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フィリアの話
031.フィリアの婚約破棄-11 船旅最後の夜に
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「まぁ、いいですわ!とにかくフィリアも月の石を持てるんですもの!これからは、離れたところにいても、すぐに連絡がとれますわね!」
「うん、便利だよね」
「ち、ちょっと、ちょっと待って!主って何?何故、ジルとリミィは月の石なんてすごいものを持ってるの?」
((ちっ!))
誤魔化されなかったか…と、ジルとリミィは、内心、舌打ちした。
出来ればあまり嘘はつきたくないのでスルーしてほしかったところである。
さすがに、『月の石の主』やら『現存する女神』とか呼ばれている現ラフィリア王家ですら頭を垂れる存在の子供と分かれば、普通の友達としては扱ってくれなくなるだろうと容易に想像できた。
ジルとリミィが困っていると、リンが助け船をだした。
「フィリア様、パリュム家はラフィリル王家や公爵家に強いパイプを持っております。特に”月の石の主”と称されているラフィリアード公爵夫人が懇意にしている大商人なのです」
「えっ!じゃあ、主ってやっぱりあの”月の石の主”の事なのですか?精霊を従えているというあの!?」
「そうです。ジル様とリミィ様は、よくお父様のお商売の時に”月の石の主”のお子様方のお話し相手にとついて行かれており”月の石の主”ともそのお子様方とも懇意にして頂いているのです」
「まぁあああっ!それで!」
「そうです。我が子とも仲の良いジル様リミィ様にも我が子のような親しみを持って接していらして、お守りとして”月の石”をと授けて下さっていたのですが、今回、早期入学のお祝いにともう一つ月の石を授けて下さっていたのです。子供達が心から信頼できるお友達が出来たなら、そしてその子が月の石を持つ資格があると判断出来るようなら授けるが良いでしょうとのお言葉を頂いてジル様リミィ様の母君が預かっていた物です」
「えっ!そ!そそそんな、大切な石を私などが頂いて良いのですか?これからもっと素晴らしいお友達ができるかもしれないのに」
「大丈夫ですよ。昨日、ジル様やリミィ様のお話を聞いた上でフィリア様はその資格があると母君が判断されたのですから」
「え…で、でもぉ」とフィリアが双子達に目をやると双子達はコクコクと上下に首をぶんぶん振って頷いた。
「い…いいのかな?ほんとに?」
「「僕達のお母様が、いいって言ったんだからいいんだよ(のよ)!」」
そしてフィリアは、月の石のはめ込まれた双子達とお揃いの腕輪を手にしたのだった。
最後の夜は、月の石を使っての念話の練習となった。
三人はこれでクラスが別々になっても寂しくないねと喜び合ったのだった。
何より、リハルトの気持ちを確認しないといけないのだから今回の総司令?のジルに報告・連絡・相談が必須なのである。
母ルミアーナの粋な計らいに感謝感謝である。
(でも、絶対、面白がってるよな…母様)
そう思った事は敢えて口には出さないジルだった。
「うん、便利だよね」
「ち、ちょっと、ちょっと待って!主って何?何故、ジルとリミィは月の石なんてすごいものを持ってるの?」
((ちっ!))
誤魔化されなかったか…と、ジルとリミィは、内心、舌打ちした。
出来ればあまり嘘はつきたくないのでスルーしてほしかったところである。
さすがに、『月の石の主』やら『現存する女神』とか呼ばれている現ラフィリア王家ですら頭を垂れる存在の子供と分かれば、普通の友達としては扱ってくれなくなるだろうと容易に想像できた。
ジルとリミィが困っていると、リンが助け船をだした。
「フィリア様、パリュム家はラフィリル王家や公爵家に強いパイプを持っております。特に”月の石の主”と称されているラフィリアード公爵夫人が懇意にしている大商人なのです」
「えっ!じゃあ、主ってやっぱりあの”月の石の主”の事なのですか?精霊を従えているというあの!?」
「そうです。ジル様とリミィ様は、よくお父様のお商売の時に”月の石の主”のお子様方のお話し相手にとついて行かれており”月の石の主”ともそのお子様方とも懇意にして頂いているのです」
「まぁあああっ!それで!」
「そうです。我が子とも仲の良いジル様リミィ様にも我が子のような親しみを持って接していらして、お守りとして”月の石”をと授けて下さっていたのですが、今回、早期入学のお祝いにともう一つ月の石を授けて下さっていたのです。子供達が心から信頼できるお友達が出来たなら、そしてその子が月の石を持つ資格があると判断出来るようなら授けるが良いでしょうとのお言葉を頂いてジル様リミィ様の母君が預かっていた物です」
「えっ!そ!そそそんな、大切な石を私などが頂いて良いのですか?これからもっと素晴らしいお友達ができるかもしれないのに」
「大丈夫ですよ。昨日、ジル様やリミィ様のお話を聞いた上でフィリア様はその資格があると母君が判断されたのですから」
「え…で、でもぉ」とフィリアが双子達に目をやると双子達はコクコクと上下に首をぶんぶん振って頷いた。
「い…いいのかな?ほんとに?」
「「僕達のお母様が、いいって言ったんだからいいんだよ(のよ)!」」
そしてフィリアは、月の石のはめ込まれた双子達とお揃いの腕輪を手にしたのだった。
最後の夜は、月の石を使っての念話の練習となった。
三人はこれでクラスが別々になっても寂しくないねと喜び合ったのだった。
何より、リハルトの気持ちを確認しないといけないのだから今回の総司令?のジルに報告・連絡・相談が必須なのである。
母ルミアーナの粋な計らいに感謝感謝である。
(でも、絶対、面白がってるよな…母様)
そう思った事は敢えて口には出さないジルだった。
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