、
ライリーが満足したらしく
「なになに?」と
僕とライリーの間に入ってきた。
「お前の心臓の強さには
ほんと、感心するよ」
ライリーが言う。
「なんで?
俺、なんかしたか?」
「侯爵家の床を
縦横無尽に転げまわって
遊べるのはお前ぐらいだ」
呆れたようにライリーは
言ったけれど。
すぐに、視線を下げて
「まぁ、それが羨ましい
ところでもあるけど」と
小さく言った。
らしくない様子のライリーの
名前を呼んで、僕は
どうしたの? って聞いてみた。
するとライリーは、
肩をすくめて、
「僕はこんななんで」
っておどけるように言う。
「僕はこいつみたいに
考えずに動くなんて
できないですし、
何か行動するときは、
その後のリスクを
考えてしまう。
こういう僕は騎士には
向いてないんじゃないかって
たまに思うんです」
ライリーの言葉に
僕は驚いた。
なんでも良く気が付いて、
優しいライリーに、
そんな悩みがあるなんて。
「えー、俺にしてみたら
ライリーの方が
羨ましいけどな」
サイラスがすかさず言う。
「え? なんで?」
「だって俺、考える前に
体が動いちゃうだろ。
兄貴にも、そんなんじゃ
指揮官にはなれないから
騎士になっても、
一生、下級騎士だって
いつも言われてんだ」
サイラスは笑って言うけど、
ちょっとだけ、悲しそうな顔をしている。
二人がそんなことを
考えていたなんて、
思ってもみなかった。
だって僕にとっては
二人ともあこがれの
騎士候補なんだもの。
それに今は候補だけど
絶対に二人は
凄い騎士になると思う。
「あのね、僕、思ったんだけど」
僕が声を出すと、
二人が一斉に僕を見る。
「この前ね、
騎士団に見学に
行ったとき知ったんだけど」
僕は騎士団で働く
騎士たちを思い出した。
「騎士ってね、
訓練するばかりじゃなくて
書類の仕事があって、
いろんな部署に分かれてるんだ」
僕はライリーを見る。
「だから、騎士になっても
ライリーの良いところを
いかせる部署があると思う」
「僕の良さ、ですか?」
「うん。
ライリーは僕のこと、
良く見てくれているでしょ?
優しくて、親切で、
気配りができて。
それに考えることも得意だし。
騎士団にはね、
国の防衛とか戦略?
そんなのを考える部署があるんだ。
そういうのだったら、
ライリーの良さが発揮できると思う」
そういうと、
ライリーが、そんな部署が
あるんですね、って目を輝かせた。
「サイラスも、大丈夫だよ」
「俺が考えなしでも?」
と拗ねたように言い返されて、
つい、笑ってしまう。
サイラスも子供っぽいところが
あるんだと思うと、
内緒だけど、僕と一緒だって
ちょっと安心した。
「ガイが言うにはね、
僕の兄様は騎士団では
怖がられるみたいなんだ。
口数も少ないらしくて、
仲良しの同僚とか
そういう人もいないみたい。
でもね、兄様には副官がいて
その人が兄様の代わりに
部下の人たちと話をしたり
兄様の言葉が足りないところを
フォローしたりしてるんだって。
だからえっと……
適材適所?
自分が苦手なところは
一人で頑張らずに、
手伝ってくれる人に
お願いしたらいいと思う。
サイラスが考えずに
動いちゃうんだったら、
そんなサイラスを
補佐してくれる人に
近くにいてもらったら
騎士団長にだってなれるよ!」
だって兄も副官の人に
手伝ってもらってるんだもん。
そういうと、
サイラスは目を丸くする。
「俺が騎士団長?
エレ様に言われたら
なれる気がしてきた」
なんてサイラスが言う。
「おまえ、単純すぎ」
ってライリーが言うのを聞いて、
僕は「あ」って声を漏らしてしまった。
「どうしたんです?」
「なんだ?」
「ううん、なんでもない」
って僕は言ったけれど。
だからサイラスの隣には
ライリーがいるんだな、って
納得したんだ。
でもそれを言ったら、
ライリーが嫌がりそうな
気がしたから。
僕は「内緒だよ」って
笑ってごまかした。
いつもの調子で
おしゃべりしながら
サンドイッチを食べた。
食べきれないほどあったのに
二人はどんどん料理を
口の中に入れていく。
二人は僕が休んでいる間の
学院の話をしてくれた。
僕は、騎士団を見学した時の
話をする。
二人とも「見学行きたかった」
「今度は一緒に行きましょう」と言ってくれる。
一般公開日は一緒に行こう、って
そう約束したころ、アンナが
レモンのケーキを持ってきてくれた。
紅茶を淹れなおして、
ケーキがテーブルに置かれる。
アンナが皿を下げながら、
「ぼっちゃま」と僕を呼んだ。
「だって、すっぱかったんだ」
僕がサラダの皿を
少し遠くに隠していたことに
アンナは気が付いてしまったみたいだ。
「……夕食では、
サラダを多めにお出しするよう
料理長に進言しておきます」
きっぱり言われ、
僕は、うう、って唸ってしまう。
アンナが僕が食べ残した
サラダの皿を手に取り、
ワゴンを押して出て行くと、
サイラスが「やっぱりすげぇ」という。
「何? アンナのこと?」
「公爵家の侍女って、
完璧っていうか……
エレ様に、野菜食べろとか言うんだな」
言われている意味が分からずに
僕が首をかしげると
ライリーが補足してれた。
「通常、使用人たちは
雇い主の言いなりなので、
ちゃんとエレ様のことを考え
苦言を言ってくれる侍女が
いるのは、すごいって
サイラスは言ってるんです」
下級貴族の使用人は
通いの平民たちが多いらしい。
平民は貴族の不興を買って
解雇されないよう
言われたことだけをするように、
教育されているんだとか。
「そうなんだ。
この屋敷のみんなは
使用人っていうより、
家族だから。
アンナはね、
僕が小さいころから
ずっとそばにいてくれてるんだ」
遊びも勉強もずっと一緒だったから
姉のような存在だと思う。
だから、
早く休んで、とか
お野菜食べて、とか
そういうことも言ってくれるんだ。
「使用人たちと家族って
いいですね」ってライリーは
笑顔で言ってくれる。
それに、ぬいぐるみも
可愛いですね、って
ラグに目を向けて言ってくれた。
「うん。僕ね、
あのラグの上で、
お昼寝するのが好きなんだ」
庭に面した大きな窓から
お花も見えるし、
日当たりも良い。
クッションに埋もれて
ひなたぼっこしたら
あっという間に眠くなるんだ。
「へぇ、エレ様も
床で寝たりするんだ」
とサイラスが驚いたように言い、
「同じ床でも、
おまえとは全然違う」って
ライリーが言う。
「ねぇ、一緒に
寝転がってみる?」
まだケーキは食べてないけれど。
僕は立ち上がって
ラグまで行くと、
二人を手招きした。
二人は、顔を見合わせて。
「いいのか?」
「やばくないか?」
とブツブツ言っていたけど。
僕が「早く」っていうと
恐る恐るという様子で
ラグまで来た。
「ほら、座って」
ぬいぐるみを抱っこして、
二人が座る場所を開ける。
「わ、やわらかい」
毛の長いラグの上に座った
ライリーが声を挙げる。
「すげぇ!
やっぱり侯爵家、すげえ!」
サイラスはそういうと、
いきなり、ごろん、と
寝転がり、ラグの上を
ごろごろと転がり始めた。
「サイラス!
いくらなんでもっ」
「いいよ、大丈夫」
慌てるライリーを
僕は笑って止めた。
僕もたまに、
気持ちよくてゴロゴロすることがある。
サイラスの気持ちはわかるもん。
サイラスがゴロゴロしている横で
僕はライリーにクッションを勧める。
「クッションがたくさんあるでしょ?
ここで一番、気持ちいい場所を
クッションで作るんだよ。
母様なんて、僕を見て
リスの巣作りだ、って言ったんだ」
僕がそう言うと、ライリーは笑った。
「エレ様がリスというのも、
可愛いですね。
それに発想が面白いです」
「うん」
って僕が返事をしたとき、
ライリーが満足したらしく
「なになに?」と
僕とライリーの間に入ってきた。
「お前の心臓の強さには
ほんと、感心するよ」
ライリーが言う。
「なんで?
俺、なんかしたか?」
「侯爵家の床を
縦横無尽に転げまわって
遊べるのはお前ぐらいだ」
呆れたようにライリーは
言ったけれど。
すぐに、視線を下げて
「まぁ、それが羨ましい
ところでもあるけど」と
小さく言った。
らしくない様子のライリーの
名前を呼んで、僕は
どうしたの? って聞いてみた。
するとライリーは、
肩をすくめて、
「僕はこんななんで」
っておどけるように言う。
「僕はこいつみたいに
考えずに動くなんて
できないですし、
何か行動するときは、
その後のリスクを
考えてしまう。
こういう僕は騎士には
向いてないんじゃないかって
たまに思うんです」
ライリーの言葉に
僕は驚いた。
なんでも良く気が付いて、
優しいライリーに、
そんな悩みがあるなんて。
「えー、俺にしてみたら
ライリーの方が
羨ましいけどな」
サイラスがすかさず言う。
「え? なんで?」
「だって俺、考える前に
体が動いちゃうだろ。
兄貴にも、そんなんじゃ
指揮官にはなれないから
騎士になっても、
一生、下級騎士だって
いつも言われてんだ」
サイラスは笑って言うけど、
ちょっとだけ、悲しそうな顔をしている。
二人がそんなことを
考えていたなんて、
思ってもみなかった。
だって僕にとっては
二人ともあこがれの
騎士候補なんだもの。
それに今は候補だけど
絶対に二人は
凄い騎士になると思う。
「あのね、僕、思ったんだけど」
僕が声を出すと、
二人が一斉に僕を見る。
「この前ね、
騎士団に見学に
行ったとき知ったんだけど」
僕は騎士団で働く
騎士たちを思い出した。
「騎士ってね、
訓練するばかりじゃなくて
書類の仕事があって、
いろんな部署に分かれてるんだ」
僕はライリーを見る。
「だから、騎士になっても
ライリーの良いところを
いかせる部署があると思う」
「僕の良さ、ですか?」
「うん。
ライリーは僕のこと、
良く見てくれているでしょ?
優しくて、親切で、
気配りができて。
それに考えることも得意だし。
騎士団にはね、
国の防衛とか戦略?
そんなのを考える部署があるんだ。
そういうのだったら、
ライリーの良さが発揮できると思う」
そういうと、
ライリーが、そんな部署が
あるんですね、って目を輝かせた。
「サイラスも、大丈夫だよ」
「俺が考えなしでも?」
と拗ねたように言い返されて、
つい、笑ってしまう。
サイラスも子供っぽいところが
あるんだと思うと、
内緒だけど、僕と一緒だって
ちょっと安心した。
「ガイが言うにはね、
僕の兄様は騎士団では
怖がられるみたいなんだ。
口数も少ないらしくて、
仲良しの同僚とか
そういう人もいないみたい。
でもね、兄様には副官がいて
その人が兄様の代わりに
部下の人たちと話をしたり
兄様の言葉が足りないところを
フォローしたりしてるんだって。
だからえっと……
適材適所?
自分が苦手なところは
一人で頑張らずに、
手伝ってくれる人に
お願いしたらいいと思う。
サイラスが考えずに
動いちゃうんだったら、
そんなサイラスを
補佐してくれる人に
近くにいてもらったら
騎士団長にだってなれるよ!」
だって兄も副官の人に
手伝ってもらってるんだもん。
そういうと、
サイラスは目を丸くする。
「俺が騎士団長?
エレ様に言われたら
なれる気がしてきた」
なんてサイラスが言う。
「おまえ、単純すぎ」
ってライリーが言うのを聞いて、
僕は「あ」って声を漏らしてしまった。
「どうしたんです?」
「なんだ?」
「ううん、なんでもない」
って僕は言ったけれど。
だからサイラスの隣には
ライリーがいるんだな、って
納得したんだ。
でもそれを言ったら、
ライリーが嫌がりそうな
気がしたから。
僕は「内緒だよ」って
笑ってごまかした。
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