美しいツノ

あずき

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こんにちは、はじめまして。

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「ゆずみちゃん疲れた顔してる、無理はよくないし……そろそろ寝る?」

「……はい」

凄く疲れた。

気付けば明るかった外は、すっかり暗くなっていた。

「水浴びじゃなくて……えっと、お風呂!そう、お風呂に入ろう!」

――まさか、一緒に入るとか言わないよね。

「もちろん一緒に」

「…………」

――泣きそうだ。

「僕の裸なんて散々見たでしょ、大丈夫!何もしないというか、何もできないし。ゆずみちゃんには、僕の為に永遠の乙女でいてもらわないとダメだしね」

そうか、ユニコーンって非処女は……殺すんだ。

「ゆずみちゃん、何もしないと誓うよ。だから、一緒にお風呂へ行こう。逃げられたら大変だし……常に一緒に居たいだけだよ」

確かに逃げたい。
でも、この男からは逃げれるような気がしない。

この人の目が、髪が、体が、ツノが、こわい。

「ゆずみちゃん」

そう笑って微笑む彼の宝石の様な綺麗な瞳が、一瞬だけ鋭く光ったような気がして、恐ろしかった。

「僕の可愛い可愛い、ゆずみちゃん」

――こわい。

名前を呼ばないでほしい。
もう二度と元の場所へ帰れないような気持ちになるから。

ただただ今は、目の前の男が、怖く感じた。

「ゆずみちゃん、お風呂、行こっか」

あぁ、神様どうか、

「ゆずみちゃん」

この人から逃れますように。



そんな想いは虚しく、

「誰かと一緒にお風呂なんて久しぶりだなぁ。楽しいね」

……何笑っているんだ、この馬男。

最悪だ。裸を見られた。もういっそのこと、その綺麗で鋭いツノで刺してさっさと殺してくれ、なんてことを私は思いながらユニコーン男とお風呂に入っていた。

ユニコーン男は楽しそうに、とても気持ちよさそうにしているが、私は楽しくないし、早く出たい。

ユニコーン男は、水浴びって言っていたから、私はてっきり外の池で、頭や体を洗わされるのではと思っていたけど、この家には素敵なお風呂がちゃんとあった。

「……広いですね、お風呂」

しかも、一般家庭のお風呂より広くてびっくりした。

「ん?まぁね、どの姿でも入れるようにしたんだ。こうやってゆずみちゃんと2人きりで、お風呂にも入れるし……お風呂、大きくして正解だったね」

馬の姿でもお風呂に入るのかな、想像できないな。
猿じゃないんだし、なんて呑気なことを考えていた。

「極楽極楽~」

普段よりも少し高めに声を出した呑気な言葉が、馬男から聞こえてきた。



「いい湯だったね」

お風呂は程よく暖かく気持ちが良かった。

でも、

「…………」

男の人と一緒に入るなんて思わなかった。
しかもツノの生えた馬男と。

「なにボーッと突っ立ってるの?ゆずみちゃん、早くこっちにおいで」

出会った時に、馬男の裸は見たけど。
やっぱりまだ、見慣れないというか……は、恥ずかしい。

「ゆずみちゃん、聞いてる?のぼせちゃったのかな……」


お風呂から出て、馬男がふかふかの柔らかそうなタオルを使い、白く綺麗で程よく筋肉のついた体の水滴を拭きながら、私に話しかけていた。

作り物のような綺麗な体と顔、宝石のように輝く、透き通る海のような色の瞳。お風呂上がりで濡れた綺麗な白い髪。貝殻のようで陶器のような、螺旋状の凄く綺麗で、美しいツノ。

……ツノが無ければ凄く綺麗な男の人なのにな。


ツノが、彼は人間ではないと主張しているようだった。

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