僕とあなたの地獄-しあわせ-

薔 薇埜(みずたで らの)

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第6章 一蓮托生

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なんかまた静先輩がおかしなことを言い始めた。
発情期のこの状態で薬も飲まずに同じ部屋にいるのに、触らない?

「ふ、ぁ・・・・・・」
静先輩の匂いが身体中に麻薬のように広がって、より熱が溢れてくる。

ちらりと静先輩に目を向けると、頬が蒸気していて噛み締めている唇からはその牙が覗いていた。
締め切ったこの部屋には、お互いのフェロモンが充満しきっているのだろう。
ぎゅっと拳を握りしめてこっちに来ないように耐えてるみたいだけど、その瞳は餌を前にした空腹の狼のようだった。

「んふぅ・・・はぁ・・・・・・」

熱いし、お腹の奥がじくじく疼いてくる。
どんどん触って欲しくなってきた。
でもまだ理性が残ってるから、受け入れてくれるってわかってても、これ以上堂々と痴態を曝け出すことは出来なかった。
「や、だ・・・・・・っ」

「大丈夫だから、ありのままの弥桜を、見せて」

大丈夫だって言われても、怖かった。
これ以上欲に塗れた姿を見せて引かれないか、ちょっとでも嫌な顔されたらどうしよう。

怖い、すごく怖い。

駄目だ、怖くなるとすぐ静先輩に抱きしめてほしくなる。
静先輩に見られたくないのに、触られたくないのに、静先輩に抱きしめてほしい。
こんな矛盾した気持ちが頭ん中でぐるぐるして、発情と相まって余計わけわかんなくなる。

「弥桜、落ち着いて。ゆっくり、深呼吸して」
自分で考えることを放棄して、静先輩の言葉に意識を向ける。

「ふぅ・・・ふぅ・・・・・・はぁ、ぁ・・・・・・」
言われた通りに息を吸うと、充満している匂いをより吸い込んで体が余計暑くなる。
ぎりぎりあった理性ももう保っていられなかった。

片方の手はシャツの中でじくじく熱を溜めてる蕾に狙いを定め、もう片方の手はズボンもパンツも脱ぎ捨ててゆっくり自身に触れる。
「ぁんっ・・・んぁ、ぁ・・・ふ、はぁ・・・・・・」
完全に勃ち上がってるし、先走りでぬるぬるだった。
気持ちいい、やばい、手止まんない。
「・・・んんっ、くぅっ・・・ぁ、イ、く・・・・・・っ」
感覚の赴くまま一度出すと、ちょっとだけ意識が戻って静先輩に見られてたことを思い出す。

「んはぁ・・・しずか、せんぱい・・・・・・」
こんな姿の僕も本当に全部受け入れてくれるのか、怖いけど気になって視線を向けた。
そこにはさっきと変わらないギラついた目で僕を見ている静先輩の姿があった。

「・・・・・・みおう」

名前を呼んでくれるその声に、熱がこもってるのがわかる。
こんな姿を見ても萎えたりしてない、引かれたりしなかった。

発情期で頭ん中ぐずぐずになってても心の奥で引っかかっていたことが、本当に大丈夫なんだってわかって最後の枷がなくなった。
自分にだけ向けられるその熱い視線が怖くなくなると、あとは残った羞恥に襲われる。
静先輩に欲に負けてぐずぐずになった姿を見られてる。
そう自覚した途端、一気に恥ずかしくなって心臓がバクバク音を出し始めた。

「はぁ・・・はぁ・・・っふぅ、しずか・・・せんぱい・・・・・・さわってぇ」
「ダメだっ、今日は触らない」
「ぁんっ・・・はふっ、やぁ・・・・・・さ、わって」
どんどんお腹の奥の奥の疼きが強くなって、放置しっぱなしだった後ろの窄みにも指を伸ばした。

じっとり見られて焦らされ続けて、いくら出してもイってもなくならない熱にさらに興奮してくる。
「・・・ぁぁん、は、ぁ・・・・・・きもち、ぃやぁ・・・んふっ・・・・・・さわ、って・・・・・・ぁぁっ、だ、めぇ・・・」

結局一晩一切触れてもらえなくて、その強すぎる快楽に耐えきれず途中で意識を飛ばしてしまった。
翌朝気づいた時、抱かれてないからもちろん発情は残ったままで、薬を飲まされたらしいけどそんなんじゃもう収まりがつかなくなっていた。
強請って強請ってようやく一回だけ抱いてもらうと、やっと身体が静先輩の感覚に満足したようだった。

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