ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

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第九章:『闇神乃間/総員激突!! 解放と救済の最終決戦!!』

【第74話】

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「ナイス、お兄ちゃん!!」
 タケルの最強技、ゲイボルグで殲滅されていく四災アーミー。
「まだだ、エミ!! おそらく残り3つのこの手の何かが来る……魔力温存だ!!」
 爆風扇をブン回し、戦車の弾を押し返し追撃していたエミはすぐに攻撃をやめる。

『四災:支配』
「来るぞ!!」
 どこかから聞こえる死巫女ルイの詠唱と共に雲散霧消する歩兵と鎧武者に足軽、そして戦車軍団。
 一瞬で黒炎和ろうそくが灯る真っ暗な部屋に再度戻された2人は何が来ても対抗できるように身構える。
「あれっ、これは何?」
 そんな中、肩と首にずしりとのしかかる冷たくて重い物。
「エミ!? お前何を付けてるんだ!?」
「お兄ちゃんこそ、いつの間にそっちに目覚めちゃったの!?」
 いつの間にか互いの首にはめられていた鉄の首輪を前に戸惑う双子。
「あれっ、足がうごか……ひえっ!!」
 鉄枠でがっちりと綴じられた木の板で両足首を固定されていたエミ。
「くそっ、これじゃあ槍が!!」
 鉄枠でがっちりと綴じられた木の板で両手首を固定されたタケル。
『ぶにゃあああお!!』
「!?」
 わけも分からぬまま拘束具で動きを封じられた2人の背後に現れた超巨大マッスル黒猫。
 黒革マスクで顔を覆い、黒ブーメランパンツ一枚の半裸な異形のバケモノは2人の首輪に繋がれた重くて頑強な鉄鎖を掴んでいる。
『エレメントプラス・フアイア!!』
『エレメントプラス・トルネード!!』
 首輪はとにかく拘束具が木製ならば燃やすか削り壊せる
 そう判断したタケルとエミはすぐに各々の全身にエレメントプラスをかけようとしたものの……それは発動しない。
『にゃおおおおお!!』
「きゃあ!!」
「くそっ!!」
 そのまま力ずくで2人を引きずり連行し始めた巨大黒猫。
『ふやあああん!!』
  『にゃおおおん!!』
  『シャハハハハハ!!』
 その先で待ち構えているのは十字架、三角木馬、アイアンメィデン、ナントカの牡牛の周りで舌なめずりしている鞭やペンチ、スタンガンやその他もろもろのおぞましい『人間の器具』 を持つ二足歩行黒猫軍団だ。
「ひえっ……」
「エミ!!」
 このまま何をされるのか察してしまい、真っ青な表情でガタガタ震えるエミ。
(これはまずい!! エミが戦闘不能と言う事は……僕一人でなんとかしなくては!!)
 恐怖のあまり過呼吸を起こしそうな妹と噌虐行為対象として捕えた自分達を引き立てて行く巨大マッスル黒猫。
(アレを使えば!! でも、父さんの足元にも及ばないあの程度の代物で……こいつらに対抗できるのか!?)
『ニャハハハハハハ!!』
『ニャホホホォイ!!』
「いやああああ!! 助けてええ!!」
 生贄と言う名のオモチャを前に興奮のあまり手に持った物々を叩き合わせてネコジャネコジャダンスを始める黒猫軍団。
 このままでは確実に殺されると言う恐怖のあまりエミは自由な両手で大戦扇を地面に突き立て、それに必死でしがみつく。
「エミ!?」
『フガ? ニャァァァァ!!』
 鎖の違和感でそれに気づいた巨大マッスル黒猫は怒りの声を上げながらエミにドスドスと歩きだし、巨大な手をパーにして張り手を振り下ろしそうとする。
「やめろおおおお!!」
 妹が目の前で叩き潰される。
 最悪の事態を前にタケルは全力で自身の火マヨイガ紋に魔力を注ぎ込む。

 闇乃宮最深部、六層を成す大階段最上部、第六踊り場。
「くそっ、これが分身だなんて……」
「どれだけ頑丈なのよ!?」
 茜の風太刀と幾重となく切り結んでもなお刃こぼれすらしていない黒太刀。
 初撃で引き裂かれた鎧内部に数え切れないほどの水マヨイガエレメント技と式神小鬼タタラの火エレメント技をを撃ち込まれてもなお意に介していないであろう膨大な闇魔力。
 タメシヤノミコト様による斬り込みとタタラのサポート攻撃交代で下がっていた神紋もののふの美香と茜は使い物にならない程ボロボロになったシースルーベスト上着と戦巫女装束袖を破り捨てつつ叫ぶ。
「……だが雲隠を助けに行くにはアイツを倒さねばなるまい!! とにかく早く子供達を助けに行かないと!!」
 闇乃宮の主・ヤミノミヤノミコト、死巫女ルイの神乃間へと繋がる固く閉ざされた障子戸の前でヤミネコ本体と丁々発止の大激戦を繰り広げている探。
 の通信で突撃した3人のある程度の事情を聞いていた茜は残り少ない回復薬を半分飲み、美香に残りを渡す。
「ええ、御鐵院さ……ん?」
「どうした、華咲?」
 声にならない声で真っ暗な上空を指さす美香。
「……おいおい、何だあれは?」
 美香が指し示す第六踊り場上空の何もない空間にピキピキパリパリと入っていくひび割れとそこから漏れ出す白い光。
 マヨイガの儀を達成したもののふである自身でも予測不能な事が続いていた闇乃宮内とは言えこれはヤバイ。
「皆、下がれ!!」
 茜が生存本能のままに叫ぶと同時にひび割れが中から崩壊して中から光の濁流が勢いよく噴き出して来る。

【第75話につづく】
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