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癒-healing-
P3.やっと来たのね、天使さん。
しおりを挟む「しずく!しずく!」
「あ、ごめんね?痛かった?」
教室に向かう途中に
みかんをつかんでいた手を放す。
「あのさ、さっきの…」
今まで隠れていたのに
急に二階堂優の前に出してしまったのは
やっぱり嫌だっただろうな…
あいつはみかんが見ていることに
全然気づいてなかったみたいだしーー
「みかん、やっぱりあの人の前に出るの嫌だったよね?ごめ」
「しずくのこと好きなのかな!?」
「…え?」
見るとみかんは不安そうな顔でうつむいていた。
「だってさっきしずくがそう言った…!!」
涙目になったみかんがばっと顔をあげた。
可愛い!…じゃなくて…
「ちがうちがう!!あれはただの言いがかり!頭にきて言い返しただけ!」
「そうなの?!」
あのシチュエーションでわからないのか…
いつになく彼女は天然っぷりを発揮していた。
また頬を桜色にしてよかったぁとつぶやいている。
そんな顔を見せるくらい
あいつのことが好きみたいだけど
一体どこがいいんだろう…?
「あいつの何がいいわけ?
口の悪いただのガリ勉にしか見えなかったけど」
「もう!そんな風に言わないでよ!いくら冗談でも怒るよ!」
冗談じゃないんだけどな…
その後、徒歩通学のみかんは先に下校し
私はバスが来る時間のギリギリまで
いつものように教室にいた。
そしてもんもんと考え込むーー
たとえみかんが好きな人でも
あの人じゃきっとみかんには合わない。
あまりにも性格が違いすぎているし
初めて話したけど、口の悪い失礼な奴だった。
非紳士なあんなやつにみかんは任せられない!
大体どこで知り合ったのかな?
あんなのと出くわすのは自習室とか図書室とか?
考えても埒があかず
なんであんな奴が好きなのかーー
どこがいいのかーー
さっぱりだった。
明日色々聞いてみよう…。
頭を抱えたまま鞄を持って教室を出る。
帰ろうと階段を降りようとした時
階段の上のほうで金色の何かが輝くのが見えた。
「あれは…?」
いつもなら教室のある2階より上は
上級生のいる階で上がることはないが、
私は吸い込まれるようにその光のほうへ向かっていた。
あの光…どこかで見たことがあるような…
私は夢中で階段を駆け上がって、4階へ。
その光はもっと上。とても強い光だ。
4階より上は閉鎖された屋上。
その金色はゆらゆら揺らめいてーー
私はまるで夢の中にいるような感覚を感じながら
屋上への踊り場までたどり着いた。
屋上へ続く扉は
いつも閉鎖されているはずなのに
何故か開け放たれていて…
そこに光の根源は“いた”。
金色の髪。
長いその髪は風に乗って
大きく翼のように広がる…
その姿はまるで天使のようで…
少しの間、その神々しさに見とれていたら
くすっと不敵な笑みを浮かべ、私に言った。
「やっと来たのね、天使さん。」
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