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高等部に進級しました
214:久しぶりの登校
しおりを挟むスクライド国から戻った翌日は
1日だけお休みをした。
あの日、夕方にタウンハウスに
戻って来た義兄に
ルイとのことを
聞きたいと思ったけれど、
勇気が出ずにやめてしまう。
でも焦らなくても
義兄から、もしくはルイから
俺に何かを言ってくれると
思うから、無理に聞き出すのは
止めようとも思った。
俺もティスとのことを
深く聞かれたくは無いし。
兄弟だから何でも言いあえるなんて
妄想だと前世の経験から
理解していたはずなのに、
俺はつい、義兄のことになると
暴走してしまう。
でも義兄とルイが俺前で
イチャイチャするとか
俺の存在を忘れられるとか。
俺が心配したようなことは
一切なかった。
そうだよな。
被害妄想だった、すまん。
反省した翌日は
俺は一日、クマを
ベットに置いてのんびりした。
義兄は結局仕事に行ったし、
ルイは学園には
行かなかったが、
研究所に行くとかで
義兄と一緒に朝から
出てしまったのだ。
そんなわけで一人で
庭を散歩したり、
サリーが淹れてくれた
お茶をサロンで飲んだり。
だらだら過ごしていたら
疲れていた体も
元気になったし、
塞いでた気持ちも収まった。
だってさ。
ルイと義兄が恋人になったって
言っても、それで俺が
虐められるわけはないし。
ちょっと寂しいけど
子離れならぬ、弟離れを
する時期になったってことだ。
そんなことを俺は
一日考えていたから、
自分がティスと両想いに
なったということを
すっかり忘れていた。
そもそも幼馴染で
親友だったから、
いつも一緒にいたし。
いきなり関係が恋愛に
変わったとか言われても
寝て起きたら
実感が無くなってしまったのだ。
結局俺はいつも通りで、
その翌日から学園に
通うことになった。
朝俺がルイと一緒に
馬車で学園に行くと、
クリムもルシリアンも
すでに学園にいて、
俺たちを出迎えてくれた。
いつも通り、キールも一緒だ。
俺たちが疲れは取れたかと
確認しつつクラスに行くと、
クラスメイト達は
スクライド国のことを
少しは知っているのだろう。
俺たちが来たことに気が付くと
チラチラと視線を向けてくる。
彼らが戦争のことは知らなくても、
鎖国を解いたスクライド国と
条約を結んで
派手に支援をしているのだから
知らないわけがない。
俺たちがその間
ずっと休んでいたから
ティスと共に王家の手助けを
していたことも気が付いている筈だ。
でもクラスメイト達は
そわそわしていたが
直接俺に何かを聞いて来る者はいなかった。
……俺に気軽に話かけてくるような
クラスメイトはいないからな。
ルシリアンが小声で
どこまでスクライド国のことを
話して良いのか陛下から
指示を受けていない以上、
何も言わないでおきましょう、と
俺に言う。
俺たちはそれに頷いた。
「ルイも余計なこと言うなよ」
俺がルイに釘をさすと、
さすがにルイもわかってる、ってと
頷いた。
話をややこしくするのが
好きなルイもさすがに
国同士の問題が絡んでいる
案件を面白おかしく
揶揄するつもりはないらしい。
よかった。
いや、大丈夫だとは思うよ?
思うけれど。
ちょっとだけ俺を揶揄う時の
ルイに対する信頼度が低いだけだ。
ルイは本気を出したら
いつだって凄い結果を出すのに
それまでがアレなんだよな。
なんて俺が思ってたら
ルイに肘で突かれた。
「なんだよ、
俺をそんな不満そうに見て」
「そんなことないよ。
ただルイはいつも
物事をややこしくして
おもしろがる趣味があるから
大丈夫かと思ってただけ」
「馬鹿だなぁ、
誰にでもそんな真似
してるわけないだろう?
俺は好きな子しか
いじめないぞ」
え?それって
義兄は虐めるってことか?
やっぱりルイはダメだ。
義兄!
考え直せ!
俺の顔色が変わったからだろう。
ルイは笑う。
「またどうせ
見当違いのことを
考えてるんだろ。
ほんと見てて飽きないな」
俺の髪をぐしゃぐしゃして
ルイは自分の席に鞄を置いた。
するとすぐにクラスメイトから
ルイは話しかけられていて
ちょっとだけ俺は拗ねる。
いいよな。
あいつはすぐに友達が出来て。
でも俺にはクリムと
ルシリアンがいるもんね。
なんて心の中で言ってたら
すぐに担任が来て授業が始まった。
授業はかなり進んでいて
俺とクリムとルシリアンは
授業の合間に
記憶と知識のすり合わせをする。
ルイがクラスメイトから
俺たちが休んでいた間の
ノートを借りて来てくれたので
それもありがたく使わせてもらった。
俺もルイも前世の記憶があるから
1か月ぐらい学園を休んでも
さほど問題は無さそうだった。
でもクリムとルシリアンは違う。
俺たちはこの日の放課後から
当分の間、休んでいる間の
授業内容を勉強することにした。
昼休みにランチを食べた後、
いつもの中庭でそれなら
図書室で放課後は
一緒に勉強しようと
話をしていると、
ルイがまた別の教科の
ノートを持ってやってきた。
「ルイ、友達多いんだな」
嫌味じゃないぞ。
なんて思いつつルイを見ると
ルイは「みんな留学生には優しいんだ」
なんて言う。
「でもルイが借りたノートを
皆で借りるわけにはいかないし、
今日からルイが借りたノートで
頑張って補習しよう」
俺の言葉に全員が頷いたとき、
ティスが護衛と一緒にやってきた。
「ティス、今日は
学園に来てたんだね」
俺が言うとティスも
しばらくは学園に通うことが
できそうだという。
スクライド国のことは
大丈夫かと聞くと、
今回の件は俺がカミサマから
話を聞いたことが発端だったから
今まで俺たちも手伝ってきたが、
本来は陛下たちで
話を進めていく予定だったものだ。
だからティスも俺たちも
子ども組は本業の学園に戻り
本来すべき業務に戻るようにと
陛下から言われたらしい。
「そうか。
じゃあ、ティスも
しばらくは楽になりそうだね。
僕たちもこれから
放課後はみんなで
補習しようって話をしてたんだよ」
俺が言うと、
ティスはそれなら
自分も一緒に放課後、
図書室に残ると言う。
いいのかな?
それは嬉しいけれど。
「当分、私は今までのことが
あったぶん、休めそうなんだ。
ただジェルロイドだけは
申しわけないが」
「うん?
兄様?」
「あぁ、ジェルロイドは
まだ忙しくすると思う」
どうやら義兄だけは、
子ども組と大人組の間にいる
微妙な立場らしく、
ティスの側近としての仕事と、
スクライド国の仕事の両方を
当分はするらしい。
義兄が働きすぎないかと
心配したが、ルイが大丈夫と
俺の肩を叩いた。
「俺も俺の国のことや
スクライド国の魔物実験のことで
まだスクライド国に行くことも
あると思うし。
弟君のことは俺が見てるから
安心していいぞ」
と言う笑顔のルイを、
俺は何も知らなければ
素直に感謝したと思うのに。
キスしていた二人を思い出して
なんだか心がもやもやする。
こんな時は、クマーっ!
と思ったけれど、
クマがいないので俺はティスに抱きついた。
「ティスーっ」
俺が中庭でティスにしがみつくと
ティスだけでなく、
クリムもルシリアンも
ルイまでも驚いた顔をした。
「おいおい、
なんでそこでティス殿下に
抱きつくんだよ」
ルイにティスから
引きはがされて、
だって、と俺はルイを見た。
「ルイが僕を仲間外れにする~っ」
「してないだろ、子どもかっ」
「子どもだ」
って俺は即座にいってやる。
俺の可愛い弟兼義兄を
俺から奪うくせにっ。
って思ったら、
ティスがクスクス笑って
俺の頭を撫でた。
え?
撫でた?
ティスが俺の頭を?
今までそんなことって
あったっけ?
俺がティスの髪を
撫でるのはよくやったけど。
こんなふうに人前で
俺を子ども扱いするように、
扱うなんて。
俺は驚いてティスを見ると、
ティスに優しく微笑えまれた。
え?
なにそれ。
なんの笑顔?
って思って。
俺は一昨日のやりとりを思い出した。
そうだ。
父が急に来てうやむやになったけど、
俺とティスは両想いだった。
そう思うと急に俺は恥ずかしくなる。
だってティスはいつも通りだったから。
俺もいつも通りの対応で。
なのに、急に、そんな顔されたら……。
「アキ?」
首を傾げて俺を見るティスさえ
見ることができない。
「アキ様?」
「どうされました?」
「アキラ?」
皆が俺を見るけれど、
俺の顔は真っ赤だったと思う。
俺はおろおろして、
今度は「ルイーっ」とルイに
抱きつきに行こうとしたが、
すかさずティスに抱き留められて。
「私以外に抱きついたらだめ」って
耳元で囁かれた。
正直俺は、腰が抜けたかと思った。
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