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終章 経営惨憺
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しおりを挟む大学を卒業してからはデート以外ずっと家と商店街、病院と実家の4ヶ所しか出歩いてないし、そのほとんどが静と一緒だった。
だから変な人に絡まれるとか、他人の視線が気になるとか、そんな不安に晒されることもなく、穏やかな生活が続いていた。
周りのみんなは優しいし、静とも安心して一緒にいられる。
みんなが僕は静と一緒にいるのが当たり前みたいに思ってくれていることが、すごく嬉しかった。
そんな時間が続く中で、下がり切っていた自己肯定感も多少取り戻し、元々の性格もあって大分明るく過ごせるようになっていた。
それと同時に大学の卒業や静の就職、同棲に結婚と前向きな変化が多くあって、一生静と一緒にいるんだって考える時間も多くあった。
そしたら当然番のことも考えないわけがなく、あの時の不安定な自分とは違って今は静の隣にいることにも慣れたし籍も入れたんだ。
これならもう断られることもないだろうと、もう一度静に番にして欲しいと真剣に話したんだ。
本当にもう静から離れる気なんか一切ないし、確かな絆が欲しかった。
本能から静以外いらないって言ってるんだし、心も体も目に見える形で静のものにしてほしい。
そんな気持ちを精一杯心を込めて静に伝え尽くして、その気持ちは受け入れてくれたけど、それでも番にだけはしてくれなかった。
今度こそ大丈夫だと思っていたからまた拒否されたことが信じられなくて、その時は我慢出来ずにかなり食い下がった。
なんでって、どうしてって、いくら聞いても、返ってくる答えは初めて言ったあの日から変わらない。
今はまだダメだって、今のまま番になったら僕が辛くなるからって。
本当にそれでいいのかよく考えなさいって言われて、距離を取られる。
それから1年我慢してついこの間、またもう一回同じ話をした。
今度こそはって、毎回本気だけど更に気合を入れて口説き落とすつもりで挑んだけど、また同じ理由でダメだった。
もう初めて言ったあの日から4年以上経った。
自分でよく考えて納得したから何回もお願いしているわけで、いくら静が僕のことをよく分かってるからってこれ以上は待てなかった。
それにここまで引き延ばされすぎると、静を信じてないわけじゃないけど、もう番にしてくれる気はないんじゃないかって気持ちまで滲み出してきて、どんどん不安になる。
だから今回は静の言葉を無視して、もっと強制的な既成事実を作って迫る計画を立てたんだ。
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