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癒-healing-
P55.…ありがとう
しおりを挟むきゅうりはみかん支えながら外へ誘導した。
私もすかさず二人について行った。
中庭の一番出入り口から遠いベンチには
相変わらず二階堂優が座っていたが、
みかんの様子を見てか、
あっさりそこを譲ってくれた。
「落ち着いた?」
みかんの隣にきゅうりが座って、
背中をさすってあげている。
「うん…ありがと、きゅうり…二人も…ごめんね?」
『謝ることなんて何もないよ。』
「うん……えへへ、もう平気だよ!泣くなんてらしくないね?」
いつもの可愛い笑顔なのに
何だかいつもと違う。
笑いたくなんてないはずなのに
無理に笑っている顔は
まるで真君みたい…
「かんな、私は今かんなが思っていることは間違っていないと思うよ」
「え…?」
「彼のこと、大切だから傍にいたくないんでしょ」
「……」
きゅうりはみかんに優しい声で話を続ける。
「記憶が戻った時…今までのこと全部思い出したんだよね?今真君を避けているのは思い出した記憶の中に…なにかあったんじゃないの?」
そういわれた時のみかんは、
少し困惑しているようだったが、すぐに困った顔をして言った
「……きゅうりには勝てないなぁ…私の心でも読んだの?」
「そんなの力を使わなくたって分かるわよ…」
「……うん」
みかんは少しの間俯いて、考え込んでいた。
何度が顔をあげて話を始めようとしては、また俯いて…
「…ごめん。私…何て言えばいいのか、まだ…よく分かんなくて…」
「うん。」
「…ごめんね…必ず説明するから…」
「うん。いいよ、急がなくて。ゆっくり自分の中の気持ち整理しなよ」
「…ありがとう」
みかんの瞳にいっぱい溜まっていた雫が
再びぽろぽろこぼれ出した。
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