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第40話 半田狩人
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【ハンダ視点】
1日目が終わり学校に戻るとイナセ以外がソウルアップをする話でリツカとマナが校長に抗議する。
「私達が代わりにパーティーを組むわ!」
「私が明日から戦うよ!」
「駄目だよ、それじゃあ意味が無い」
「1対3はあんまりよ!」
「イベントの為にソウルアップを犠牲にするのは無理なんだよ。ソウルアップしたら3日は休む、それが西学校の校則だ」
配信でバレてしまったんだ。
もう無理だろう。
これでおいらは悪役確定だ。
「今だけ特別に」
「無理なんだ! PTAがいるから!! 西高校のPTAはやばいんだよ!!!」
『今度はPTAだと!』
『奴らはマジでヤバイ、現場を壊す正論ですべてを台無しにするクレイジー野郎だ』
『PTAを敵に回したらあかん!』
『だんだん校長が可愛そうになってきた。ギャンブル勢とPTAは四天王の中で最強格や』
「でも!」
「あんまり言うとイナセ君の負けになってしまうよ!」
「……はい」
抗議は通らず、明日からイナセは1人でイノシシを倒す事が決まった。
ギャラリーがおいらを怒鳴った。
「ハンダ! お前も1人で戦えよ!」
「ハンデをやれって! 人の心は無いのか!」
「こんな有利な状況で勝って楽しいか! 嬉しいのかよ!」
半分はおいらへの嫉妬だ。
「やめろ!!」
イナセがギャラリーを怒鳴った。
「ルールはルールだ。そのまま続ける!! 悪いのはハンダじゃない!!」
「イナセ、助かった」
「手加減はしなくていい、勝負は全力でやってくれ」
「へへ、おいらの目に狂いは無かったべ」
「ん?」
「農地のモンスター狩りを頼んでよかった」
「ああ、焼肉が美味しかった」
「また明日、全力でいくべ」
「俺も全力でやる、斥候術がまだ残っている。じゃあな」
「イナセ、か」
おいらは解散して帰った。
帰った後は両親の農地を一周してモンスターが来ないか見回りをする。
これを毎日やってきた。
そう、あの時から。
おいらの家は貧乏だった。
それでも中学に入りハンドガンを買って貰った。
無理をして、おいらの為に買ってくれたのは分かっていた。
嬉しくて毎日防壁の上から一日中モンスターが来ないか待って過ごした。
運良く、モンスターが来ると防壁の上から撃って、ドローンで魔石を回収して防壁に戻る毎日を送った。
最初はモンスターに当てる事さえ手間取った。
当てても威力が出ない。
小遣いを全部魔法弾に変えた。
親に負担をかけたくない、1人でモンスターを倒せるようになると弾も、銃もそれからは自分で揃えた。
小遣いをもらうのもやめた。
両親が農業で成功したのはおいらが中学2年生になった頃だ。
儲けはおいらじゃなく事業投資に使って貰った。
おいらは銃の才能があった、毎日畑の周りを一周してモンスターを狩った。
冒険者に依頼を出す分の金を事業に使ってもらいたかった。
モンスターが畑を荒らせばすぐ赤字になる。
設備だってあっという間に壊される。
気は抜けない。
風邪を引いても、腹を壊しても毎日農地を回った。
いつも時間が無かった。
朝起きると銃を持って農地を一周してご飯を食べて学校に行きすぐに帰るとまた農地の見回りだ。
後は勉強をすれば残りの時間は殆どない。
毎日コツコツ、休日は仲間と13ゲートに行って銃の訓練もする。
時間が足りない。
でも、おいらを見る周りの目は違った。
『お前金持ちだからな。弾も銃も親に買って貰えるんだろ?』
『ガンナーは金があれば楽だよな。親ガチャに失敗したわ。チート野郎に俺の気持ちは分からないだろうな』
『俺がパーティーを組んでやるから弾くれよ! お前金持ちなんだろ! なあ! 弾をよこせよ!!』
何度言っても分かって貰えない。
何を言っても逆切れされたり「だから何?」と言われる。
しかもごちゃごちゃ言ってくる人間に限って遊んでいるように見えた。
それでも毎日農地を見回り、ゲートでモンスターを狩って過ごした。
ソウルアップをして最近Cランクになった。
おいらが他のCランクより弱いのは分かっている。
おいらは学校で最弱の4強だ。
西高校は特にレベルが低い。
また周りはおいらの事を色眼鏡で見た。
「才能がある奴はずるい」
そう言いながら放課後はいつも遊んでいた。
そういう人間を相手にしなくなっていった。
時間の無駄だ。
そんな中、イナセがソウルアップした噂を聞いた。
配信を見てイナセの目を見て思った。
おいらと同じだ。
自分でもがいて人生を切り開こうとする目、おいらはその瞬間に自腹で依頼を出した。
そしてちゃんと向き合うとやはりまともに見えた。
一緒に焼肉を食べて、そして対決する事になった。
ギャラリーがおいらを怒鳴った。
「ハンダ! お前も1人で戦えよ!」
「ハンデをやれって! 人の心は無いのか!」
「こんな有利な状況で勝って楽しいか! 嬉しいのかよ!」
嫉妬と、文句を言いたいだけの怒鳴り声、自分では何もしない人間の批判。
こういうのには慣れている。
「やめろ!!」
イナセがギャラリーを怒鳴った瞬間に、おいらは分かった。
思った通り、おいらと同じ目、おいらと同じで自分でつかみ取る目をしていた。
2日目が始まり、おいらは全力で戦う。
おいらは悪役だ、いつも悪者だ。
手加減はしない。
いつも全力だ。
1日目が終わり学校に戻るとイナセ以外がソウルアップをする話でリツカとマナが校長に抗議する。
「私達が代わりにパーティーを組むわ!」
「私が明日から戦うよ!」
「駄目だよ、それじゃあ意味が無い」
「1対3はあんまりよ!」
「イベントの為にソウルアップを犠牲にするのは無理なんだよ。ソウルアップしたら3日は休む、それが西学校の校則だ」
配信でバレてしまったんだ。
もう無理だろう。
これでおいらは悪役確定だ。
「今だけ特別に」
「無理なんだ! PTAがいるから!! 西高校のPTAはやばいんだよ!!!」
『今度はPTAだと!』
『奴らはマジでヤバイ、現場を壊す正論ですべてを台無しにするクレイジー野郎だ』
『PTAを敵に回したらあかん!』
『だんだん校長が可愛そうになってきた。ギャンブル勢とPTAは四天王の中で最強格や』
「でも!」
「あんまり言うとイナセ君の負けになってしまうよ!」
「……はい」
抗議は通らず、明日からイナセは1人でイノシシを倒す事が決まった。
ギャラリーがおいらを怒鳴った。
「ハンダ! お前も1人で戦えよ!」
「ハンデをやれって! 人の心は無いのか!」
「こんな有利な状況で勝って楽しいか! 嬉しいのかよ!」
半分はおいらへの嫉妬だ。
「やめろ!!」
イナセがギャラリーを怒鳴った。
「ルールはルールだ。そのまま続ける!! 悪いのはハンダじゃない!!」
「イナセ、助かった」
「手加減はしなくていい、勝負は全力でやってくれ」
「へへ、おいらの目に狂いは無かったべ」
「ん?」
「農地のモンスター狩りを頼んでよかった」
「ああ、焼肉が美味しかった」
「また明日、全力でいくべ」
「俺も全力でやる、斥候術がまだ残っている。じゃあな」
「イナセ、か」
おいらは解散して帰った。
帰った後は両親の農地を一周してモンスターが来ないか見回りをする。
これを毎日やってきた。
そう、あの時から。
おいらの家は貧乏だった。
それでも中学に入りハンドガンを買って貰った。
無理をして、おいらの為に買ってくれたのは分かっていた。
嬉しくて毎日防壁の上から一日中モンスターが来ないか待って過ごした。
運良く、モンスターが来ると防壁の上から撃って、ドローンで魔石を回収して防壁に戻る毎日を送った。
最初はモンスターに当てる事さえ手間取った。
当てても威力が出ない。
小遣いを全部魔法弾に変えた。
親に負担をかけたくない、1人でモンスターを倒せるようになると弾も、銃もそれからは自分で揃えた。
小遣いをもらうのもやめた。
両親が農業で成功したのはおいらが中学2年生になった頃だ。
儲けはおいらじゃなく事業投資に使って貰った。
おいらは銃の才能があった、毎日畑の周りを一周してモンスターを狩った。
冒険者に依頼を出す分の金を事業に使ってもらいたかった。
モンスターが畑を荒らせばすぐ赤字になる。
設備だってあっという間に壊される。
気は抜けない。
風邪を引いても、腹を壊しても毎日農地を回った。
いつも時間が無かった。
朝起きると銃を持って農地を一周してご飯を食べて学校に行きすぐに帰るとまた農地の見回りだ。
後は勉強をすれば残りの時間は殆どない。
毎日コツコツ、休日は仲間と13ゲートに行って銃の訓練もする。
時間が足りない。
でも、おいらを見る周りの目は違った。
『お前金持ちだからな。弾も銃も親に買って貰えるんだろ?』
『ガンナーは金があれば楽だよな。親ガチャに失敗したわ。チート野郎に俺の気持ちは分からないだろうな』
『俺がパーティーを組んでやるから弾くれよ! お前金持ちなんだろ! なあ! 弾をよこせよ!!』
何度言っても分かって貰えない。
何を言っても逆切れされたり「だから何?」と言われる。
しかもごちゃごちゃ言ってくる人間に限って遊んでいるように見えた。
それでも毎日農地を見回り、ゲートでモンスターを狩って過ごした。
ソウルアップをして最近Cランクになった。
おいらが他のCランクより弱いのは分かっている。
おいらは学校で最弱の4強だ。
西高校は特にレベルが低い。
また周りはおいらの事を色眼鏡で見た。
「才能がある奴はずるい」
そう言いながら放課後はいつも遊んでいた。
そういう人間を相手にしなくなっていった。
時間の無駄だ。
そんな中、イナセがソウルアップした噂を聞いた。
配信を見てイナセの目を見て思った。
おいらと同じだ。
自分でもがいて人生を切り開こうとする目、おいらはその瞬間に自腹で依頼を出した。
そしてちゃんと向き合うとやはりまともに見えた。
一緒に焼肉を食べて、そして対決する事になった。
ギャラリーがおいらを怒鳴った。
「ハンダ! お前も1人で戦えよ!」
「ハンデをやれって! 人の心は無いのか!」
「こんな有利な状況で勝って楽しいか! 嬉しいのかよ!」
嫉妬と、文句を言いたいだけの怒鳴り声、自分では何もしない人間の批判。
こういうのには慣れている。
「やめろ!!」
イナセがギャラリーを怒鳴った瞬間に、おいらは分かった。
思った通り、おいらと同じ目、おいらと同じで自分でつかみ取る目をしていた。
2日目が始まり、おいらは全力で戦う。
おいらは悪役だ、いつも悪者だ。
手加減はしない。
いつも全力だ。
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