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回-recovering-
F3.そういうことですか。
しおりを挟む次の日の放課後、
チャイムと同時にみかんに連れてこられたのは
自習室…の隣の進路指導室の前。
例の如くダンボールの影に隠れていた。
前にもこんな事があった気がするが
今回も何故私がここにいるのか
さっぱりわからない。
「あのさ、みかん?」
「なあに?」
「あの双子の事に協力するのはやぶさかではないんだけどね…」
「ありがとう!」
「ワカメの誤解を解くだけなら、私いなくても良くない?」
今回の話はこうだ。
わかめから話を聞き、真君から聞いた話を伝える。
最終的にはお互い恨み合うことなんてない
と気づいてもらって、ハッピーエンド…。
…私、いらないよね?
「いらないわけない!!!雫がいないとダメなの!!!」
「ええ?!な、何で?!」
「真君の話聞いてもらうの簡単じゃないの…この前は俺は関係ないって言われて取り合ってくれなかったし…」
もう話してたの?!
「その次は真君の名前だしただけで逃げられたし…」
何度もトライしてたの?!
「だから、まともに話してもらうにはしずくが居なきゃ」
「なるほど、そういうことですか。」
話に夢中になっていた私たちの
側にやって来たのは、
二階堂優ではなく、水谷真の方だった。
いつも穏やかな雰囲気をまとっている彼が
今日は何処か雰囲気が違った。
「真君…!あの、これは…」
そんな真君の様子を見て
みかんは何故か慌てている様子を見せる。
「兄との話は気にしないでくださいと言いましたよね?」
「でも誤解を解ければ」
「今週中ずっと兄を追いかけ回していたんですね」
「良かれと思って…」
「さぁ、帰りますよ」
真君はみかんの腕を掴んで引き寄せると、
ころっと笑顔に戻って私に話しかける。
「星先輩、お騒がせしました。兄との事は大丈夫ですので、気にしないでください。…あと、甘実さんは僕が送って帰りますので失礼します。」
「…は、はい。」
真君、怖いよ…
私は2人の背中を眺めながら、
一体なにが起こっているのかわからず、
しばらくその場に立ち尽くしていた。
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