美しいツノ

あずき

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あなたのことは、きらいです。

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「ごちそうさまでした」

美味しい朝ごはんの時間は何事もなく、あっさりと終わった。

「ふぅ~。僕、お腹いっぱいだよ。ゆずみちゃんは?」

「私も、お腹いっぱいになりました」

「よかった。二人分作るの久しぶりだったから、足りなかったらどうしようかと思ったよ」

……久しぶりという事は、昔は誰かと住んでいた?

確かに所々、ユニコーン男の趣味?というような家具や食器があり、男性の割には可愛らしい趣味なんだなと思うことがあった。

もしかして、あれはユニコーン男の物ではなくて、他の誰かのものだったとしたら?

――もしかして、過去にこの家、女性が一緒に住んでいた?

もし仮に、この家にユニコーン男の他に誰かが住んでいたとして……。

その人達は今、どこにいるの?

そんなことを考えて下を向いていたので、ユニコーン男の氷のような視線に気づかなかった。

「……あんまり考えすぎない方がいいと思うよ」

鼓膜を揺らす低く重い声にびっくりして、思わず声が聞こえた方へと視線を戻す。

「ゆずみちゃんは、いい子だもんね」

目が泳ぐ。

「ねっ?いい子だもんね?」

ツノが、艶やかで美しいはずのツノが、今は友達が亡くなったあの最悪な昼に見たツノに感じて、凄く恐ろしくて怖かった。

「ゆずみちゃんは、いい子、だよね?」

やばい。

ユニコーン男の低く重い声からして怒らせてしまったのだろうか、

視線を思わず下へ向けた。

……怖くて彼の顔が見れない。

「ゆずみちゃん?聞いてる?」

――助けて。

私も友達と同じように、あの怖いツノに殺されるかもしれない。

「ゆずみちゃん」

ゆっくり私の名前を呼ぶ。

早く、早く帰りたい。

「ゆずみちゃん、こっちを見なよ」

見たくない。

怖い。

「僕をみなよ」

唇を噛んで私は、覚悟を決めて恐ろしいツノを持つユニコーン男を見た。

「やっと、こっちみた」

動物が、一匹の獲物を捕らえたような瞳をしていた。

――こわい。

「やっぱりゆずみちゃんは、イイコ」

逃さない。

獣の瞳が、そう言っているみたいで怖かった。

「…………」

私は恐怖で何も言えず、彼の獣のような瞳を見つめることしか出来なかった。

「かわいい」

そう言って彼が椅子から立ち、
獣の瞳で私を捕らえたまま、近づいてくる。

お願いだから、お願いだから来ないで……。

「かわいいね、ゆずみちゃん……特に『ココ』とか」

目の前の男が怖くて、瞬きすら出来なかった。

「かわいい」

ゆっくりと私を捕らえたまま更に近づいて、私の顔に綺麗で白くしなやかな手を添え、上を向かせた。

そして、

彼は私の右の眼球を舐めた。

「……ぅぇ」

初めて味わう、ぬるりとした感覚と瞳に感じる舌のあたたかさ、異物に触れられる気持ち悪さ。

そして、少しの快感。

女性とは思えない変な声が私の口から漏れた。

「ほら……やっぱり、かわいい」

男は、笑っていた。







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