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癒-healing-
P77.私は一人じゃない。
しおりを挟む「急に何を言い出すんですか?!」
「私、違う曲を歌いたいんです。」
「本番まで3時間もないですよ?!変更できるわけないじゃないですか!」
「なんとかします。」
「歌を決めて、振りも考えて、音源探すんですよ?!」
「アカペラでも構いません!」
「ええ…?!」
私は決めた。
真君に届けたい曲を歌う。
真君に私の気持ちを届けたい。
――大好きと、
――ありがとうと、
――さよならを…
その後、私は控室へ戻った。
すぐに制服に戻って、ある人に頼みたいことがあった。
あの人なら…
「甘実さん待ってください!まだ話は終わってません!リハもなしに甘実さんにみんなが合わせられるわけないでしょう?!」
「本当にごめんなさい。でも、今歌いたいものがあるんです!」
「とりあえず、落ち着いて話しましょう?」
私は半ば無理やり椅子に座らされる。
ーーー
このままじゃ本当に間に合わないよ…
やっぱりいざとなったらアカペラしかない…
「星さん連れてきました!」
そんなことを考えているとそこに
実行委員の子がしずくを連れてやってきたのだ。
「しずく…」
「星さん!星さんからも言ってください!実は…」
私の説得のためにしずくまで連れてくるなんて…
「みかん。一度受けたしたことは最後までやり遂げなよ。今更出たくないとかよくないよ。出るだけ出てあげなよ。」
聞く前に私を説得にかかるしずくに
周りの人たちががくっと崩れる
「「「そうじゃなくて!」」」
「…違うの?」
「実は…甘実さんが違う曲を歌いたいって言い出して…もう時間がないのに…」
しずくは最初こそ驚いた顔をしていたが、
すぐに笑顔になって私に笑いかけてきた。
「なーんだ、そんなことかぁ」
「…え?」
止めないの…?
無理だって言わないの…?
「そんなことって!?」
「いいじゃない!曲変えるくらい。」
あっけらからんと答えるしずくに対し、
そんな簡単なことじゃないと、周りは状況の説明を始める。
当たり前だ。
ステージの事なんてわからない人に簡単なことのように言われたくない気持ちもわかる。
でも、ぶっつけ本番のステージでも私は歌わなきゃ。
例えしずくに反対されたとしても…
一通り聞いた後で、
なるほどね、とつぶやいてしずくは続けて言った
「じゃあ、アカペラで。スポットライトも振り付けもいらないでしょ。」
「「「はぁぁぁ?!」」」
私も思わず耳を疑ったが
しずくは私に、でしょ?と笑いかけてくる。
私はしずくの言葉と笑顔に何かがこみ上げてきた。
嬉しくて、嬉しくて…
じわっと涙が出てくる。
ちょっと怖かったんだ
私がわがままをいったり、困らせたりしたら
みんなが私を見放すんじゃないかって…
でも、もう大丈夫だよね。
「ありがとう、しずく!」
私は一人じゃない。
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