ANGEL -エンジェル-

癒-healing-

Ｐ69．大丈夫ですよ

「甘実さん、僕は貴方のことが好きです」



「へ…?!」


大勢の前だというのに真君は躊躇もなくみかんに告白した。

“一年後に告白する”私にはそう言っていたのに突然なんで…

あまりのことにみかんは真っ赤になって固まっていた。



「甘実さんは、僕のこと、どう思ってますか？」

「私は…その…」



みかんがどもっていると、みかんのファンの人たちが騒ぎ出した。
うせろとか、かんなちゃんが困ってるぞとか、真君に対してのブーイングが多かったが、中には頑張れと二人に声援を送る人たちもいた。
もちろん私も声に出して応援したかったが、真君とみかんの様子を息をのんで見守ることしかできなかった。



「私は…無理だよ…」

「僕の事なら何回でも忘れていいですよ」

「……え？」

「僕は…甘実さんが僕を忘れることより、あなたが僕の傍に居ないことの方がずっと辛いです。それに、僕は貴方を傷つけるようなことはしません。
ずっと…あなたの笑顔を守りますから。」

「………」

「友達としてでかまいません。…また一緒にお話ししてくれませんか？」

「………」

「…傍に、居させてくれませんか？」



真君は私と初めて会った時からずっとみかんのことだけを考えていた。
みかんのことを大切に思って、みかんのためにしたことで記憶が置き換えられて…
それでもみかんを助けるためにずっと動いてきた。
それはみかんにも分かっているはずだ。

気が付けばみかんの大きな瞳から沢山の雫が溢れいた。

「甘実さ」






「私、思い出したの。私は真君に沢山ひどいことをしたよね。」






「そんなこと…」

「真君といた時間を、私はまるで覚えていなくて…
あの日あなたに…“誰？”って言ってしまったとき、
あの時の真君の顔がどうしても頭から離れなくて…
私は、あなたになんてひどいことをしてしまったんだろうって…!!」



まわりの生徒たちには何の話だかまるで分からないだろう。
おそらくみかんの言っている“あの日”は
みかんが記憶を置き換えられて気を失った後の話なんだろう。


「もうあんなの嫌だよ。また気づかないうちにあなたを忘れてしまったら…私は…」






「大丈夫ですよ」






真君はみかんに近づいて笑顔で頭を撫でた。


「あなたが忘れても、僕があなたを覚えています。
仮にまたそんなことがあっても、また記憶を取り戻して見せます。あなたの傍にずっと僕は居ます。居させてほしいんです。」