ANGEL -エンジェル-

癒-healing-

P48．お前は馬鹿か

「だから私は天仁高校へ進学したの。かんなを助けてくれる天使を探すために…」

「そのために天仁高校ここに来たのね…」

天使の話を信じたんだ…
信じるしか、なかったんだ…

「ここ、学費高いのに…」

「いや、それは特待生入学で…ってそれはどうでもいいのよ！」















「とにかく、私はこの学校に入学してからというもの、あなた達のような天使の力の持ち主を捜したの。」

「そして雫さんや僕を見つけたんですね」

長い話もやっと今に繋がった。
小さい頃に会った天使の言葉で
九理はここまでやってきたんだ…

そしてまだそれは達成されてはいない。

「私たちの力で何とかしてもらいたいって言っても、真君の力は治癒能力だし…」

「お前の力にいたってはあるんだかどうだか」

「くっ…その通りだけど、あんたに言われるとムカつく。」

「だからまだ探し続けるわよ…でも、あなた達のようにかんなを助けたいと言ってくれる天使がいるのは、とても嬉しかった…」

そう言って九理は笑顔を見せた。
今までのような本音を見せないような笑顔ではなく、きっと本当の彼女の表情を…

「ずっと1人で、これからも1人で…死ぬまで探し続けるのかなって、思ってたから…」

「九いちじくさん…」

「でも、あなた達にできることはきっともう何もないって、本当は分かってた…もしかしたらなんて思ったりして、私の事に巻き込んでしまったようで…本当にごめんなさい…」

「そんな…」












「お前は馬鹿か」












…は？

私も真くんも何も言えずにいたのに
今まで黙って聞いていた
二階堂優まさるが急に口を開いた。

「お前が巻き込んだから迷惑してるんじゃない。俺たちは甘実の力に巻き込まれて迷惑しているんだ。」

言っていることは正論だが
それはみかんに対して失礼だな…
いや、正論だけどね。

九理はそれを聞いてぽかんとした表情をしていた。

「お前が天使を探していようがなかろうが、俺たちはみんな被害者だ。どっちにしろ巻き込まれてんだよ」

「でも…知らない方がよかった事もいっぱい吹き込んでしまったわ…」

「こいつらの寿命なんぞ知ったことか」

「おい、わかめ！」

聞き捨てならんぞ！

すかさず突っ込んだ私を
二階堂優は全く気にする様子がない。







「お前もなんか言ったらどうなんだ、甘実」







そう言って二階堂優が見た先には






「みかん？！」

「甘実さん？！」

ことの元凶であるみかんがいた。

「なんで…ここに…？」