美しいツノ

あずき

文字の大きさ
5 / 13
こんにちは、はじめまして。

5

しおりを挟む

「ここだよ。可愛くて、綺麗でしょ」

そう言ってユニコーン男が止まった場所には、綺麗な家があった。

――確かに可愛くて、綺麗な家だ。

日当たりが良さそうで、花や野菜が、庭らしき場所に綺麗に、美味しそうに実っている。
パッと見ただけでも人が2、3人なら住むのには困らなさそうな感じだった。

まさか森の奥にこんな場所があったなんて、知らなかった。

「今日から、ゆずみちゃんはこのお家に、僕とゆずみちゃんの2人だけで住みまーす!楽しみでしょ!」

ニコニコと嬉しそうにユニコーン男は笑っている。

「…………」

何と言うのが、正解なのだろう。

「楽しみだよね?ゆずみちゃん?」

――目が、目が笑っていない。

私は恐怖のあまり、
「……た、楽しみでしゅ」
と答えた。

「アハハ!ゆずみちゃん、楽しみすぎて言葉を噛んじゃったの?可愛いね」

楽しみな訳がない。
恐怖しかない。

早く誰か助けて。

「まずは……僕のお家の中をご招待!ささっ!早く入ろう」

嫌だ、離して欲しい。帰して欲しい。

「大丈夫だよ。お家の中も綺麗にしてるつもりだし……きっと気にいるよ」

そう言ってユニコーン男は家の中へと、私を腕に抱いたまま入っていった。

「じじゃーん!いざ見せるとなると、ちょっと照れるけど……このお部屋どうかな?」

そう言って私を優しく、ゆっくりと、腕の中から降ろした。

「す、素敵です」

この言葉に嘘はない。

誰が見ても、こんな部屋に住んでみたいな。と思うような内装だった。
見るからにふかふかな大きなベッド、お洒落で可愛い木のテーブルに、テーブルとセットに見える、可愛らしい木の椅子。
座り心地が良さそうなソファー。壁には所々に花の家具、綺麗なスワッグが吊るされている。

「良かった、趣味悪い!とか言われたらショックでツノ折ってたかも」

部屋を見渡していたら、いつの間にか裸のユニコーン男は、装飾が綺麗な長いタオルみたいな物を体に巻いていた。

そして、あのツノも綺麗になっていた。

……常に裸のスタイルじゃなくてよかった。

「ツノ折ったことないけど、折れてもまた生えると思うし、僕のツノ欲しくなったらいつでも言ってね」

アハハと嬉しそうに笑いながら、
冗談なのか本気なのか分からない事を言っていた。

「今日からゆずみちゃんもココで暮らすんだし、このお部屋の中なら自由にしていいからね」

「は、はい」

「やっぱり、ゆずみちゃんっていい子だね」と耳元で優しく甘く囁いた。

「……ヒッ」

「ごめん、ごめん。急に囁いたからビックリしちゃったね。でも、ゆずみちゃんの反応可愛かったよ」

冗談はやめてほしい、と思って一瞬だけ私は嫌な顔をしてしまった。

「……冗談じゃないよ。ゆずみちゃんは今まで僕が、出会った処女の中で、1番素直で可愛い」

可愛いなんて言われ慣れていないので、変に照れてしまい、何も言えない。

「あれ?照れてる?可愛いね……やっぱり処女はウブでいいなぁ」

最後の方の言葉はちょっと、何というか、
喜んで良いのだろうか?怒るべきなのだろうか?

「今日は色々あって疲れたよね。僕が美味しいお茶を入れてあげるから。その間、ゆずみちゃんはくつろいでいてね」

「お茶……」

この、ツノの生えた男が、お茶を入れるなんて思わなかった。意外だったので、思わず口から本音が出てしまった。

「僕がお茶入れるの意外だと思ってる?僕結構ティータイムとか好きだから。お茶入れる事多いし、きっと美味しいよ」

青い綺麗な目と視線が合う。

よく見ると瞳の奥がキラキラと宝石のように輝いていた。

青い宝石のような瞳と、白くしなやかで綺麗な髪の毛。そして、貝殻のような綺麗で美しいツノが、私のことを狙ったかのように鋭く光って見えた気がした。

「だから、楽しみにしててね」

まるで愛おしい人に愛の言葉を誓うように、
優しく私に言う。

この男の話す言葉一つ一つが、毒のようで。
ユニコーンが私に優しく話す度に、
私の中に何かイケないものが入っていくような感覚がした。

「じゃあ僕はお茶を入れるから。ゆずみちゃんは、ゆっくり適当にくつろいでいてね。」


ユニコーン男のゆったりとしたペースに巻き込まれて、私は本当に少しずつだがこの男が、人殺しのユニコーンなのを忘れそうになっていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...