美しいツノ

あずき

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こんにちは、はじめまして。

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風呂上り、ユニコーン男が先程とは違う、綺麗なシンプルな布と紐を使って服にしていた。

私にも「はい、どーぞ」と布と紐を渡してきたが、やり方が分からなかった。

……ユニコーン男はこの布を、どうやって巻いているんだろう?手際が良さすぎてよく見えなかった。

私が困っていると、「わからないよね、ごめんね。やってあげる」そう言ってユニコーン男に布と紐を取られる。

「これでよしっと。はい、できたよ」

ユニコーン男は器用に布と人を使い、私にお揃いの服を作った。



「ゆずみちゃん、こっちに来てみて」

そう言って縁側に座っているユニコーン男が、私に手招きをする。

――正直行きたくないな。

でも、あの人に逆らうのも怖い。

「はい」と小さく呟いて、私はユニコーン男の近くへ行く。

「いい子だね……ゆずみちゃん見てごらん。星が綺麗だよ、ほら」

そう言って彼が上に腕を伸ばし、綺麗な人差し指で空を指した。

「わぁ……」

本当に綺麗な夜空だった。星が一つ一つ綺麗に、眩しく輝いている。

森の奥では邪魔をする物が少ないからだろうか、いつも見上げる夜よりも本当に凄く綺麗に見えた。

「ここから見る星さ……凄く綺麗でしょ?僕好きなんだ、ここから見る夜が。ゆずみちゃんと見ると、いつもよりずっと綺麗に見える気がする」

「本当に……綺麗です」

色々あった1日だった。

今でもユニコーン男のことは勿論怖いし、早く家に帰りたいとも思っている。

……この男からいつか逃げて、なるべく早く帰ろう。

私は綺麗な星を見ながらそんなことを思った。



「星、綺麗だったね」

ユニコーン男が私に優しく言う。

「綺麗でしたね」

綺麗だった、本当に。そしてあの綺麗な夜の星を見ていると、元気と勇気を貰えた気がした。

――いつかこの男から逃げる勇気を。

そんなことを自分の中で静かに決意をしていると、

「……ゆずみちゃん、そろそろ寝る準備しようか」

そう言ってユニコーン男が緩やかに目を細めて笑っていた。

「僕のお家のベッドね、凄いふかふかで気持ちがいいんだ。きっと、ゆずみちゃんも気にいるよ」

大人しくユニコーン男に着いて行くと彼は、「ふかふかだよ~」なんて言いながら、大きな一つのベッドへ歩いて行った。

……ひ、ひとつのベッドで一緒に寝るの?

「ほら、おいで」そう言ってユニコーン男が大きくてふかふかそうなベッドに座っている。

どうすればいいんだろう。一緒に寝たくない。

彼の言うことを聞かず、ぼんやり立っていると。

彼は本当に少しムッとした顔をして、ふかふかベッドから立ち上がった。
そして、「おいで」そう言いながら私の手を引いた。

「……わっ」
急にお尻にふわふわした柔らかさが伝わった。

こ、これは。こ、この感触は……凄く柔らかな、ふかふかベッドだ。

ここに体を沈めることが出来るなら、疲れなんて、すぐに飛んでいってしまいそう。

ユニコーン男はそんな私を見て、ニコニコと嬉しそうに笑っていた。

ふかふか!まるで雲に包まれたような寝心地。

このベッドを売るなら私は、こんな感じのキャッチコピーで売るだろう。

本当にふかふかで、きもちよくて、幸せだった。

「いいでしょ、このベッド。僕、凄いお気に入り」

「……凄く、凄く良いですね」

話しかけないでほしい。
幸せは1人で静かに噛み締めたい派なのだ。

「気に入ってもらえたようで何よりです」

ムフフフという様な、変な笑い方をして美しいツノが、幸せモードの私を見つめて笑っている。

「これを掛けて寝なよ」そう言ってふわふわのタオルを馬男が私に渡してきた。

……こ、これは。また、きもちいい、ふわふわ。

駄目だ。

気が抜ける。

そう思いながらも私はまんまと、ふわふわ、ふかふかに囲まれた。

……もう、一歩も動きたくない。


「眠くなったら寝ていいからね。ゆっくりおやすみ」

はぁ、なんて幸せなんだろう。


――今だけは、
今だけは辛いことも、悲しいことも、嫌なことも忘れたかった。

「おやすみ、ゆずみちゃん」

駄目だ。

凄く眠くなってきた。


「眠たいなら寝ていいんだよ。おやすみなさい、ゆずみちゃん……この場所から、この僕から逃げれるなんて思わないでね」


……いま、なんかいった?
ゆにこーんおとこ、なんか、しゃべった?


夢の世界に飛び込んでいく寸前でふわふわしていて、今の言葉が果たして夢なのか現実なのか、私には分からなかった。


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