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観-see-
S4.興味ないの。
しおりを挟む「え…?」
こいつ、何て言った?
「試合始まった時ね、しずく…友達の話に気を取られちゃって、気が付いたら終わってて…ごめんね?」
いや、ごめんねじゃねーし。
あんな風に叫んで勝利宣言した俺のことを…
見てなかっただと?!
まわりの男子が甘実かんなの返答と
呆気にとられる俺の顔を見て
噴き出して笑い始める。
当たり前だ。
こんなに無様なことはない。
「先輩ひどいなぁ…俺先輩のために頑張ったんですよ?」
「それなんだけどね」
「はい?」
「私、あなたの事覚えてなくて…どこかで会ったことあるのかなぁ?」
甘実かんなは俺の言動で
可愛い顔を崩すことなく、
全く心も乱されていない様子で…
そうそれはまるで…
今日初めて会った、
知らない後輩へ向ける態度のまま、
変わることはなかった。
考えてみれば、
あんな反応をされたのは初めてだった。
あんなに自分に無関心な態度を
とられたことがなかった。
だからこそ、俺は
“甘実かんな”を攻略することに燃えたのだった。
あの女かなりの天然だ。
俺が何で名前を知っているのかと聞いていたが、
そもそも甘実かんなは学校の有名人で
みんなが名前を知っている。
ファンクラブまで存在するとかしないとか…
そんなこともきっと彼女は知らないのだろう。
下手すると自分は平凡な人間だとか思っていそうだ。
だから…
「俺、甘実先輩のこと好きです。」
「え…?」
俺は彼女を呼び出して、いきなり告白した。
「あ、付き合って欲しいとかじゃなくて…ただ伝えたかっただけで…いきなりすみません。」
しかし、この告白は玉砕覚悟とか
本気で付き合う気とかはさらさらない。
これで少しでも俺に意識するように仕向ける作戦だ。
「友人として仲良くしていただけないですか?」
さすがにこれで俺を意識せずには…
「ごめんなさい。」
「え?」
「私、恋愛とか分からないし、興味ないの。だから友達からとかもちょっと…」
おいおい、ちょっと待て。
「いや、先輩あの…」
「本当にごめんね」
「ちょっと待っ…!」
そのまま甘実かんなは俺の元を離れて行った。
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