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第24話「魔術師のラーニャ3」
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夢を見ていると自覚することはないが、彼女、つまりはラーニャが見ているのは夢である。
走馬灯のような。
そんな夢。
「手順は正しいはず。天才の私にはなんの過誤はないはず」
なのに、どうして——
「どうして、あなたの魔力は暴走するのかしら?」
と、リーデル。
左腕を捥がれたリーデルが、血にまみれながら片膝をついている。
リーデルの左腕を捥いだのは、ラーニャ。
魔力が暴走し、我を失ったラーニャが、名の通り暴れ走っていた。
「ふーッ。ふーッ」
息の荒いラーニャの目は、リーデルを見つめる。
その口には、捥いだ左腕が咥えられている。
「私様の腕を捥いだことを、奇跡のように感じなさい、ラーニャさん。まあ、その行動は無駄だけれど」
詠唱もなしに左腕が再生したリーデル。固有魔法である——天才である彼女は、ほとんどの魔法を固有魔法として扱える。
「跪け」
リーデルの一言で、ラーニャはその場に膝をつく。そのまま重力が強くなったかのように、両手をついて、
「ぐぅ」
と、唸る。
「重いでしょう。それは封印の一種。そのまま動かなくなってくれれば助かるのだけれど」
ドンドン! と、強く扉をノックする音が聞こえた。フレだ。
リーデルは壁越しにでも感じる魔力の色や匂いで、その人物が誰だか、顔見知りならわかる。その魔法さえ、リーデルにとってたやすいものだ——が。
「そういえば、ラーニャさんが来た時は、誰が来たのかわからなかった——何故? 魔力成長期だから? それならなぜ実験は成功せず、暴走という形で結果に出ている……?」
「何が起きている! この魔力はなんだ!? リーデル! ここを開けろ!」
「うっさいわねえ」
ぱぱっと。
この部屋を、結界で隔離する。
「よし、雑音は消えた」
リーデルはラーニャの目の前に向かう。
「実験を続けましょう、ラーニャさん。あなたの正体、必ず掴んで見せるわ」
走馬灯のような。
そんな夢。
「手順は正しいはず。天才の私にはなんの過誤はないはず」
なのに、どうして——
「どうして、あなたの魔力は暴走するのかしら?」
と、リーデル。
左腕を捥がれたリーデルが、血にまみれながら片膝をついている。
リーデルの左腕を捥いだのは、ラーニャ。
魔力が暴走し、我を失ったラーニャが、名の通り暴れ走っていた。
「ふーッ。ふーッ」
息の荒いラーニャの目は、リーデルを見つめる。
その口には、捥いだ左腕が咥えられている。
「私様の腕を捥いだことを、奇跡のように感じなさい、ラーニャさん。まあ、その行動は無駄だけれど」
詠唱もなしに左腕が再生したリーデル。固有魔法である——天才である彼女は、ほとんどの魔法を固有魔法として扱える。
「跪け」
リーデルの一言で、ラーニャはその場に膝をつく。そのまま重力が強くなったかのように、両手をついて、
「ぐぅ」
と、唸る。
「重いでしょう。それは封印の一種。そのまま動かなくなってくれれば助かるのだけれど」
ドンドン! と、強く扉をノックする音が聞こえた。フレだ。
リーデルは壁越しにでも感じる魔力の色や匂いで、その人物が誰だか、顔見知りならわかる。その魔法さえ、リーデルにとってたやすいものだ——が。
「そういえば、ラーニャさんが来た時は、誰が来たのかわからなかった——何故? 魔力成長期だから? それならなぜ実験は成功せず、暴走という形で結果に出ている……?」
「何が起きている! この魔力はなんだ!? リーデル! ここを開けろ!」
「うっさいわねえ」
ぱぱっと。
この部屋を、結界で隔離する。
「よし、雑音は消えた」
リーデルはラーニャの目の前に向かう。
「実験を続けましょう、ラーニャさん。あなたの正体、必ず掴んで見せるわ」
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