リトルキラは世界平和を夢と希望で育みたい!~"可愛い"は最強の武器であり鎧だった!~

秋吉美寿

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魔法のある世界で

51.魔法の理

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「さぁ、じゃあ傷口を洗うからね?」そう言うとボブという若い青年騎士がぶつぶつと詠唱し始めると手の平に水の玉が現れた。

「えっ!しゅごいっっ!水玉が出来ましたよっっ?」ラーラは、目をまん丸にして驚いた。

「ははっ、魔法は初めて見るのかい?」そう言ってボブはラーラの傷口に水玉を押しあてた。
するとその手の平大の水玉は傷口についた砂粒や小石をくるくると巻き込んで、傷口を綺麗にした。

「しゅごいっっ!しゅごいっっっ!」きらきらと瞳を輝かせるラーラにボブも気を良くしたボブはこの水魔法について説明してくれた。
「この魔法は自然のことわりを学べば、持っている魔力がそう多くなくても仕えるんだよ」

「えっ?えっ?じゃあ、わたちも使えりゅようになりましゅか?こないだ、お誕生日のお祝いの時に魔力測定してもらったら、は、あったみたいなのでしゅが!」
まさか、周りに恐れおののかれるほど魔力が溢れてましたとは言えないので敢えて”ちょっとは”と付け加えたラーラの中身はやっぱり冷静な大人だった!

「まぁ、ラァちゃん、そうなのね?じゃあ文字と一緒に魔法も少しずつ覚えていきましょうね?簡単であまり魔力を消費しないものから少しずつよ?でないと魔法酔いしちゃうから」

「あ~、おとうしゃまと初めて転移した時に、気持ちわりゅくなっちゃって、ちょびっと大変でちた!爺におとうしゃま、怒られてました」

「まぁ!そうだったのね?ルゼルジュ様ったら、こんな小さな子の移動に転移を使うなんて!大事に至らなくて良かった」とラーラは、青ざめた。

「えっ!?おじょうちゃん、転移したの?どれくらいの距離?」

「ええと…ママのお屋敷からおとうしゃまのお屋敷まで?」

「ええっ?ちょっと待って?それって!よく無事だったね?下手したら死んでたよ?」

「あ~、なんか、爺もそんなこと言ってまちた!おとうしゃまもわたちもびっくりでちた!」

「ええと…よく細かい事情は分かんないんだけど、お父様って、もしかしなくてもルゼルジュ様の事だよね?んで、何のカモフラージュか知らないけどママって言うのは隊長の事だよね?」
後ろで聞いていたアルが疑問を口にした。

「うん、あんた達には言っといた方がいいわね。何より姫様が遺跡の卵から現れたことを知ってる人間だしね…この事は命に代えても他言無用よ?」とサラは念押ししてボブとアルに、ルゼルジュが先王ロードである事、そして先王の実子としてラーラを保護した事を説明した。

「そ、それじゃあ、このおじょうちゃんは王家の姫君ってことに…?」アルが息を飲みながらそう言うとボブもごくりと喉をならした。
事の重大さにおののいたのだ。

「そうよ、私はラーラ様の専属護衛になったのよ!」
「そ、それで、いきなり騎士団を退職なんて!酷いですよ!直属の部下である僕たちにも、そんな事情一言もなくて!」
「そうですよ!隊長、冷たいですよ!」
アルとボブは拗ねた様にそう言った。

「あ~、その、うん、それはごめん。悪かったわ!あなた達も当事者だったんだから、もっと早くに言うべきだったわ」

「まぁ、隊長この姫様見つけた時から夢中でしたもんね?あまりにも急な退職に何かあの卵のお姫様と関係あるのかなって実はちょっと思って、ボブとも話してはいたんですよ」とアルはため息をつきながらそう言った。

「ご、ごめん」

「「はぁ~、もう、いいですよ」」二人は素直に謝る元隊長に苦笑いした。

「それで、今日はお忍びで街にお散歩ですか?なるほど、隊長がママ役で姫様が、娘って言う設定なんですね?確か髪色も銀色でしたよね?親子演出の為に染めました?」とボブが言うとサラとラーラはこくこくと頷いた。

「そういう事なにょで、わたしの事は姫様とかじゃなくお外では”ラァちゃん”と呼んでほしいのでちゅ!言葉もふつうの子供にしゃべるみたいにしてほちいのでちゅ」

「了解!そう言う事情だったら、な?」「うん、そうだね。わかりました!僕たちもその方が喋りやすいし、お言葉に甘えて敬語なしで!」

「そうしてもらえると助かるわ!」サラも笑顔で答えた。
「ありがとうなにょ!」ラーラはいつもの破壊的な笑顔でお礼を言った。

「「ぐはっ!かっ可愛い!」」
そうしてまた、二人の騎士がこの可愛い危険物の虜になったのだった!
これまでにラーラに落ちなかった人間と言えば、ラーラの事を憎い恋敵の子供だと思いこんで、ろくに目も合わす事無く憎々しく思っている騎士団長のホルクスくらいである。

「さぁ、傷口は綺麗になったから、次は治癒魔法だよ」そう言って今度はアルが手をかざし、何やら呪文らしき言葉をブツブツと囁いた。

すると膝の傷はあっという間に消えてなくなった!
「ふんのぉぉぉぉ~!ほんとに、すっっごいにょ~っ!びっくりなにょ!」とラーラは興奮した。

「え?そ、そうかな?これくらいの傷だったら訳ないよ!もっと骨折とか病気とかだったら無理だけど”ことわり”さへ学んでれば…」

「その”ことわり”って何ですかっっ!ママっ!私学びたいでしゅっ!」

「まぁ、偉いわ!ラァちゃんは本当に意欲的ね!」

「うん、転移して気持ち悪くなった程度で済んでるなら”生活魔法”くらいなら問題ないんじゃないかな?」

「本当でちゅか!うれしいっ!」そうラーラが叫ぶ。
そうして両手をほっぺにあてて微笑むその愛らしい手に光る指輪を見てアルが目をむいた!
「えっ!何これ!ひょっとして”獅子の制御の指輪”?」と叫んだ。

「「えええええっ!」」今度はサラとボブが叫んだ。

え?何?この指輪がどうかした???とラーラはきょとんという顔をした。

「そ、それは、先王がまだ子供の頃に小さな体に大きすぎる魔力を制御させる為に着けていたという代物では…」

「そ、そうですよ!僕はこれでも魔法アイテムマニアですからね!これ、本物ですよ!王家の至宝の一つとされてる物です!」興奮気味にアルがそう叫んだ。

「えっ?そんにゃに凄い物だったのでしゅか?おとうしゃまが、魔力を安定させるものだから肌身離さずつけておくようにって…」

「「「………」」」
サラ、アル、ボブの三人は押し黙った。
この王家の至宝とも言われる指輪を持ってしなくては制御できない魔力って…。
三人は考えたらそら恐ろしくなった。

「あ、あんた達…この事は…」サラが口火を切った。

「「他言無用ですよね…わかってます」」

「良し!」サラは何か迫力のある目で二人を威嚇するようにそう言った。

三人のただならぬ雰囲気を察したラーラは、中身の大人対応でスルーした!
必殺『気づかないフリ!』からの『笑って誤魔化す』である。

そして話題をそらそうとラーラは言った。

「え~っと、水出すの、やってみたいでしゅ」とラーラはボブに可愛くおねだりしてみた。







****************
▼作者からの一言▼

魔法を学び始めるラーラは次々にサラやアル、ボブを驚かします。
ことわり”への、その驚異的な理解速度、天才と呼ばれた綺羅本来の才能で!
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