ANGEL -エンジェル-

癒-healing-

Ｐ33．少し、長い話になるわ…

「よく頑張ったよ」





「「え？」」

みんな二階堂優の方を一斉に見る。

「お前は言っていたよな？甘実かんなが癒しの力を守るため、嫌なことは上書きしていく…そのために自分の魂、寿命を力に変えている。それはお前だって同じはずだろ？甘実かんなを守るために、自分の寿命を使っていろんなことをしていたな。」

私たちはぽかんとした表情で二階堂を見る。
九理が、自分の寿命を使っていた…？

「お前たちの持つその力は本来、人間の寿命として使うだけのものだったはず。それを天使の力として使うことで寿命が減っていく。お前がこいつに見せた力、あれはお前の寿命を削る行為のはずだ。それから、お前がやったことはそれだけじゃない。甘実かんなのために、甘実や、水谷の心の中も読んだんじゃないのか？」

その行為でどれだけの寿命が使われるのか…分かるものなのかも分からないけど、それくらいのことをしてもみかんを助けようとしていたの…？

「なんでそんなことわかるのよ…」

「もし、甘実のためにこいつを動かそうと思うなら、最低限必要なことだからだ。お前は最初からこいつが知りたいことを先回りして調べる必要があるからな」

「………そうよ。私は貴方たちの心の中を見た。かんなと水谷真の中の記憶を見て、かんなを助ける術を探していたのよ。」

「それで、僕に声をかけたんですね。誰にも言わなかった僕と甘実さんの記憶を読み取ったあなたは、星さんに僕が協力するように仕向けた。」

「それ…私があなたの力を治してくれるってやつ？」

そういえば真君に九理が接触したのがきっかけで
真君が本当のことを私に告白してくれたんだ…

「陰であなたがいろんなことをしていたのね？」

「……ということは、あの話は嘘だったんですか？」

「…真君？」

真君は九理をみて、悲しそうな顔を向けている。

「ねぇ、嘘ってどういうこと？二人は何を話」






「わかったから！！！」






九理が叫ぶ。

「全部最初から話すから…もう質問攻めにしないでよ。」

少しの沈黙。
二階堂優がため息をついて言う。

「まぁそうだな。お前がやったこと、いちいち説明するのは馬鹿なこいつらがついていけないから…お前が最初だと思うところから今までのことを話してやるといい。」

「あんたはなんでも分かっているかのように…」

しれっととした態度で話を進めようとする二階堂に思わず突っ込む。
そんな様子に九理が少しだけ笑みを浮かべた。




「少し、長い話になるわ…」