ANGEL -エンジェル-

癒-healing-

Ｐ15．お前、頭大丈夫か？

「お前、頭大丈夫か？」



「真面目に聞いてよ!!」

私は昼休みに中庭のベンチで二階堂優に
みかんの力のこと、私が九理に聞いた事を話した。

「私だって、こんなこと信じたくない。」

「……つまり、その九理が言うには、天使の力を持つ人間がこの高校に何人か集まっていると。」

「そう。それが九理、甘実かんな…私。」

「ぷっ」

「わ、笑うなぁ！！」

言いずらいことを言ったのに…!!
二階堂優は下を向いて笑いを堪えている。

「だからっ！真くんと居る時にたぶん何かあって…みかんの力で真くんとあんたを、記憶の中で入れ替えてしまったって事！」

「まぁ、それなら辻褄も合うな」

二階堂はやっと笑うのを止め呼吸を整えた。

こいつの事は気に食わないけど、
みかんの記憶を取り戻すことに協力してくれるなら
今わかっている情報を伝えるくらいやむおえない…
半分はめられたみたいな感じもするけど…。

「本当は自分で制御する事もできるみたいだけど…みかんのは力が暴走してるって言ってた。」

ふーんと呟きながら、二階堂優は何も塗られていない食パンをかじりだす。
にしても、何で私はこんな奴と2回もお昼ご飯食べてるんだろ…

「辛い出来事を塗り替えてしまう…かぁ」

「これからも嫌なことを全部忘れるようになったら…」

「でも、今回のことを何とかして、甘実の力がどうこうなるとは思えないけどな」

「そうだけど…今回のをなんとかできれば、力の制御をできるようになるきっかけにかもしれないとも言ってたし…」

「ふーん。まぁどっちにしても、この話についてはもっと詳しく聞いておく必要がある…今日の放課後、俺も九に会いに行く。」