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第6章 一蓮托生
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しおりを挟む一度抱いてもらって身体がすっきりすると、薬の効果も相まってあっという間にあんなに酷かった熱が冷めて意識もはっきりしてきた。
そうするとどうしてもごちゃごちゃと余計なことを考えてしまう。
最後まで静先輩は僕のあんな姿に引くことはなく、ようやく抱いてくれた時には静先輩の方も抑えが効かないといった状態だった。
普段からお風呂上りなんか特に色っぽいだの綺麗だだの言ってくれて、今までの発情期でもちゃんと僕で欲情して抱いてくれていた。
でも、改めてあんなにまじまじ見られたら、よく考えてしまったら、僕の醜さに気づいてしまうんじゃないかって怖かった。
だから今回あんなにじっくり見られても、ずっと静先輩が僕で欲情したままだったことが嬉しかったし安心した。
本当にどんな僕でも静先輩なら受け入れてくれるって思えたのに。
冷静になるとよくない。
あの時は発情期で発情してて部屋中フェロモンが満ち溢れてた。
そんなところにいたら当たり前だけど、影響されないはずはないんだ。
誰だって、αなんかは特に、影響されやすいんだ。
僕の匂いに充てられただけだったんじゃないのか。
本当にあれは静先輩の本心だったんだろうか。
いくら口では大丈夫だって言ってても、頭も身体もフェロモンに充てられてぐずぐずの状態なんてなんの証拠にもならないじゃないか。
どんどんどんどんよくない方に考えてしまう。
「・・・・・・っ」
また我慢出来なくて全裸のままダッシュで浴室に駆け込むと、思いっきりシャワーの水を頭からかぶった。
またダメだった。
全然良くならない。
悲しくて悔しくて。
こんな身体、
本当に、本当に、
嫌で。
嫌で。
嫌で。
腕も胸も腰も足も、見えるところ全部、静先輩が触れるところ全部に爪を立てながら、声を上げて泣いて泣いて泣いた。
「弥桜っ、落ち着け‼︎ ダメだ、やりすぎだ。それじゃあ本当に壊れちまう」
「やだっ、お願い・・・もう、止めないで‼︎ 僕なんかほっといてよ・・・・・・」
「こんな状態の弥桜、ほっとけるわけないだろ」
いつまでも身体に爪を立てることを止められない腕を取られて、きつくきつく抱きしめられる。
「・・・今回はどうした。思ったことは全部吐き出せ」
取り乱して冷静な判断が出来なくなってる僕を、宥め賺して落ち着かせるように耳元で優しく囁いてくれる。
「・・・・・・だってっ、いつまで経っても、良くなんなくて・・・ひっく、大丈夫だって・・・ぅぅ・・・・・・言ってくれる、静先輩も、信じられなくて」
息も絶え絶えで、言いたいこともまとまらないまま、思ったこと溢れ出てきたことをとにかく乱雑にぶつける。
「こんな自分、もうやだよ・・・・・・」
感情の矛先を全部静先輩に向けて投げつけても、その全てを静先輩は受け入れてくれた。
僕が落ち着くまで、ずっとずっと抱きしめて一緒にシャワーに打たれ続けてくれた。
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