ANGEL -エンジェル-

癒-healing-

P46．僕には分かる

「君が君の命よりも、彼女の命を優先できるなら…助けることはできるかもしれない。」





「…どうやって？」

少し、見当がついてしまった。
でも、それは私が一番やりたくないこと…
私は天使そのこに恐る恐る質問する。

「君の力ではまずあの子を助けられない…なら他の人に助けてもらうしかないよね？」

「…うん」






「じゃあ君の力で他の天使を探すといいよ。一人一人の心の中を覗いてね。」






日が沈み始めていて
天使の顔は逆光でよく見えないが
きっととても楽しそうな顔をしていただろう。

いつものように
なんてことないと言うような声色で話を進める。

「いろんな力があるみたいだしー中には力のコントロールを教えられるような能力もあるかもよ？あとー、強制的に記憶を蘇られてくれる人もいればいいよねー？」

「…ふざけてるの？」

そんな能力、都合よくあるわけない…
それに、他に天使の力を持つ人なんて
今まで2人しか会ったことがないのに
そう簡単に見つかるはずがない。
ましてや、あてもなく、ひたすら人の心を覗き続けるなんて…

「ごめん、ごめん。怒んないでよ。半分は冗談だよ？」

「半分って…」

「だって、君にはその選択肢しかないんだもん。僕には分かる。」

「あなたのそれ、僕には分かるって…なんなの？何の根拠があるの？」

最初会った時からそうだった。
この子は何かと“僕には分かる”と言っていた。
助けてもらってなんだけど
その言葉に何の信憑性があるというのだろう。

「君が最初に会ったとき、僕がなんでここにいたと思う？」

「…え？」

「今日だってそうだよ？君が来るってわかってた。」

「あなたの力ってもしかして…」

完全に日が落ちて、
元気のないコスモスまで不気味に見えてくる
天使そのこは相変わらずの笑顔を見せて言った








「僕の力は、予知能力なんだ」