ANGEL -エンジェル-

癒-healing-

Ｐ59．しずく、いじわる

「で、ミスコンに出ることになったんだ？」

「まぁね…それで色々準備とかあって…」

「そっかそっか！」

「………なんか、しずく嬉しそうだね」

「んーまぁ、楽しみだしね。みかんが今年も伝説をつくってくれると思うと」

「作んないよ！去年のも伝説じゃないし！」

ミスコンは我が天仁高校の一大イベントである。
毎年文化祭のあと、在校生による在校生のみのが参加できる後夜祭の一番最後、とりを飾るのがミスコンである。

「急な話だから大変だよ…衣装とか、自己ＰＲの準備とか…」

「まぁ、まぁ、全校生徒が楽しみにしてるよ？」

「しずく、いじわる」

そう言うとみかんは
頬を膨らませて私を睨んだ。

今年はクラスの実行委員にやる気がないのか、
学校・地域の紹介展示、などと
適当な展示物を仕上げて展示するだけ…
という気の抜けるようなものだったので、
みんな文化祭は遊びまわる予定だった。

みかんも去年のミスコンに優勝者だというのに
今年の文化祭から逃げられる気でいたのだろうか？
おそらく最近職員室に呼ばれていたのも
ミスコンについて担任か学年主任の先生に説得されていたのだろう。

ところで…去年も無理やり多数決で決められたようなミスコンクラス代表だったが、
結局は優勝しちゃったわけで…
なんでこんなに頑なに二年目のミスコンに出たがらないんだろう…？

「もう一週間しかないのに…」

そんな疑問も、
頭から煙が出てきそうな様子のみかんには
ぶつけづらい雰囲気だった…

もう少し落ち着いたら聞いてみようかな？