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癒-healing-
P45.きっと私は生きていけない
しおりを挟む私は天使のもとへ行ったのだ。
みかんに自分たちの力の話をしても
私ごと忘れられてしまってはどうすることもできない。
私は一体どうすればいいのか…
そう思ったとき、天使の言葉を思い出した。
“また相談にのるよ”
あの子ならもしかしたら何か知っているかもしれない。
あの時は助けられないとか言われたけど、
でもあの子に頼るしかない。
河原のコスモス畑…
もう時期も終わりかけているコスモスは
だんだんと元気がなくなってきている。
「来ると思った」
やっぱりこの子はいた。
「あのね、かんなちゃんが…」
「本当の事、受け入れられなかったんでしょう?それであなたの事まで書き換えられちゃったってところかな?」
「…なんで…それを?」
「んー、僕はなんでもわかっちゃうんだよねー」
力を使うと寿命が減ってしまうのに、
この子はきっと力を使っているのだろう…
そう思ったとき、私はこの子が狂気なのかもしれないと感じた。
「私の言いたいこともわかってるんでしょう?かんなちゃんを助けたい。かんなちゃんが死んじゃうなんて嫌なの!」
「……確かにあの子、もうだいぶ力を垂れ流しにしているよね?」
「…かんなを知ってるの?」
「知ってるわけなんじゃん。君が気にしてたから、一応見に行ったんだよ?」
「じゃあ、どうすればいい?どうすればかんなちゃん…」
「無理だよ」
「……!!」
その子はにこやかにきっぱりと答えた。
「だってあの子は自分で自分のこと受け入れることができてないんだよ?まぁ、あの力の持ち主はたいていそうだけど…そんな状態で、どう助けろって言うの?」
確かにそうなのだ。
かんなは自分の事を受け入れられない。
力の怖さに気付けない。
そうなってしまっては…
勝手に力を抑えることなんて…
「まぁいいじゃない。あの力の持ち主はずっと心が澄んだまま、綺麗に何も知らずに短い命を終えるんだから。幸せだと思うよ?」
「そうじゃない」
「ん?」
「かんなのためにとか、そんなんじゃない。」
私はかんなを助けたいとか、そういう立派な考えなんて持てない。
きっと最初からそうだった。
私は…
「私は、私のためにかんなちゃんに生きていてほしいだけ。かんなちゃんのいない世界を見るのが怖いだけなの。かんなちゃんがいない世界なら、きっと私は生きていけない。」
そう、ただ自分のため。
ただのわがまま。
かんなに本当の事教えるのは本当に残酷なことだし、
今までのつらい記憶だって、一緒に思い出してしまうかもしれない。
それは本人にとっては
どれほどの痛みになるのか…
ふーん、と小さくいった天使は
口角が上がって、
また楽しそうに話し出した。
「じゃあ、その子のためなら、君は死んでもいいってことだよね?」
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