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123:社交場は蜜の味
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ガイの持っている手紙に
ケインも興味津々だ。
「何が書いてあったんです?」
僕よりも先にケインが聞く。
「招待状だ。
しかも、港街らしく
異国の者たちが集まる
社交パーティーらしい」
この国の貴族が
集まる場所ではないから
デビュタントをしていなくても
関係ないし、
気軽に来てほしいと書いてある。
「すごい、僕、行ってみたい」
「だが……時間がな」
「時間?」
「夜会のようだ。
それに開催地がここから
少し離れている。
招待を受けるのなら
宿泊に関しても
問題ないと書いてはあるが……」
それって、旅行先から
また旅行に行くってこと?
すごくない?
「あー、エレ。
そんなに期待に満ちた目で
見ないでくれ。
反対しづらい」
「反対?
ガイは行きたくないの?」
僕は咄嗟にケインを見た。
「ケインは行きたいよね?」
「行きたいか
行きたくないかと
いう話であれば
まぁ、興味はあります。
異国の文化ってのに
触れる機会はあまりないですし」
「でしょ?
そうだよね」
「でも……俺は賛成は
できませんよ」
「なんで?」
「俺の雇い主は団長なんで。
エレミアス様の要望は
できるだけ叶えたいですが、
団長と戦ってまで
異国情緒を味わいたいかと
言われると……まぁ、それほどでは」
兄か。
確かに兄は絶対に反対する。
僕が夜更かしをするのも
多くの人に会うのも
絶対に嫌がるもん。
でも、こんな機会、
もうないかもしれない。
「ガイ、僕ね、行ってみたい」
ケインが無理なら
ガイにお願いするしかない。
そうだ。
こんな時こそ、
ブレスレットの精霊の
出番じゃないの?
って思ったけれど、
散々、必要ないって
言ったのに、都合よく
助けてくれるなんてことはないよね。
「まあ、この件は一旦、
保留にしよう。
開催にはまだ時間があるし、
焦る必要はない」
「わかった」
パーティーは
今日の夜にあるらしい。
場所はここから
馬車で行ったら
2,3数時間ぐらいかかる場所だとか。
帰るのが夜中になるので
参加する人たちには
ちゃんと宿泊する場所を
提供するって
手紙には書いてある。
なら、あとはどうやって
ガイを説得するのか
昼過ぎまでに考えればいいよね。
「エレには叶わないな」
と急に頭を撫でられる。
「反対し続けることが
できるか自信がない」
「じゃあ、
反対しなかったらいいんだよ」
と言ったら、ケインが苦笑した。
「エレミアス様って、
意外と自己主張するタイプ
だったんですね」
「どういうこと?」
「いえ、団長が病的に、
いえ、うっとおしいほど
いや、その、
おかしいぐらいに
過保護なのに
それを受け止めているので、
自分のやりたいことを
あまり主張しない方だと思ってました」
うん。
兄への評価が僕と一緒だ。
「そう、かも。
だってね、今まで僕、
やりたいこととか、
見たいものって、
僕がそれを考える前に
兄様が用意してくれてたんだ。
僕が何かを欲しがる前に、
もう目の前にある感じ?
だからそれが普通だったし、
何か欲しいって
思うことってなかったと思う」
でも僕はもう違う。
ガイと出会って、
僕はもう屋敷の中だけで
生きていた僕じゃないんだ。
「でも今はね、
学院に通って、
ガイと旅行に来て、
いろんなことを体験して。
楽しくて仕方ないの。
もっと色いろやってみたいって
思っちゃうんだよ」
僕がそういうと、
ガイは「しょうがないな」って
僕の頭をぽんぽんする。
「とにかく一旦、
屋敷に戻るか。
招待を受けるにしても
受けないにしても、
情報が少なすぎる。
どんな交流パーティーなのか
何もわからない場所に
行くわけにはいかないからな」
「あ、じゃあ俺、
ちょっと行ってきます」
ってケインが片手を上げる。
「頼む」
「了解です」
ケインが僕にフードと
帽子をかぶせて、
行ってきます、って
どこかに走って行ってしまった。
「えっと、ケインは?」
「なんか探ってくるだろう」
とガイは簡単に言い、
僕を抱っこする。
「行くかどうかは
ケインの報告次第だ。
かなり歩いたし、
疲れただろう。
どこかで休むか?
屋敷に戻ってからでも大丈夫か?」
「大丈夫、疲れてないよ」
確かに港までの距離は
長かったけれど、
僕だって体力がついてきたんだもの。
「そうか。
では一度屋敷に戻って
コンロの状態を確認しよう。
エレが元気なら、
その後にまた出かければいい」
「わかった」
僕はまだまだ元気だもんね。
そう思ったんだけど。
屋敷に戻ったら
安心したのか、
急に疲れてきてしまった。
しかも、僕たちが
戻った途端、アンナが
玄関まで走ってきて、
コンロの修理は不可能だという。
ガイは僕を部屋まで連れて行き、
少し休むように、って
ベッドにおろしてくれたけど、
ガイはすぐにキッチンへと
向かったんだと思う。
状況を確認するって言ってたし。
でもね、僕、思ったんだ。
これってやっぱり、
あのブレスレットの精霊の
仕業なんじゃない?
コンロが壊れて
夕飯が作れないから
パーティーに行くしかないとか、
そういう流れになるとか。
それとも本当に偶然?
偶然、だよね?
だって僕は今、ブレスレットを持ってない。
いや、ほんと。
願ったことが叶い続けるなんて
怖すぎるから!
嬉しいけど、怖いから!
僕は前言撤回!って
心の中で精霊に言う。
「パーティーには行きたいけど、
誰かを困らせてまで
行きたいわけじゃないから!」
僕の願いのせいでコンロが
壊れるなんて申し訳なさすぎる。
こんなことなら、
パーティーに行きたいじゃなくって
ガイとひっついていたい、って
願いにすればよかった。
だって昨日の夜、
僕、気が付いたら
ガイに背中から抱きしめられてたんだ。
背中があったかくて、
安心できて。
それで、あの……
露天風呂の時のキスを思い出した。
熱い空気と、
荒い呼吸と。
それから体が熱くなる感覚と……
そこまで思い出して、
僕は、恥ずかしくて悶えてしまう。
恥ずかしいけど、
また、あんな風に
ガイと触れ合いたい気持ちもある。
あの時は本当に
使用人もアンナもいなくて
二人っきりだったから
あんなことができたんだろうけど。
アンナは結婚するまでは
一緒に寝るのは駄目って
言ってたけれど。
結婚したらいいんだよね?
ガイと結婚……したら、
あんなことを、
何度もするようになるのかな。
何度も……?
僕は体が熱くなって
シーツに潜る。
恥ずかしすぎる。
でも、やっぱり触れ合いたい。
ガイとなら、って思う。
またガイと一緒に寝たいな。
そんなことを
考えながら眠ったからだと思う。
目を覚ました僕が聞いた
最初の言葉は
「例のパーティーに行くか」
というガイの言葉だった。
……偶然、だよね?
ケインも興味津々だ。
「何が書いてあったんです?」
僕よりも先にケインが聞く。
「招待状だ。
しかも、港街らしく
異国の者たちが集まる
社交パーティーらしい」
この国の貴族が
集まる場所ではないから
デビュタントをしていなくても
関係ないし、
気軽に来てほしいと書いてある。
「すごい、僕、行ってみたい」
「だが……時間がな」
「時間?」
「夜会のようだ。
それに開催地がここから
少し離れている。
招待を受けるのなら
宿泊に関しても
問題ないと書いてはあるが……」
それって、旅行先から
また旅行に行くってこと?
すごくない?
「あー、エレ。
そんなに期待に満ちた目で
見ないでくれ。
反対しづらい」
「反対?
ガイは行きたくないの?」
僕は咄嗟にケインを見た。
「ケインは行きたいよね?」
「行きたいか
行きたくないかと
いう話であれば
まぁ、興味はあります。
異国の文化ってのに
触れる機会はあまりないですし」
「でしょ?
そうだよね」
「でも……俺は賛成は
できませんよ」
「なんで?」
「俺の雇い主は団長なんで。
エレミアス様の要望は
できるだけ叶えたいですが、
団長と戦ってまで
異国情緒を味わいたいかと
言われると……まぁ、それほどでは」
兄か。
確かに兄は絶対に反対する。
僕が夜更かしをするのも
多くの人に会うのも
絶対に嫌がるもん。
でも、こんな機会、
もうないかもしれない。
「ガイ、僕ね、行ってみたい」
ケインが無理なら
ガイにお願いするしかない。
そうだ。
こんな時こそ、
ブレスレットの精霊の
出番じゃないの?
って思ったけれど、
散々、必要ないって
言ったのに、都合よく
助けてくれるなんてことはないよね。
「まあ、この件は一旦、
保留にしよう。
開催にはまだ時間があるし、
焦る必要はない」
「わかった」
パーティーは
今日の夜にあるらしい。
場所はここから
馬車で行ったら
2,3数時間ぐらいかかる場所だとか。
帰るのが夜中になるので
参加する人たちには
ちゃんと宿泊する場所を
提供するって
手紙には書いてある。
なら、あとはどうやって
ガイを説得するのか
昼過ぎまでに考えればいいよね。
「エレには叶わないな」
と急に頭を撫でられる。
「反対し続けることが
できるか自信がない」
「じゃあ、
反対しなかったらいいんだよ」
と言ったら、ケインが苦笑した。
「エレミアス様って、
意外と自己主張するタイプ
だったんですね」
「どういうこと?」
「いえ、団長が病的に、
いえ、うっとおしいほど
いや、その、
おかしいぐらいに
過保護なのに
それを受け止めているので、
自分のやりたいことを
あまり主張しない方だと思ってました」
うん。
兄への評価が僕と一緒だ。
「そう、かも。
だってね、今まで僕、
やりたいこととか、
見たいものって、
僕がそれを考える前に
兄様が用意してくれてたんだ。
僕が何かを欲しがる前に、
もう目の前にある感じ?
だからそれが普通だったし、
何か欲しいって
思うことってなかったと思う」
でも僕はもう違う。
ガイと出会って、
僕はもう屋敷の中だけで
生きていた僕じゃないんだ。
「でも今はね、
学院に通って、
ガイと旅行に来て、
いろんなことを体験して。
楽しくて仕方ないの。
もっと色いろやってみたいって
思っちゃうんだよ」
僕がそういうと、
ガイは「しょうがないな」って
僕の頭をぽんぽんする。
「とにかく一旦、
屋敷に戻るか。
招待を受けるにしても
受けないにしても、
情報が少なすぎる。
どんな交流パーティーなのか
何もわからない場所に
行くわけにはいかないからな」
「あ、じゃあ俺、
ちょっと行ってきます」
ってケインが片手を上げる。
「頼む」
「了解です」
ケインが僕にフードと
帽子をかぶせて、
行ってきます、って
どこかに走って行ってしまった。
「えっと、ケインは?」
「なんか探ってくるだろう」
とガイは簡単に言い、
僕を抱っこする。
「行くかどうかは
ケインの報告次第だ。
かなり歩いたし、
疲れただろう。
どこかで休むか?
屋敷に戻ってからでも大丈夫か?」
「大丈夫、疲れてないよ」
確かに港までの距離は
長かったけれど、
僕だって体力がついてきたんだもの。
「そうか。
では一度屋敷に戻って
コンロの状態を確認しよう。
エレが元気なら、
その後にまた出かければいい」
「わかった」
僕はまだまだ元気だもんね。
そう思ったんだけど。
屋敷に戻ったら
安心したのか、
急に疲れてきてしまった。
しかも、僕たちが
戻った途端、アンナが
玄関まで走ってきて、
コンロの修理は不可能だという。
ガイは僕を部屋まで連れて行き、
少し休むように、って
ベッドにおろしてくれたけど、
ガイはすぐにキッチンへと
向かったんだと思う。
状況を確認するって言ってたし。
でもね、僕、思ったんだ。
これってやっぱり、
あのブレスレットの精霊の
仕業なんじゃない?
コンロが壊れて
夕飯が作れないから
パーティーに行くしかないとか、
そういう流れになるとか。
それとも本当に偶然?
偶然、だよね?
だって僕は今、ブレスレットを持ってない。
いや、ほんと。
願ったことが叶い続けるなんて
怖すぎるから!
嬉しいけど、怖いから!
僕は前言撤回!って
心の中で精霊に言う。
「パーティーには行きたいけど、
誰かを困らせてまで
行きたいわけじゃないから!」
僕の願いのせいでコンロが
壊れるなんて申し訳なさすぎる。
こんなことなら、
パーティーに行きたいじゃなくって
ガイとひっついていたい、って
願いにすればよかった。
だって昨日の夜、
僕、気が付いたら
ガイに背中から抱きしめられてたんだ。
背中があったかくて、
安心できて。
それで、あの……
露天風呂の時のキスを思い出した。
熱い空気と、
荒い呼吸と。
それから体が熱くなる感覚と……
そこまで思い出して、
僕は、恥ずかしくて悶えてしまう。
恥ずかしいけど、
また、あんな風に
ガイと触れ合いたい気持ちもある。
あの時は本当に
使用人もアンナもいなくて
二人っきりだったから
あんなことができたんだろうけど。
アンナは結婚するまでは
一緒に寝るのは駄目って
言ってたけれど。
結婚したらいいんだよね?
ガイと結婚……したら、
あんなことを、
何度もするようになるのかな。
何度も……?
僕は体が熱くなって
シーツに潜る。
恥ずかしすぎる。
でも、やっぱり触れ合いたい。
ガイとなら、って思う。
またガイと一緒に寝たいな。
そんなことを
考えながら眠ったからだと思う。
目を覚ました僕が聞いた
最初の言葉は
「例のパーティーに行くか」
というガイの言葉だった。
……偶然、だよね?
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