ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

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第二章:『闇乃宮・壱ノ闘戯場/火獣アカネコ』

【第5話】

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「ツミレ!!」
「はいっ!! 『エレメントプラス・サンダー!!』」
 大蝦墓に熱を食われて死ぬと言う恐怖のあまり大暴れする敵が足場となる円盤の端まで移動したタイミングで弓に矢をつがえたツミレは矢じりに電撃をエレメントプラス。
 敵の足の骨と筋肉のわずかな隙間、神経のある箇所にエイムする。
『サンダーアロー!!』
『ぎゃああああ!!』
 ツミレが全集中の狙いで放った矢は敵の足目掛けて一直線。
 体内温度を下げられて動きが鈍っていた所に足の痛覚神経を貫く電気ショックに悲鳴を上げてバランスを崩すアカネコ。
『帯氷(たいひょう)!!』
『帯石(たいせき) !!』
『帯風(たいふう) !!』
『帯雷(たいらい) !!』
 よろめきながらこちらに倒れて来る敵を前にすぐさま袖から出した小ぶりな鉄扇に火を除く4つのマョイガエレメントを帯びさせたタメシヤノミコト様。
『巨神扇撃(きょしんせんげき!!)』
 巨大化させて一気に振り抜いたそれは大風を敵の巨躯に叩きつけ、同時にそれに含まれた電撃を帯びた雹と石つぶてを至近距離でお見舞い。
『あっ……ぐあっ……』
 火獣の最大の攻撃手段にして自己再生も司る熱の力を翁に吸われ続けてカピカピになっていたアカネコは至近距離でぶっ放された散弾銃の如き一撃に耐え切れずそのままよろめきながら溶鉱炉に落ちる。
「ヤッ、ヤッタノカ……?」
「ああ、あいつもあそこに落ちたら助からないと言っていたからな……それよりヒノミヤノ殿はご無事か!?」
「ご安心ください、人魚族の長殿。火神たる我が主殿はあの程度の熱は……聞きませぬぞ」
 敵もろとも溶鉱炉に落ちたヒノミヤノミコト様を心配するシルバーデストロイメンとゼド村長。
 式神小鬼のタタラの指さす先で何事もなかったかのように溶鉱炉プールから鉄板上に登って来て大蝦暮から翁の姿に戻って行くヒノミヤ様に安堵の息を吐く。
「ヤミネコ殿、貴殿の仲間には申し訳ぬがこれで我らの勝利は決まったであろう。 早く盤上の3人をこちらに戻してはもらえぬか?」
『……勝利は決まった? 何を申す人魚族殿?』
 試練の審判兼案内人として眼下の戦いを見守っていた黒甲冑男・ヤミネコはゼド村長の言葉に首をかしげる。
「いや、そなたの仲間は……」

『アカネコアッパー!!』
 次の瞬間、眼下の溶鉱炉で溶鉄を派手にまき散らしながら打ち上げられる3人の乗った鉄板。
『覆氷壁(おおいのひょうへき)!!』
 直撃すれば火傷では済まないドロドロの鉄が闘技場たる溶鉱炉プール内はもちろんスタンバイメンバー席にもまき散らされる状況下でミズノミヤ様はすぐさま九字切りを結んで巨大な氷塊ドームを生成しその場の全員を守る。

「ミズノミヤ様、助かりました……」
「ふむ、危ない所であった……」
 降り注いた溶鉄から皆を守り切ったミズノミヤ様。
『ふははは、危なかったにゃ!!』
「!!」
 元々巨大な二足歩行ライオンだったアカネコであるが、今や溶鉱炉に下半身を沈めて上半身だけ出せる10数メートル以上に巨大化。
 こともあろうか真っ赤な炉で半身浴しながら膝に乗せた鉄板足場に頬杖を突きつつニヤニヤしている。
「おっ、お前……どうなっとるんや? 変なモンでも食うたんか? それとも……」
『その通りだニャ!! 俺様の能力は熱エネルギー吸収&強化。あのカエルジジィが俺ちゃんの体温を吸いまくってヒエヒエだったところにアツアツの溶鉱炉に落ちたから……一気に吸いすぎてこんなでっかくなったんだにゃ!! にゃはははは!!』
「それより主様に翁殿は!?」
「ツミレもどうなった!?」
闘技場内に居たはずの仲間の無事を確かめるべく溶鉱炉に駆けださんとするチノミヤノミコト様とゼド村長。
『安心するにゃ……あの魚娘はまだ無事にゃよ? オマエ、出て来るが良いにゃ?』
「……?」
『ボンバーネコファイア!!』
「きゃあああ!!」
 口を大きく開け、吐き出すように射出した火球を壁にいくつも打ち込む巨大化アカネコ。
 その衝撃で揺れる壁からはらりと現れたツミレは半円形の浮島鉄板上に落ちる。
「ツミレ!!」
「先生!! 無事だったのね」
「そうか、先生は……壁に突き立てた槍で踏ん張りつつシノビマントで身を隠していたのか!!」
 ツミレ先生と共にマヨイガダンジョン修行に勤しんでいた雲隠家の双子は強敵から逃げたり身を隠す際に何度もお世話になった便利アイテム、保護色擬態布『シノビマント』を活用して身を隠しつつ一矢報いるチャンスを伺っていた先生の無事を喜ぶ。
「双子ちゃんら何言うとるんや!! 全くようないで!! あれじゃあまな板の上の人魚そのものやないけ!!」
 あぶり出したツミレの下半身を器用に指で押さえつつ、その腰の剣と矢に弓、防具を爪先でプチプチ外して火に投げ捨てて行くアカネコを前にムンク絶叫する英里子。
「早く助けに行かないと!! おい、ヤミネコ!! 僕とツミレさんをチェンジさせろ!!」
「いえ副大将殿、私が参ります!!」
 探とゼドは審判のヤミネコに詰め寄る。

【第6話に続く】
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