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癒-healing-
P50.もう打つ手はないな
しおりを挟む「ねぇ、あなたが私の…思い出せない女の子なのかな…?」
「……私は……」
みかんは少しずつ九理に近づいていく。
お互い目をそらさず、だんだんと距離が縮まっていく…
九理にとっては唯一無二の親友のはずなのに
みかんに怯えて震えている…
それはとても異様な光景に見えた。
「ごめんなさい。」
「え…?」
「あなたは私のこと大切に思ってくれて、自分の寿命も顧みずに私のことを助けようとしてくれたんでしょう?なのに私…まだあなたのことが思い出せない…ごめんなさい」
みかんは九理に深く頭を下げた。
私たちはみんなぽかんとしてしまって、
少しの間静寂が訪れたが二階堂優がつぶやいた。
「もう打つ手はないな」
今の話を全部聞いていたのに、ダメだったの…?
真君に会っても、
九理に会っても、
今までの話を聞いても…
思い出せなかったの…?
もう、みかんの記憶は戻らないの…?
「もう、思い出せないのかな…」
頭を下げているみかんの下に
雫がぽたぽたと落ちる。
顔をあげないまま小さい拳を握り締めて、
肩を震わせている…。
「私の事でみんなに迷惑をかけちゃって申し訳ないって思っている気持ちも…今…思い出せないことが辛いって気持ちも…きっと私は忘れちゃう…どうすればいいのか分からないけど…でも…」
やっと顔をあげたみかんは
今まで見たことないような、
辛そうな顔をしていた…
「でも、もう…忘れなくないっ!一人だけ全部忘れてしまうなんて嫌だよ…!!」
大粒の涙がぽろぽろ溢れて
言葉はつっかえているが、
それでも彼女は話し続ける…
「もう、わ、忘れたく…な…」
一番最初に動いたのは
「…っ忘れさせない!!!」
九理だった。
彼女は泣きじゃくるみかんを抱きしめて
一緒になって泣きながら続けて言った。
「謝るのは私の方!助けたかっただけなのに、結局傷つけてばっかり…。本当にごめんなさい…。でも、ここまで頑張ってきたんだもん…私は貴方を助けるよ…だからまってて…みかん。」
その時だった…
耳鳴りのようなものが響いて、私は…いや、ここにいた全員が苦しそうに顔を歪めた。
「何だ?!」
「痛っ…立ってられな…」
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