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癒-healing-
P34.ねぇ、あやちゃんもあそぼ?
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私は昔自分の力の制御の仕方が分からなかった。
親も友達も誰彼かまわず人の心が見えていた。
具体的なものではなかったにしても
感情と言うものは白黒はっきりしていて…
親の気持ちも、友達の気持ちも
知れば知れほど不思議だった。
私がその力に目覚めたのは
まだ小学校に入る前だったから
親に何でも聞いた。
ーー何で悲しんでるの?
ーー何で怒ってるの?
ーー何で笑顔で嘘をつくの?
とても不思議だったんだもの。
心とは違う表情をしている
自分の母親も。周りの人々も。
だから単純な疑問をぶつけていたの。
何度も何度も何度も…
気づいたら私は一人になっていた。
親も友達も、私にはいなくなった。
きっと私のせいだと思うけれど、両親は離婚した。
でも、私の事はどちらも引き取りたくはなかったみたいで…
その後は親戚に引き取られて
私は遠くの小学校に転校してきた。
それでも私の力が無くなるわけでも
抑えられるわけでもない。
転校した先でも
沢山の同い年の子たちの感情が見える…
友達なんてできるわけない。
私は人に近づくのが怖くなっていた…
「ねぇ、あやちゃんもあそぼ?」
「わたしは…いい。」
「でも、おにごっこはじまっちゃうよ」
「わたしはやらない。」
「なんで?」
「………」
「おにごっこきらい?」
「………」
「………」
私に声をかけてくれて、本当は嬉しい。
でも、この子と仲良くなっても
この子の心が見えてしまっては
本当の友達になんてなれない。
私はそれが分かっていたから
誰とも遊ぼうとなんて思わない。
その子は私から離れて友達の元へ戻って行った。
これでいい。
誰とも話したくない。
「あやちゃん!」
「…?!」
その子はまた走って戻ってきて
「わたしも!おにごっこいちぬけ!」
「なんで?」
「えへへ…はしるのにがてなのー」
「…わたしといても、たのしくないよ」
「なんでー?いっしょにあそぼーよ?ほら!いこ!」
「えぇ?!」
私は一人で本ばかり読んでいる子だった。
だって本には心がないから
人と関わるより楽しかったから…
なのに、この子だけは…
「ちょっと!どこにいくの?!」
そんな私を見ていてくれた
「あやちゃん、あれ!ブランコあいてる!」
「ねぇ」
「ブランコいや?てつぼうにする?」
「ちがう!」
「じゃ、ブランコのろ!」
「えぇ?!」
この日以来、
私はこの子と一緒にいることが多くなった。
甘実かんなは
小学生の私にできた、初めての友達。
親も友達も誰彼かまわず人の心が見えていた。
具体的なものではなかったにしても
感情と言うものは白黒はっきりしていて…
親の気持ちも、友達の気持ちも
知れば知れほど不思議だった。
私がその力に目覚めたのは
まだ小学校に入る前だったから
親に何でも聞いた。
ーー何で悲しんでるの?
ーー何で怒ってるの?
ーー何で笑顔で嘘をつくの?
とても不思議だったんだもの。
心とは違う表情をしている
自分の母親も。周りの人々も。
だから単純な疑問をぶつけていたの。
何度も何度も何度も…
気づいたら私は一人になっていた。
親も友達も、私にはいなくなった。
きっと私のせいだと思うけれど、両親は離婚した。
でも、私の事はどちらも引き取りたくはなかったみたいで…
その後は親戚に引き取られて
私は遠くの小学校に転校してきた。
それでも私の力が無くなるわけでも
抑えられるわけでもない。
転校した先でも
沢山の同い年の子たちの感情が見える…
友達なんてできるわけない。
私は人に近づくのが怖くなっていた…
「ねぇ、あやちゃんもあそぼ?」
「わたしは…いい。」
「でも、おにごっこはじまっちゃうよ」
「わたしはやらない。」
「なんで?」
「………」
「おにごっこきらい?」
「………」
「………」
私に声をかけてくれて、本当は嬉しい。
でも、この子と仲良くなっても
この子の心が見えてしまっては
本当の友達になんてなれない。
私はそれが分かっていたから
誰とも遊ぼうとなんて思わない。
その子は私から離れて友達の元へ戻って行った。
これでいい。
誰とも話したくない。
「あやちゃん!」
「…?!」
その子はまた走って戻ってきて
「わたしも!おにごっこいちぬけ!」
「なんで?」
「えへへ…はしるのにがてなのー」
「…わたしといても、たのしくないよ」
「なんでー?いっしょにあそぼーよ?ほら!いこ!」
「えぇ?!」
私は一人で本ばかり読んでいる子だった。
だって本には心がないから
人と関わるより楽しかったから…
なのに、この子だけは…
「ちょっと!どこにいくの?!」
そんな私を見ていてくれた
「あやちゃん、あれ!ブランコあいてる!」
「ねぇ」
「ブランコいや?てつぼうにする?」
「ちがう!」
「じゃ、ブランコのろ!」
「えぇ?!」
この日以来、
私はこの子と一緒にいることが多くなった。
甘実かんなは
小学生の私にできた、初めての友達。
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