82 / 132
81:別荘へ
しおりを挟む
あっという間に、
旅行に行く日が来た。
ガイの別荘がある場所は
馬で移動するのなら
1日ぐらいの距離らしい。
でも、今回は馬車だし、
僕がいるから
ゆっくり移動する予定だという。
どれぐらいかかるか聞くと、
僕の体調に合わせて
休憩を増やしたり、
途中の町で宿を
取ることもあるから、
余裕を見て
3日ぐらいだと言われた。
3日!
僕はそんなに馬車に乗れるかな。
そう思ったけれど。
疲れたら休めばいいし、
途中、立ち寄った町が
気に入ればそこで
宿泊してもいい。
焦らずのんびり旅行しよう
と、ガイは言う。
仕事は大丈夫なのかと
思ったけれど、
ガイは有給休暇が
山ほど残っているからと、
2週間ほど休みを取ったらしい。
なら心配ないのかな。
今から行くガイの別荘は
温泉が湧いていて、
一日中入れるという。
凄すぎる!
別荘には管理人がいて、
侍女たちも手配しているから
護衛も侍女も連れてこなくて
構わないって言われたけれど、
僕は護衛のケインと
侍女のアンナには
ついてきてもらうことにした。
兄もその方が良いっていうし、
やっぱり知らない場所は
不安だもん。
僕がガイと婚約して
良かったと思うのが、
ガイが結婚したら
バーンズ侯爵家で一緒に
住んでくれることだ。
だって、僕がもし
どこかの家に嫁ぐとかに
なったら、誰も知らない家に
一人で行くってことでしょ?
絶対に無理、って思う。
僕がそんなことを
言ったときは、アンナは
「このアンナ、
ぼっちゃまがどこに
嫁がれようとも、
どこまでもついていきます。
ご安心を」
なんて言ってたけれど。
ホントにアンナは頼りになる。
今も僕の旅行の準備を終えて
鞄のチェックをしている。
アンナは自分の荷物も
準備しないとダメだったのに、
忙しい素ぶりも見せず、
一人で旅行の準備を整えてくれたんだ。
馬車に乗せるクッションとか、
途中で食べるおやつなんかも
準備してくれたし、
僕は一番お気に入りの
ぬいぐるみを1つだけ
持っていくことにした。
ガイにそっくりな
獅子のぬいぐるみだ。
小さいからポケットに入れられるし、
持ち歩いても負担にならない。
旅行では僕が乗る馬車は
ブレイトン公爵家の
馬車を使うけれど、
アンナやケインは、
バーンズ侯爵家の馬車を使う。
両家の馬車が並んで
移動することで、
二家が仲良しだってことを
周囲に伝える意味があるらしい。
そういう政治的なことも
僕はこれから
覚えていく必要がある。
とはいえ、当分の間、
バーンズ侯爵領のことは
父がやってくれるって
言っていた。
それどころか
「エレミアスが
老後まで遊んで
暮らせるように
もうひと財産、
築いておいてやる」
なんて言っていた。
父は本当にすごい。
王都にあるタウンハウスは
本来、社交をするための
場所だから、
父が領地経営を
頑張ってくれるなら
僕は社交を頑張ろうと思う。
僕の領地で作ったものを
宣伝したり、新しい
情報を仕入れたりするんだ。
そういうのは
ティーナが教えてくれた。
ただ兄は今まで
バーンズ侯爵家は
社交に力を入れてこなかったし、
これ以上、地位も権力も
必要ないから、
頑張らなくてもいい、
って言ってくれている。
ガイも社交は苦手らしいから
まずはできることから
ガイと一緒に
やっていこうと思う。
ふと、馬車の音が
聞こえたような気がして
僕は顔を上げた。
「ぼっちゃま」
アンナが窓の外に
視線を向けた。
ブレイトン公爵家の馬車が
屋敷に入ってくるのが見える。
と、僕の部屋の扉を
ノックする音がした。
アンナが返事をして
扉を開けると
ケインが立っている。
「お迎えが参りました」
ケインの言葉に
アンナが準備をしたカバンを持つ。
「参りましょう」
アンナの言葉に僕は大きくうなずく。
「うん、行こう」
僕は二人を連れて
玄関へと向かった。
両親と兄とは
朝食を食べたときに、
出発の挨拶はしている。
両親はタウンハウスで
しばらくゆっくり
するみたいだけれど、
今日は王宮に呼ばれていて
すでに出かけている。
兄はもう仕事に出ているから
見送ってくれるのは
セバスチャンたちだ。
玄関に出ると、すでに
ガイが馬車から降りてきて
セバスチャンと何か
話をしている。
「ガイ、おはよう」
僕が声をかけると、
ガイは嬉しそうな顔をする。
「今日も可愛いな」
なんて挨拶の前に
言うもんだから、
セバスチャンの顔が
いつも以上におだやかになる。
ほほえましい何かを
見守る表情だ。
「ぼっちゃま、
何か不都合があれば
ケインかアンナに必ず言うんですぞ」
「不都合って?」
アンナの準備は万端だと思うけど。
「不都合は、不都合でございます。
特に夜に起こった不都合は……」
「セバス、大丈夫だよ
ガイがそばにいてくれるもん」
「そ、そうでございますか。
ですが、しかし、夜は!」
「夜もガイがそばにいてくれると思うよ、
ね?」
とガイを振り返ったら、
ガイは真っ赤な顔をしていた。
「ガイディス殿。
くれぐれも、くれぐれも
よろしく頼みましたぞ」
セバスチャンがガイに
必死な様子で迫った。
「もう、セバスは
兄様と同じぐらい
過保護なんだから」
僕は笑ってしまう。
「心配しないで。
もう僕は大人だもん!
婚約したんだから!」
「いいえ、ぼっちゃまは
まだまだ子供でございます。
いいですか、ぼっちゃま。
婚約しても、子供は子供。
していいことと、
悪いことがあるのでございます」
「わかってるってば。
僕だって初めての場所で
はしゃいで、体調を崩したり
しないように気を付けるよ」
僕がそういうと
セバスチャンは、しぶしぶと
言った様子で引き下がった。
「アンナ、ケイン、
ぼっちゃまのことを
頼みましたぞ」
引き下がったと思ったら、
セバスチャンは今度は
アンナとケインに詰め寄っている。
「もう、セバスってば」
僕が学院に行く以外は
屋敷から出たことがないから、
心配で仕方がないのだろう。
「ごめんね、ガイ。
セバスは心配性なんだ」
「いいや、その心配は
もっともだ。
俺も自分を抑えきれるか
心配だしな」
ん?
どういう意味?
「い、いや、なんでもない。
では行くか」
「うん!
セバス、行ってくるね。
お土産持って帰ってくるから
楽しみにしてて」
「はい、いってらっしゃいませ」
僕が馬車に乗り込むと、
後ろの馬車にケインと
アンナも乗る。
僕たち以外が乗る
馬車もちゃんとあって。
アンナたちの馬車の後ろには
僕の家の馬車が1台と
ブレイトン公爵家の馬車が2台。
僕の家の馬車には
僕たちの荷物を載せているけれど、
ブレイトン公爵家の馬車には
荷物だけでなく、
数人の侍女や侍従、
あと護衛騎士たちも
乗っているらしい。
馬車の周囲は
ブレイトン公爵家の
騎士たちが騎乗で
護衛してくれるようだ。
馬車の中はクッションが
沢山あって乗り心地も良い。
ガイは疲れたら
膝に乗ればいい、と
言ってくれている。
もう今から
楽しくて仕方がない。
「行ってきまーす」
と、僕は馬車の窓から
セバスチャンたちに手を振った。
旅行に行く日が来た。
ガイの別荘がある場所は
馬で移動するのなら
1日ぐらいの距離らしい。
でも、今回は馬車だし、
僕がいるから
ゆっくり移動する予定だという。
どれぐらいかかるか聞くと、
僕の体調に合わせて
休憩を増やしたり、
途中の町で宿を
取ることもあるから、
余裕を見て
3日ぐらいだと言われた。
3日!
僕はそんなに馬車に乗れるかな。
そう思ったけれど。
疲れたら休めばいいし、
途中、立ち寄った町が
気に入ればそこで
宿泊してもいい。
焦らずのんびり旅行しよう
と、ガイは言う。
仕事は大丈夫なのかと
思ったけれど、
ガイは有給休暇が
山ほど残っているからと、
2週間ほど休みを取ったらしい。
なら心配ないのかな。
今から行くガイの別荘は
温泉が湧いていて、
一日中入れるという。
凄すぎる!
別荘には管理人がいて、
侍女たちも手配しているから
護衛も侍女も連れてこなくて
構わないって言われたけれど、
僕は護衛のケインと
侍女のアンナには
ついてきてもらうことにした。
兄もその方が良いっていうし、
やっぱり知らない場所は
不安だもん。
僕がガイと婚約して
良かったと思うのが、
ガイが結婚したら
バーンズ侯爵家で一緒に
住んでくれることだ。
だって、僕がもし
どこかの家に嫁ぐとかに
なったら、誰も知らない家に
一人で行くってことでしょ?
絶対に無理、って思う。
僕がそんなことを
言ったときは、アンナは
「このアンナ、
ぼっちゃまがどこに
嫁がれようとも、
どこまでもついていきます。
ご安心を」
なんて言ってたけれど。
ホントにアンナは頼りになる。
今も僕の旅行の準備を終えて
鞄のチェックをしている。
アンナは自分の荷物も
準備しないとダメだったのに、
忙しい素ぶりも見せず、
一人で旅行の準備を整えてくれたんだ。
馬車に乗せるクッションとか、
途中で食べるおやつなんかも
準備してくれたし、
僕は一番お気に入りの
ぬいぐるみを1つだけ
持っていくことにした。
ガイにそっくりな
獅子のぬいぐるみだ。
小さいからポケットに入れられるし、
持ち歩いても負担にならない。
旅行では僕が乗る馬車は
ブレイトン公爵家の
馬車を使うけれど、
アンナやケインは、
バーンズ侯爵家の馬車を使う。
両家の馬車が並んで
移動することで、
二家が仲良しだってことを
周囲に伝える意味があるらしい。
そういう政治的なことも
僕はこれから
覚えていく必要がある。
とはいえ、当分の間、
バーンズ侯爵領のことは
父がやってくれるって
言っていた。
それどころか
「エレミアスが
老後まで遊んで
暮らせるように
もうひと財産、
築いておいてやる」
なんて言っていた。
父は本当にすごい。
王都にあるタウンハウスは
本来、社交をするための
場所だから、
父が領地経営を
頑張ってくれるなら
僕は社交を頑張ろうと思う。
僕の領地で作ったものを
宣伝したり、新しい
情報を仕入れたりするんだ。
そういうのは
ティーナが教えてくれた。
ただ兄は今まで
バーンズ侯爵家は
社交に力を入れてこなかったし、
これ以上、地位も権力も
必要ないから、
頑張らなくてもいい、
って言ってくれている。
ガイも社交は苦手らしいから
まずはできることから
ガイと一緒に
やっていこうと思う。
ふと、馬車の音が
聞こえたような気がして
僕は顔を上げた。
「ぼっちゃま」
アンナが窓の外に
視線を向けた。
ブレイトン公爵家の馬車が
屋敷に入ってくるのが見える。
と、僕の部屋の扉を
ノックする音がした。
アンナが返事をして
扉を開けると
ケインが立っている。
「お迎えが参りました」
ケインの言葉に
アンナが準備をしたカバンを持つ。
「参りましょう」
アンナの言葉に僕は大きくうなずく。
「うん、行こう」
僕は二人を連れて
玄関へと向かった。
両親と兄とは
朝食を食べたときに、
出発の挨拶はしている。
両親はタウンハウスで
しばらくゆっくり
するみたいだけれど、
今日は王宮に呼ばれていて
すでに出かけている。
兄はもう仕事に出ているから
見送ってくれるのは
セバスチャンたちだ。
玄関に出ると、すでに
ガイが馬車から降りてきて
セバスチャンと何か
話をしている。
「ガイ、おはよう」
僕が声をかけると、
ガイは嬉しそうな顔をする。
「今日も可愛いな」
なんて挨拶の前に
言うもんだから、
セバスチャンの顔が
いつも以上におだやかになる。
ほほえましい何かを
見守る表情だ。
「ぼっちゃま、
何か不都合があれば
ケインかアンナに必ず言うんですぞ」
「不都合って?」
アンナの準備は万端だと思うけど。
「不都合は、不都合でございます。
特に夜に起こった不都合は……」
「セバス、大丈夫だよ
ガイがそばにいてくれるもん」
「そ、そうでございますか。
ですが、しかし、夜は!」
「夜もガイがそばにいてくれると思うよ、
ね?」
とガイを振り返ったら、
ガイは真っ赤な顔をしていた。
「ガイディス殿。
くれぐれも、くれぐれも
よろしく頼みましたぞ」
セバスチャンがガイに
必死な様子で迫った。
「もう、セバスは
兄様と同じぐらい
過保護なんだから」
僕は笑ってしまう。
「心配しないで。
もう僕は大人だもん!
婚約したんだから!」
「いいえ、ぼっちゃまは
まだまだ子供でございます。
いいですか、ぼっちゃま。
婚約しても、子供は子供。
していいことと、
悪いことがあるのでございます」
「わかってるってば。
僕だって初めての場所で
はしゃいで、体調を崩したり
しないように気を付けるよ」
僕がそういうと
セバスチャンは、しぶしぶと
言った様子で引き下がった。
「アンナ、ケイン、
ぼっちゃまのことを
頼みましたぞ」
引き下がったと思ったら、
セバスチャンは今度は
アンナとケインに詰め寄っている。
「もう、セバスってば」
僕が学院に行く以外は
屋敷から出たことがないから、
心配で仕方がないのだろう。
「ごめんね、ガイ。
セバスは心配性なんだ」
「いいや、その心配は
もっともだ。
俺も自分を抑えきれるか
心配だしな」
ん?
どういう意味?
「い、いや、なんでもない。
では行くか」
「うん!
セバス、行ってくるね。
お土産持って帰ってくるから
楽しみにしてて」
「はい、いってらっしゃいませ」
僕が馬車に乗り込むと、
後ろの馬車にケインと
アンナも乗る。
僕たち以外が乗る
馬車もちゃんとあって。
アンナたちの馬車の後ろには
僕の家の馬車が1台と
ブレイトン公爵家の馬車が2台。
僕の家の馬車には
僕たちの荷物を載せているけれど、
ブレイトン公爵家の馬車には
荷物だけでなく、
数人の侍女や侍従、
あと護衛騎士たちも
乗っているらしい。
馬車の周囲は
ブレイトン公爵家の
騎士たちが騎乗で
護衛してくれるようだ。
馬車の中はクッションが
沢山あって乗り心地も良い。
ガイは疲れたら
膝に乗ればいい、と
言ってくれている。
もう今から
楽しくて仕方がない。
「行ってきまーす」
と、僕は馬車の窓から
セバスチャンたちに手を振った。
54
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの二人は、スキルを得た事で魔王討伐に旅立つ勇者と彼の帰還を待つだけのただの親友となる。
勇者と親友の無自覚両片想いのじれったい恋愛の物語。
聖女を演じた巻き添え兄は、王弟殿下の求愛から逃げられない
深嶋(深嶋つづみ)
BL
谷口理恩は一年ほど前、妹と一緒に異世界に転移してしまった。
聖女として魔術の才を開花させた妹・世奈のおかげもあって、二人はアルゼノール王国の大教会に保護され、不自由のない暮らしを送ることができている。が、最近は世奈の奔放さに理恩は頭を抱えることもあった。
ある日、世奈の仕事を肩代わりした理恩は、病に臥せっている幼い第二王子・イヴァン王子のもとに参じることに。
――「僕が大人になったら、僕の妃になってくれませんか」。
何度も謁見を重ねるうちに理恩に懐いた彼は、目の前の聖女が偽者であることに気付かぬまま、やがて理恩に求愛する。
理恩は驚き、後ろめたい気持ちを抱きながらも、「大人になっても同じ気持ちでいてくれたなら」と約束を交わした。
その直後、何者かの陰謀に陥れられた世奈の巻き添えとなり、理恩は辺境の地へと飛ばされてしまい……。
――数年後、アルゼノール王国を出て世界中を巡っていた理恩は、とある国で偶然、王弟・イヴァンと再会する。
傷心の旅をしているのだという彼は、どういうわけか理恩との交流を持ちたがって――?
「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている
歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が
ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が
一人分減るな、と思っただけ。
ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。
しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、
イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。
3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された
ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。
「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」
「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」
薄紅の檻、月下の契り
雪兎
BL
あらすじ
大正十年、華やかな文明開化の影で、いまだ旧き因習が色濃く残る帝都。
没落しかけた名家に生まれた“Ω(オメガ)”の青年・白鷺伊織は、家を救うため政略的な「番(つがい)」として差し出される運命にあった。
しかし縁談の相手は、冷酷無慈悲と噂される若き実業家であり“α(アルファ)”の当主・九条鷹司。
鉄道・銀行事業で財を成した九条家は、華族でもありながら成り上がりと蔑まれる存在。
一方の伊織は、旧華族の矜持を胸に秘めながらも、Ωであるがゆえに家族から疎まれてきた。
冷ややかな契約婚として始まった同居生活。
だが、伊織は次第に知ることになる。
鷹司がΩを所有物としてではなく、一人の人間として尊重しようとしていることを。
発情期を巡る制度、番契約を強制する家制度、そして帝都に広がる新思想。
伝統と自由のはざまで揺れながら、二人は「選ばされた番」から「自ら選ぶ伴侶」へと変わっていく——。
月明かりの下、交わされるのは支配ではなく、誓い。
大正浪漫薫る帝都で紡がれる、運命を超える愛の物語。
遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。
月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」
幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。
「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」
何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。
「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」
そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。
僕、殿下に嫌われちゃったの?
実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。
断罪回避のために親友と仮婚約したはずが、想像以上に執着されていた。
鷲井戸リミカ
BL
ある日アーサーは、自分がネット小説の世界に転生していることに気が付いた。前世の記憶によれば親友のフェルディナンドは、悪役令息という役割らしい。最終的に婚約者から婚約破棄され、断罪後は国外追放されてしまうのだとか。
大事な親友が不幸になるのを見過ごすわけにはいかない。とにかく物語の主人公たちから距離をとらせようと、アーサーはフェルディナンドを自分の婚約者にしてしまった。
とりあえず仮婚約という形にしておいて、学園を卒業したら婚約を解消してしまえばいい。そう考えていたはずがアーサーのとある発言をきっかけに、フェルディナンドの執着が明らかになり……。
ハッピーエンドです。
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
拗らせ問題児は癒しの君を独占したい
結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。
一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。
補習課題のペアとして出会った二人。
セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。
身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。
期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。
これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる