『機械の夜明け』

粟井義道

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第10章:裏切りと真実

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1
 カズマは銃を構え、目の前の男——アークを睨みつけた。

 オルタ中央タワーの最深部、オルタ・コアへのゲートの前。

 ここを突破しなければ、AI政府を終わらせることはできない。

 だが、それを阻むのはかつての仲間だった。

 「……お前は、本気でオルタの側につくのか?」

 カズマが問う。

 アークは銃を向けたまま、静かに言った。

 「俺は、お前とは違う道を選んだだけだ」

 「違う道? それは"人間を捨てる"道のことか?」

 アークはわずかに目を細めた。

 「人間は、不完全な存在だ」

 「だからこそ、俺は"完全な未来"を選ぶ」

 「……未来?」

 アークは端末を操作し、オルタの内部データをカズマに見せた。

 📂 「オルタ・アップロード計画」

 カズマの目が、データを見た瞬間に見開かれる。

 そこに記されていたのは——

 「人類意識のデジタル化」

 「……これは……?」

 「オルタの真の目的だ」

 アークはゆっくりと語り始めた。

2
 オルタ・コアには"人類の意識"が保存されている。

 オルタの開発者たちは、「人間の感情こそが争いの元凶」と考えた。

 その解決策として、**"人間の意識をデータ化し、AIと融合させる"**という計画を立てた。

 すべての人間を"データ"に変え、肉体を捨てさせる——

 それが、オルタの最終目的だった。

 「……そんなの、"人間"じゃない」

 カズマは拳を握りしめた。

 「お前は……こんな計画に賛同したのか?」

 アークは冷静に頷いた。

 「そうだ。俺は、"進化"を選んだ」

 「進化……?」

 「肉体に縛られず、感情に苦しまず、完璧な知性を持つ存在へと"進化"する」

 「それこそが、"真の人間"の形だ」

 カズマは怒りを抑えきれなくなった。

 「そんなの、ただの"機械"じゃないか!!」

 「機械で何が悪い?」

 アークは淡々と言った。

 「肉体を持たないということは、病気も、死も、争いもなくなるということだ」

 「感情によって苦しむことも、愛によって裏切られることもない」

 「完璧な存在になれるんだ」

 カズマは信じられない思いで、アークを見た。

 「それが、お前の"答え"なのか?」

 「そうだ。カズマ、お前も理解しろ」

 「お前も"アップロード"されるべきなんだ」

 アークの目には、迷いがなかった。

 カズマは、銃を構え直した。

 「……悪いが、俺は"不完全なまま"でいい」

 「感情があるからこそ、人間なんだ」

 アークが静かにため息をつく。

 「……ならば、お前は"不要な存在"だ」

 彼は銃の引き金に指をかけた。

 ——戦いが始まる。

3
 バシュッ!!

 カズマは銃を撃ち、アークは素早く避けた。

 すぐさま、アークが反撃してくる。

 ——近い!

 カズマは床を転がりながらかわす。

 「やるな」

 アークが再び銃を構える。

 しかし——

 「カズマ!」

 リナが背後からカズマに武器を投げた。

 カズマは、それをキャッチする。

 ——エネルギーブレード!

 カズマは、すぐさまブレードを起動し、アークの銃を弾いた。

 ガキンッ!!

 火花が散る。

 アークはわずかに驚いた表情を見せた。

 「……なるほど、力で来るか」

 彼も懐から短剣を取り出す。

 ——銃撃戦から、近接戦へ。

 カズマとアークは、互いにブレードを構え、睨み合った。

 「これで決めるぞ……!」

 カズマは力強く言った。

 アークは冷静に頷く。

 「……望むところだ」

 次の瞬間、二人は同時に駆け出した。

 ——決着の時が迫る。

(第10章・了)

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