ANGEL -エンジェル-

癒-healing-

Ｐ51．思い出しましたか？

あれ…？

また夢の中…？




「…ーーだから、私たちの力は本当は使っちゃいけないの。かんなの力も早く抑えられるようにならないと、あの人が言ってたみたいに…！」

「それってさ」

「うん？」

「私はきっと…すぐ死んじゃうんだよね？」

「…え？」

「だって、私は…助けられないって…２０歳までに死んじゃうって…言われたんでしょう？！」

「それは…」

「私は…ずっときゅうりと…」






みかんと九理？

じゃあこれは…みかんの記憶を消した時の…

次の瞬間、みかんはその場に倒れた―

真君の時と同じだ…

倒れたみかんの傍に、泣きながら九理が駆け寄って行って、みかんを抱きしめる。







「みかん…ごめんね…ごめん…」





きっと、みかんが記憶を失くすことは、九理にとって一番つらいことだろう…

彼女にはみかんしか信頼できる存在はないのだから…






「私は、必ずあなたを助けるよ…だからまってて…みかん」

























耳鳴りがやんで、周りをみると、
他の皆も私と同じように周りを見渡していた。
みんな立っていられなかったのか、
その場に座り込んでいる。

「きゅうり…？」

その声にみんなはっとなって
みかんの方を向いた。

「かんな…？」

まさか…

「あは……きゅうりだぁ」

「かんな…!!!あなた記憶が…?!」

みかんは幸せそうに顔を綻ばせ
九理に抱きついた。

“きゅうり”と呼ばれただけで
彼女はすべてを察した。
もちろんその場にいた私たちも…。

だって彼女をそう呼ぶのは
唯一の親友であるみかんしか居ないのだから。

九理もみかんをぎゅっと抱きしめ返した。

「く、苦しいよ…きゅうりー」

「かんな、本当はすっごく会いたくて…あの日のことも謝りたくて、本当にごめんね！！！」

「ちょっ…ホント苦しい！死んじゃうー！」

九理は嬉しさのあまりか、
みかんをつぶす勢いで抱きしめている。

みかんはどうやらちゃんと
九理のことを“幼馴染の親友”と
認識しているようだ…

二人を見守る私たちは
立ち上がって顔を再度見合わせる。

「よかった…みかん、思い出したんだね！」

「…まぁ、とりあえずは成功したな…ただ」

「ただ？」

「問題は、“全部”を思い出したのかだ」

「…そうだ…真君のことは？」

「………。」

真君は一変して、不安そうにみかんを見た。
九理もみかんを離して彼女を見つめる。

「真君…」

「甘実さん、僕の事も…思い出しましたか？」