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ところ変われば次期公爵?

144.ティムンのこれから-3

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『主よ、これで、宜しいですか?』と可愛らしい女の子姿の精霊の姿が現れ頭を垂れた。

「まぁ、可愛い!私の持ってる月の石の精霊とは違うのね?」

『そうですね、あるじはお一人ですが月の石の精霊は沢山おりますから…』

「私以外が、貴女に話しかけても良くって?」

『それが、主のお望みでしたら…』とにっこりと精霊はほほ笑んだ。

「おお!月の石の精霊さまか、私も初めてみる!なんと可愛らしい!しかし、お姿が透けていらっしゃる」とアークフィルが大声をあげた。

「ああ、なんてことだ!す、すばらしい!」とルーク王子は感極まっている。

「それでね?ティムンにも魔法力あるみたいだけど血族じゃないのに魔法力を吸いとらなにのは私の弟になったからなの?」

『主よ!ご指示があれば、そう致しますけど、もともとティムン殿は血族ですよ?』
「へ?」
「えええええええええーっ?」
「何々?どういう事~っ?」
「まさか!」

 ティムン本人を含む全員が驚いた。

 まさかの『ティムン血族疑惑?』である。

「いや、だからさ、あり得ない話じゃなくないか?三百年以上の歴史の中、始祖の魔法使いの血を受け継いだものが、他国に嫁いだりしたこともあるだろうし」と、ダルタスが仮説をたてた。

「ま、まぁそうか、じゃあ、ジャニカ皇国人だけど血脈は受け継いでいたと?」

『まぁ、そういうことですね。百年ほど前に公爵家から浚われたお姫様がジャニカ皇国の貴族に助けられて結婚しております。その子孫がティムン殿です』と、月の石の精霊が答える。

「おお!ダルタス様、当たりましたね!」とルミアーナが、感嘆する。

「って…そうか、じゃあ、ティムンにも石は扱える?あれ?でも石はティムンが持っても光らなかったけど…」

『そうですね。血族は血族なんですが、大分、血は薄いですし、ジャニカで育っておりましたしね。でも、このまま主と暮らす内に身の内にある血族の力が目覚めれば我らの宿りし月の石が反応しだすでしょうね』と精霊は答えた。

  「な…なるほど」とルークが頷く。

  「ま、まぁ、とにかく本題に戻ろう!本題に!」

  『ティムン殿の進路ですか?』

  「そう、それ」

  『どれを選んでも、ティムン殿はそこそこ一角の者にはなりえます。もちろん本人の努力によりますが、ティムン殿は今のところ主や主の父上のアークフィル公に報《むく》いようという気持ち満々ですから、どれをとっても心配ありません』

「どれでもいいってのが一番悩むのよね~」晩御飯のメニューじゃないっつ~のと、ルミアーナは、ぼやいた。

『とりあえず、全部、試験を受けてみてティムン殿自身が一番したいと感じたものにするのが宜しいのでは?』

「あ、それいい!さすが月の石!」

『恐れ入ります。では、私はこれにて下がらせて頂いても?』

「ああ、ごめんね?その姿で皆の前にでるのは疲れるんだよね?いいよ。ありがとう」

『恐れ入ります。』と精霊は一礼し月の石に戻っていった。
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