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回-recovering-
F11.ありがと
しおりを挟む「知るかよ」
「知るかよって…みかんと真君が恋人になって、やっとこれからなのに…みかんの寿命が短いかもしれないなんてさぁ…」
私と二階堂優は寒い中、
中庭のベンチに座って話し込んでいた。
正確に言えば、
昼ごはんに食パンを食べていた二階堂の隣に
私が勝手に座って話し出した。
「やっぱり、みかんはあのままの方が幸せだったかな?」
「は?」
「あのまま、辛いことも寿命のことも気にせず過ごせた方が良かったのかな…」
「………」
しばしの沈黙が流れる。
二階堂は食べかけの食パンを食べきって
俯いている私の顔を覗き込んで言った
「馬鹿か」
「ばっ…?!」
「あのままが良かったわけねーだろ。あのまま俺とあいつを勘違いされてたんじゃ、俺の勉強時間がなくなる。」
「あんたねぇ…」
「……あと、少なくともあの時のお前はあのちっこいののために頑張ってたんじゃねーの?」
「え…」
「それも、あのちっこいのはちゃんと分かってる。あのままの方が良かったとか言うな。」
いつもは辛辣な言葉しか返ってこない二階堂から、予想外にも優しい言葉が出たことに驚いてしまいフリーズしてしまう。
「…なんだよ」
「…………」
「言いたいことがあるなら言えば?」
「…………きもいね」
「あぁ゛?!」
「あ、つい本音が。」
「殺すぞ?!」
慰めてくれたのに、
ついいつもの調子で話し出してしまった。
普段冷たいくせに、
急に優しくなるとか調子狂うなぁ…
でも…
「あの、さ…」
「今度はなんだよ?!」
「…………ありがと」
なんだか気恥ずかしくてよく見てないけれど、
たぶん二階堂すごく驚いたのだろう。
少しの沈黙の後に一言だけ返してきた。
「………別に。」
たまには私も素直になってもいいかな。
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