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95:町歩き
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翌朝、目が覚めたら
僕は自分が与えられた部屋で寝ていた。
昨日はガイの部屋のベットで
眠ったはずなのに。
どういうこと?
って思っていたら、
アンナの声がする。
僕が返事をすると、
アンナがワゴンを押して
部屋に入ってきた。
「おはようございます、
ぼっちゃま」
「おはよう、アンナ」
「本日はどうされますか?」
僕はワゴンを見た。
「ミルクティーがいいな」
そう言うと、アンナはすぐに
モーニングティーを淹れてくれる。
アンナは僕がベットで
お茶を飲んでいる間に
僕の着替えや洗面所の準備を整えた。
「アンナ、ガイは?」
「朝早くから
庭で鍛錬をしておりました」
「そうなの?
僕、寝坊しちゃったかな」
「いいえ、あの者が
早起きなだけでございます」
アンナがなぜか
トゲトゲの口調で言う。
「それよりもぼっちゃま、
本日は町へ行かれると聞きましたが」
「そうなの?」
昨日の話では、
今日は森を散策するはずだったけど。
「なんでも今日は、
花まつりが開催されているとか」
「お祭り?」
それは行ってみたい。
「そこで、ぼっちゃまの
体調が良いようであれば、
祭りを見に行こうかという
話が出ております」
「そうなんだ。
僕、行ってみたい」
そう言うと、アンナは
かしこまりました、と
いつもとは違う服を出してくる。
「町歩きですと、
この辺りの服がよろしいかと」
「うん、ありがとう」
僕はベットから下りて
着替えることにした。
いつもよりもシンプルで
ボタンがない服だ。
僕が着替えたあたりで、
部屋をノックする音が聞こえる。
「エレ、起きたか?」
「ガイ、おはよう」
ガイが扉を開けて顔をのぞかせた。
「よかったら、今日は
町に行ってみないか?」
「うん、行きたい」
「よし」
僕はアンナにお礼を言い、
ガイの手を取る。
「今からなら
まだ朝市が出ている。
朝食は外で食べないか?」
「朝市?
そうする!」
僕が言うと、
アンナがすぐさま
僕の隣に着て、
僕にフードを被せた。
「外は風が強く、
お肌を傷つけるかもしれません。
どうぞ、それをかぶってお出かけください」
過保護だなぁ、って思うけど、
僕は、わかった、って素直に言う。
僕はフードのポケットに
一緒に寝ていた
獅子のぬいぐるみを入れた。
なんとなくだけど、
初めての町に
連れて行ってあげたくなったんだ。
僕はガイに連れられて
馬車に乗った。
アンナも一緒に来るかと
思ったけれど、
馬車に一緒に乗り込んだのは
ケインだった。
ケイン以外の護衛も
ちゃんと付いてきてくれるらしい。
ガイが言うには、
治安が良い町なので
普段は護衛がいなくても
町歩きぐらいなら大丈夫だけど、
今日は祭りがあるため、
他の領地から観光客が
数多く来ているから、
護衛は必須だという。
それから人が多いから
僕にはぐれないように、
と、ケインもガイも何度も言う。
もう僕は子どもじゃないのに。
と、ちょっとだけ不貞腐れてしまった。
町のはずれで馬車を降りて、
僕は「わぁ」と声を漏らした。
見たこともないほど、
多くの人がいる。
馬車は祭りのため、
町には入れないので
ここから歩くという。
僕はガイと手を繋いで
ゆっくり足を進めた。
人が多くて、
自分のペースで歩けない。
僕がまごまごしていると
ガイが僕を抱き上げてくれた。
「見たいものはあるか?」
「うん、と、あれ!」
花まつり、というだけあって
あちこちで花を売っている。
この前泊まった宿場町でみた
屋台が沢山あって、
その多くで花が売られていた。
でもよく見ると、
花と一緒に食べ物だったり、
お菓子やおもちゃも売られている。
ガイに聞くと、
今日は恋人たちの祭りで、
好きな人に花を贈る日らしい。
その中でも恋人募集中の人は
白い花を胸に付けるのが
習わしになっていて、
平民で未婚の男女は
この日を楽しみにしているという。
白い花は
『あなたの色に染めてください』
って意味になるんだって。
「ふふ、じゃあ僕は、
もうガイの色の花以外は
付けることができないね」
っていうと、
ガイは、顔を真っ赤にして
そうだな、っていう。
僕が目に付いた屋台は、
花が沢山飾ってあったけど、
売っていたのはおかしだった。
花の形をした焼き菓子や飴、
それからパンもあった。
ガイは僕が見ていた
花の形をしたクッキーを
買ってくれた。
その次に見たのは、
アクセサリーのお店だ。
でも売っているのは
宝石とかではなくて、
リボンやチョーカーとか、
シンプルなものばかりだ。
「あ、ガイ、あれが可愛い」
僕はガイの腕から下ろしてもらい、
屋台のすみっこにある鈴を手にする。
僕とガイの瞳と同じ、
金色の鈴と緑色の鈴だ。
鈴の形はやっぱり
花の形をしていて、
振ると高くてきれいな音がする。
「それが欲しいか?」
と聞かれたので頷くと、
ガイが店主にお金を払う。
「ありがとう、じゃあ、はい」
僕がガイに緑色の鈴を渡す。
「僕はね、こっち」
金色の鈴は僕のだ。
僕が笑うと、
ガイは頬を赤くして、
また僕を抱き上げる。
「少し休むか?」
「うん」
広場まで行くと、
ケインが飲み物を買ってきてくれた。
そこでさっき買ったパンや
クッキーを食べることにする。
僕はクッキーで十分だから
パンはガイとケインのものだ。
僕はクッキーを食べてから
ポケットに入れていた
ぬいぐるみを取り出した。
「獅子のぬいぐるみか?」
「うん。ガイにそっくりでしょ?」
僕が言うと、ガイがまた
照れたような顔をする。
「この子と一緒だとね、
ガイと一緒にいるみたいで
安心するんだ」
僕は獅子の子の首に
鈴をつけた。
「ほら、可愛い」
ガイに見せると、
顔を赤くしたまま
ガイは「俺は可愛くないが」
なんていう。
「ガイも可愛いよ」
と僕が言うと、
なぜかケインが口を
付けていた水を吹き出した。
「もう、ケイン」
「すみません。
聞き慣れない言葉を聞いたもので」
「そういうケインだって
可愛いよ」
僕がそういうと、
ケインは勘弁してください、って
頭を下げた。
可愛いは、誉め言葉なんだけどな。
「俺やケインよりも
エレの方が数百倍可愛い」
ガイが僕の頭を撫でる。
「うん、ありがと」
「よし、行くか」
僕はまたぬいぐるみを
ポケットに入れる。
なくさないようにしなくっちゃ。
僕はガイと手をつなぎ、
また人ごみの中に足を踏み入れた。
僕は自分が与えられた部屋で寝ていた。
昨日はガイの部屋のベットで
眠ったはずなのに。
どういうこと?
って思っていたら、
アンナの声がする。
僕が返事をすると、
アンナがワゴンを押して
部屋に入ってきた。
「おはようございます、
ぼっちゃま」
「おはよう、アンナ」
「本日はどうされますか?」
僕はワゴンを見た。
「ミルクティーがいいな」
そう言うと、アンナはすぐに
モーニングティーを淹れてくれる。
アンナは僕がベットで
お茶を飲んでいる間に
僕の着替えや洗面所の準備を整えた。
「アンナ、ガイは?」
「朝早くから
庭で鍛錬をしておりました」
「そうなの?
僕、寝坊しちゃったかな」
「いいえ、あの者が
早起きなだけでございます」
アンナがなぜか
トゲトゲの口調で言う。
「それよりもぼっちゃま、
本日は町へ行かれると聞きましたが」
「そうなの?」
昨日の話では、
今日は森を散策するはずだったけど。
「なんでも今日は、
花まつりが開催されているとか」
「お祭り?」
それは行ってみたい。
「そこで、ぼっちゃまの
体調が良いようであれば、
祭りを見に行こうかという
話が出ております」
「そうなんだ。
僕、行ってみたい」
そう言うと、アンナは
かしこまりました、と
いつもとは違う服を出してくる。
「町歩きですと、
この辺りの服がよろしいかと」
「うん、ありがとう」
僕はベットから下りて
着替えることにした。
いつもよりもシンプルで
ボタンがない服だ。
僕が着替えたあたりで、
部屋をノックする音が聞こえる。
「エレ、起きたか?」
「ガイ、おはよう」
ガイが扉を開けて顔をのぞかせた。
「よかったら、今日は
町に行ってみないか?」
「うん、行きたい」
「よし」
僕はアンナにお礼を言い、
ガイの手を取る。
「今からなら
まだ朝市が出ている。
朝食は外で食べないか?」
「朝市?
そうする!」
僕が言うと、
アンナがすぐさま
僕の隣に着て、
僕にフードを被せた。
「外は風が強く、
お肌を傷つけるかもしれません。
どうぞ、それをかぶってお出かけください」
過保護だなぁ、って思うけど、
僕は、わかった、って素直に言う。
僕はフードのポケットに
一緒に寝ていた
獅子のぬいぐるみを入れた。
なんとなくだけど、
初めての町に
連れて行ってあげたくなったんだ。
僕はガイに連れられて
馬車に乗った。
アンナも一緒に来るかと
思ったけれど、
馬車に一緒に乗り込んだのは
ケインだった。
ケイン以外の護衛も
ちゃんと付いてきてくれるらしい。
ガイが言うには、
治安が良い町なので
普段は護衛がいなくても
町歩きぐらいなら大丈夫だけど、
今日は祭りがあるため、
他の領地から観光客が
数多く来ているから、
護衛は必須だという。
それから人が多いから
僕にはぐれないように、
と、ケインもガイも何度も言う。
もう僕は子どもじゃないのに。
と、ちょっとだけ不貞腐れてしまった。
町のはずれで馬車を降りて、
僕は「わぁ」と声を漏らした。
見たこともないほど、
多くの人がいる。
馬車は祭りのため、
町には入れないので
ここから歩くという。
僕はガイと手を繋いで
ゆっくり足を進めた。
人が多くて、
自分のペースで歩けない。
僕がまごまごしていると
ガイが僕を抱き上げてくれた。
「見たいものはあるか?」
「うん、と、あれ!」
花まつり、というだけあって
あちこちで花を売っている。
この前泊まった宿場町でみた
屋台が沢山あって、
その多くで花が売られていた。
でもよく見ると、
花と一緒に食べ物だったり、
お菓子やおもちゃも売られている。
ガイに聞くと、
今日は恋人たちの祭りで、
好きな人に花を贈る日らしい。
その中でも恋人募集中の人は
白い花を胸に付けるのが
習わしになっていて、
平民で未婚の男女は
この日を楽しみにしているという。
白い花は
『あなたの色に染めてください』
って意味になるんだって。
「ふふ、じゃあ僕は、
もうガイの色の花以外は
付けることができないね」
っていうと、
ガイは、顔を真っ赤にして
そうだな、っていう。
僕が目に付いた屋台は、
花が沢山飾ってあったけど、
売っていたのはおかしだった。
花の形をした焼き菓子や飴、
それからパンもあった。
ガイは僕が見ていた
花の形をしたクッキーを
買ってくれた。
その次に見たのは、
アクセサリーのお店だ。
でも売っているのは
宝石とかではなくて、
リボンやチョーカーとか、
シンプルなものばかりだ。
「あ、ガイ、あれが可愛い」
僕はガイの腕から下ろしてもらい、
屋台のすみっこにある鈴を手にする。
僕とガイの瞳と同じ、
金色の鈴と緑色の鈴だ。
鈴の形はやっぱり
花の形をしていて、
振ると高くてきれいな音がする。
「それが欲しいか?」
と聞かれたので頷くと、
ガイが店主にお金を払う。
「ありがとう、じゃあ、はい」
僕がガイに緑色の鈴を渡す。
「僕はね、こっち」
金色の鈴は僕のだ。
僕が笑うと、
ガイは頬を赤くして、
また僕を抱き上げる。
「少し休むか?」
「うん」
広場まで行くと、
ケインが飲み物を買ってきてくれた。
そこでさっき買ったパンや
クッキーを食べることにする。
僕はクッキーで十分だから
パンはガイとケインのものだ。
僕はクッキーを食べてから
ポケットに入れていた
ぬいぐるみを取り出した。
「獅子のぬいぐるみか?」
「うん。ガイにそっくりでしょ?」
僕が言うと、ガイがまた
照れたような顔をする。
「この子と一緒だとね、
ガイと一緒にいるみたいで
安心するんだ」
僕は獅子の子の首に
鈴をつけた。
「ほら、可愛い」
ガイに見せると、
顔を赤くしたまま
ガイは「俺は可愛くないが」
なんていう。
「ガイも可愛いよ」
と僕が言うと、
なぜかケインが口を
付けていた水を吹き出した。
「もう、ケイン」
「すみません。
聞き慣れない言葉を聞いたもので」
「そういうケインだって
可愛いよ」
僕がそういうと、
ケインは勘弁してください、って
頭を下げた。
可愛いは、誉め言葉なんだけどな。
「俺やケインよりも
エレの方が数百倍可愛い」
ガイが僕の頭を撫でる。
「うん、ありがと」
「よし、行くか」
僕はまたぬいぐるみを
ポケットに入れる。
なくさないようにしなくっちゃ。
僕はガイと手をつなぎ、
また人ごみの中に足を踏み入れた。
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