スライム道の短編置き場

スライム道

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お待ちのお客様の名前に白馬の王子って書いたら学校一の美女が結婚を迫ってきた件

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お客様の名前をお書きになってお待ち下さい。

よくある常套文というかお店によくある書き置きだ。

俺は夏休みに友達とアニメイクに来た帰りにSZでご飯を食べようと来たのだが混んでいた。

「なあ、こういう書き置きってさ。神様って書くべき?」

「確かにその方が面白いよな。」

「よし。俺は白馬の王子って書こうと思う。」

笑いながら俺はその文字を書いた。

「え。ええと白馬の王子様。白馬の王子様。席が決まりましたのでお越しくださいませ。」

眼鏡をかけた店員が案内してくれた。

この時、すでに人生の歯車が狂ったことを俺は知らなかった。

夏休みが終わると学校で友達と話をしている最中、学校一の美女に話しかけられた。

「西条君、君夏休み中に白馬の王子さまって呼ばれたよね。それって幼いときもやってなかった?」

西条は俺の名前で話しかけているのは白川という美少女というよりも美女が板につく同級生だ。

「確か昔、親父がこうしたほうが面白いって言ってやってたことはあったなあ。」

あの時は純粋無垢な子供にこっちのほうが女子に持てるんだぞうと笑いながら父がやってくれたことがあった。

「じゃあ私の王子様になってくれてもいいよね。」

「ちょっと待って、いま119番かけるから。」

本気で俺はかけようとした。

だがそれは携帯を取り上げた彼女の手によって遮られた。

「だって白馬の王子様なんでしょうなら迎えに来てくれるわよね6歳の時の王子様。」

六歳、それを聞いて俺は思い出した。確かドリンクバーでジュースをこぼした眼鏡をかけた少女がいた気がする。

「眼鏡をかけないとわからないかしら。」

かちゃっと眼鏡を取り出しかける彼女はあのSZの店員によく似ていた。

「いつかまた会えると思ってあのSZでバイトをし始めたのだけれどこんな任早く会えるなんて運命だと思わない?」

「思わない。じゃあ俺今から脳神経外科いくから早退していくわ。」

「だーめ病気でもないのに行かないの♡」

クラスメイト達は思った。ここって新婚夫婦の家だっけか、と。

甘々しいこの空気がクラスを満たし外堀が完全に埋められ城壁すら築かれた監獄のようになったのはまた別の話。

白馬の王子様はずっと片思いし続けた姫によって永遠に王都に閉じ込められましたとさ。
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