ANGEL -エンジェル-

癒-healing-

Ｐ75．私の話、聞いてくれる？

「誰にでも…？」


私はもう誰にでも言いたいことが言える？


「見たところ、お前はもう力の暴走もなさそうだしな。」


私の力は私以外の全てを癒す力だ。
自分のことは純粋に保たれて、
嫌な記憶も辛い記憶も
置き換えられ、消されてしまう…

力を使わないで済む今は
記憶も取り戻して、
嫌なことも、辛いことも受け止めて…
他の人に対しても


「自分の意思でなんでも言えるんだ…」


そんなこと、考えたこともなかったけど…


「私の考えとか、言葉とか…結構力に影響されてたのかな？」

「おそらくな」

「…そうだよね」


私は…もう自由になったんだ…








「…ねぇ、私の話、聞いてくれる？」








「………聞くだけなら」


ぶっきらぼうで少し冷たい答えが
彼らしくて、くすっと笑みがこぼれる。


「私ね…ーー」










私は今までのことを話した。

きゅうりとのこと、

しずくとのこと、

真君とのこと、

自分のこと…

ずいぶん長く話していて
一時間ほど経過していただろうか…
私の気持ちもすっかり落ち着いていた。










「ーーだからね、二階堂君も絶対見に来てね？」

「…気が向いたらな」

「ありがとう！……あーたくさん話したぁ！全部言ったらすっきりした！」

「よかったな…」


そう言って立ち上がり、
じゃあ頑張れよと小さく呟いて
二階堂君がその場を離れようとする。


「本当にありがとう！」


私は慌てて彼にお礼を言った。

だんだん小さくなっていく背中を見ながら私は誓った。


自由に生きよう。


自分を信じよう。