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フィリアの話
47.新入生歓迎パーティの茶番劇09学園長からのお話 (終章
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別室から戻った学園長から、広間に集まる皆にお言葉があった。
「皆さん、お静かに!私、学園長よりお話があります。まず、先ほど、騒ぎになったフィリア・ポーネット嬢の婚約者の件ですが、現在はダン・ホーミットとの婚約が解消されたばかりです。ジル・パリュムが申し込んでいる状況ではありますが、正式にはまだ彼女は誰とも婚約していない状況です。」
そう言った学園長の言葉に皆は「ああ」とか「おお」と小さく頷いた。
「魔物に傷を負わされた事があるかどうかについてですが、確かに以前あったそうです。しかし傷は既に浄化されて、なくなっています。」
え?じゃあ、本当に魔物に襲われたの?と一部の生徒が怪訝な顔をし、一部の生徒は、"やはりこの学園に相応しくないんじゃないか?"と囁く者がいる中、学園長はそれを抑えるかのように、ひときわ大きな声で皆に尋ねた。
「時に、皆さんこれまで魔物に襲われて生還された方はどれほどおられると思いますか?」
皆はざわついた。
誰もそれを知るものこの会場にはいなかった。
学園長は言葉を続けた。
「それは、本当に数えるほどです!精霊の導き、ご加護を頂くことの出来た心美しき気高き者のみが生還しているのです」
そこまでの言葉で聡い者には学園長の言わんとしていることが理解できた。
ある者はなるほどと頷き、ある者は眉根をよせて悩める仕草で学園長の話に聞き入る。
「私が知る限りでは、魔物に襲われ生還してなお穢されるれることのなかった尊い魂の持ち主は三名いらっしゃいます。一人は、始まりの国と呼ばれるラフィリル王国の大神官長クムン・デュムラン老師です。そしてもう一人は”月の石の主”の義理の弟君です!彼は八年前のラフィリルで起きた未曾有の魔災害の折にまだ学生だったにも関わらず、騎士学科の生徒に指示し同じ学び舎の魔力を持たない生徒たちすべてを避難させ皆の命を救った小さな英雄でした」
皆が「「おお」」と小さく感嘆する。
「皆さん、おわかりですか?魔物は美しく気高い魂を喰らいたがります。魔物がフィリアさんを狙ったと言う事はフィリアさんの魂が気高く美しかったからだと言えるのです。そうです!皆さん、もうお分かりですね?三人目はフィリアさんの事です」
「「「おおっ」」」と、どよめきが上がる。
「では、むしろフィリアさんは誰よりも気高く美しい魂を持つ人だと言う事ですね?」とサクア公子が声を発した。
「ええ、そのとおりです!」
「そんなフィリアさんですから、リハルト君やジル君が彼女を婚約者にと望むのも当然だとは思いませんか?むしろ傷があるとかないとか、魔物に襲われたからとか、そんな事で差別するような行為をする者を私は学園長として容認する訳にはいきません」
「では、先ほどフィリアさんに随分酷い事を言っていた新入生はどうなるのでしょう?」とレーティア皇女が質問した。
「彼には、気の毒ですが入学式を前にして学園を去っていただきます」
「「「ええっ?」」」
会場にいる生徒たちから驚きの声が上がった。
「皆さん、このライリー学園は入る時にも様々な試験を受けて難関を突破して入って来られる訳ですが、入るのも難しければ無事、卒業できるのも難しいと聞いた事がおありでしょう?そう!この学園は勉学のみならず、素行や人格に至るまで総合的に判断されます。この学園に相応しくないと判断されれば即、退校して頂きます。それ故、入学できても卒業できない方も沢山いらっしゃいます。厳しいようですが、それがこの学園の在り方なのです」
皆はしんとした。
そう、この学園は入学もある程度以上の能力を求められるし卒業も難しいとされている。
実際、入学してから卒業までの間に三分の一の生徒が退学になっていると言う。
それはこの学園での授業が協力し合わねば命の危険もありうる時がある為と言う事も大いに関係している。
飛竜や魔獣を扱うような危険な授業もあるのだから…。
この学園長の言葉に新入生たちはざわつき、フィリアの事を学園に相応しくないと囁いた上級生たちも青くなった。
「心当たりのある方は、よく考え反省する事です。人としてどうあるべきかは、何も難しい事ではないのですよ。自分がされて嫌なことはしない事です。相手の立場になって考えるのです」
そう言って学園長の話は終わり、新入生歓迎パーティは、再開されたのだった。
***
こうして、フィリアの婚約騒動は幸福な結末を迎えた。
これから二人はまた結婚に至るまでの愛の物語を築いていくのだろう。
とは言え、まだまだ子供わずか十歳のフィリアである。
まだしばらくは、ジルやフィリアとの学園生活を楽しむことが先なのである!
「皆さん、お静かに!私、学園長よりお話があります。まず、先ほど、騒ぎになったフィリア・ポーネット嬢の婚約者の件ですが、現在はダン・ホーミットとの婚約が解消されたばかりです。ジル・パリュムが申し込んでいる状況ではありますが、正式にはまだ彼女は誰とも婚約していない状況です。」
そう言った学園長の言葉に皆は「ああ」とか「おお」と小さく頷いた。
「魔物に傷を負わされた事があるかどうかについてですが、確かに以前あったそうです。しかし傷は既に浄化されて、なくなっています。」
え?じゃあ、本当に魔物に襲われたの?と一部の生徒が怪訝な顔をし、一部の生徒は、"やはりこの学園に相応しくないんじゃないか?"と囁く者がいる中、学園長はそれを抑えるかのように、ひときわ大きな声で皆に尋ねた。
「時に、皆さんこれまで魔物に襲われて生還された方はどれほどおられると思いますか?」
皆はざわついた。
誰もそれを知るものこの会場にはいなかった。
学園長は言葉を続けた。
「それは、本当に数えるほどです!精霊の導き、ご加護を頂くことの出来た心美しき気高き者のみが生還しているのです」
そこまでの言葉で聡い者には学園長の言わんとしていることが理解できた。
ある者はなるほどと頷き、ある者は眉根をよせて悩める仕草で学園長の話に聞き入る。
「私が知る限りでは、魔物に襲われ生還してなお穢されるれることのなかった尊い魂の持ち主は三名いらっしゃいます。一人は、始まりの国と呼ばれるラフィリル王国の大神官長クムン・デュムラン老師です。そしてもう一人は”月の石の主”の義理の弟君です!彼は八年前のラフィリルで起きた未曾有の魔災害の折にまだ学生だったにも関わらず、騎士学科の生徒に指示し同じ学び舎の魔力を持たない生徒たちすべてを避難させ皆の命を救った小さな英雄でした」
皆が「「おお」」と小さく感嘆する。
「皆さん、おわかりですか?魔物は美しく気高い魂を喰らいたがります。魔物がフィリアさんを狙ったと言う事はフィリアさんの魂が気高く美しかったからだと言えるのです。そうです!皆さん、もうお分かりですね?三人目はフィリアさんの事です」
「「「おおっ」」」と、どよめきが上がる。
「では、むしろフィリアさんは誰よりも気高く美しい魂を持つ人だと言う事ですね?」とサクア公子が声を発した。
「ええ、そのとおりです!」
「そんなフィリアさんですから、リハルト君やジル君が彼女を婚約者にと望むのも当然だとは思いませんか?むしろ傷があるとかないとか、魔物に襲われたからとか、そんな事で差別するような行為をする者を私は学園長として容認する訳にはいきません」
「では、先ほどフィリアさんに随分酷い事を言っていた新入生はどうなるのでしょう?」とレーティア皇女が質問した。
「彼には、気の毒ですが入学式を前にして学園を去っていただきます」
「「「ええっ?」」」
会場にいる生徒たちから驚きの声が上がった。
「皆さん、このライリー学園は入る時にも様々な試験を受けて難関を突破して入って来られる訳ですが、入るのも難しければ無事、卒業できるのも難しいと聞いた事がおありでしょう?そう!この学園は勉学のみならず、素行や人格に至るまで総合的に判断されます。この学園に相応しくないと判断されれば即、退校して頂きます。それ故、入学できても卒業できない方も沢山いらっしゃいます。厳しいようですが、それがこの学園の在り方なのです」
皆はしんとした。
そう、この学園は入学もある程度以上の能力を求められるし卒業も難しいとされている。
実際、入学してから卒業までの間に三分の一の生徒が退学になっていると言う。
それはこの学園での授業が協力し合わねば命の危険もありうる時がある為と言う事も大いに関係している。
飛竜や魔獣を扱うような危険な授業もあるのだから…。
この学園長の言葉に新入生たちはざわつき、フィリアの事を学園に相応しくないと囁いた上級生たちも青くなった。
「心当たりのある方は、よく考え反省する事です。人としてどうあるべきかは、何も難しい事ではないのですよ。自分がされて嫌なことはしない事です。相手の立場になって考えるのです」
そう言って学園長の話は終わり、新入生歓迎パーティは、再開されたのだった。
***
こうして、フィリアの婚約騒動は幸福な結末を迎えた。
これから二人はまた結婚に至るまでの愛の物語を築いていくのだろう。
とは言え、まだまだ子供わずか十歳のフィリアである。
まだしばらくは、ジルやフィリアとの学園生活を楽しむことが先なのである!
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