ANGEL -エンジェル-

癒-healing-

Ｐ４．気をつけなきゃダメだよ

私の目の前に現れた
天使のような少女は
西洋の人形のような整った顔つきで
不敵な笑みを浮かべている。

金色の髪はそれは綺麗になびいていて
まるで夢の中にいるようで…
あまりの美しさに
ぽかんと口を開けていたのだが

彼女の言った一言で私はきっと、
さらに間抜けな顔になっていただろう。



「天使…？って…」

「あら。貴方が来てくれたから、てっきりもうすべて思い出したのかと思ったんだけれど…私は貴方の仲間よ。」

「あなたは一体…ていうか、何を言って…」

天使はゆっくり階段を下り
私の方へとやってくる。
すると驚いたことに
金色の髪が一瞬で茶色に変わったのだ。

髪変わった？！どうして？！
まさか本当に天使…いや、手品に決まってる！

「手品じゃないわ」

手品じゃないわけ…て、私何も言ってないのに？

「言わなくても分かるもの。私は何でも知ってる。あなた…甘実かんなの事で悩んでいるでしょう？なんなら、私が教えてあげましょうか？」

天使はずいずい私の方へと詰め寄ってきて
私の心を読みながらにこにこ話を進める。

「？！…し…」

「し？」

「失礼しました！！！」

自分の心を読まれているという状況を
ついに私は耐えきれずに
その場から逃げ出してしまったのだった。

「……いいわ、またあなたの方から私に会いに来るでしょうし。」


















ーーー
足が…痛い。
私は歩いていた。

まるで、一歩踏み出すごとに、ナイフで傷つけられているような
今までに味わったことのない激痛。

でも…歩かなきゃ。
だって、隣で彼が…心配そうに私を見つめているから…











ーーー…

今日はみかんに似た子、でてこなかったなぁ…
にしても、夢の中に出てきた男の人
めちゃくちゃ素敵だったなぁ…

「しずく…4時間目も寝てたでしょ」

「だって寝てないとお腹すいちゃうからさー」

「なんだかんだ言って昼寝しないでよ…」

昼休み、みかんは私の前で頬を膨らませて怒っている。怒ってるみかんも可愛い。

「…あれも夢だったのかな？」

「え？」

「いやね…昨日帰る前に変な人に会って…天使だーとか、仲間だーとか…変なこと言われてさ。
でも、すっごい美人で私本当に天」

「天使なわけないでしょ」

「・・・え？」

私は驚いてみかんの方を見た
みかんは、はっとして、
すぐにいつもみたいな笑顔になる

「私、昼休みは職員室に呼ばれてたんだった。もういくね。」

いつものみかんは否定的な言葉を言わない子だ。
私がこんな突拍子のないことを言い出したら
きっと笑ってしまうだろうと思っていたのに…

それはまるで



「でも、気をつけなきゃダメだよ」



みかんも天使にあったことがあるようだった。