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「フハハハハ、こりゃあおったまげるべ。
 坊は儂らから見れば赤ん坊も良いところだべ。
 あんまあそこの神牛族は人間に換算すれば坊と同い年かそれくらいだろけどもんべな。」

ミウスさんってどのくらいの年齢は聞いていないけどけっこうな年を行っていると十分に思われた。
だがミウスさんはあまりにも幼過ぎる。
短命な種族は幼い期間が長く作られているのに対して人間よりも長寿かつ言葉を話す知的生命存在での存在例が無い。
よって短命種である人間の経験から例えるならば養育期間がとても長いと考える。

心の成熟を遅らせると見るべきなのかそれとも心の大成がまだなのかと見るべきなのかが重要なポイント。
大成しようとしているのなら人間の方がまだ未熟だと言える。
ミウスさんはまだ思春期に入ったばかりだとは思う。
それでも人間の思春期とは大きな違いを持っていて、悟りを開き何をしていくのかをさらに深く追及するような思春期だったとしたらば人間が辿り着くには到底無理な境地を辿って成人とすることが分かる。

「ま、わしらみたいな化生の類でも無ければ種族違いの恋に成るがな。
 坊は普通の人間だべしそこまで生きられん。」
「でも好き。
 生涯一緒。
 一生一緒。
 死んでも探し出す。」
「怠惰の化身と言われている牛にそれを言わせるとは中々罪よの坊は。」

孫に熱心な熱い視線を送っている女子を見つけたときの酒を飲んでいるじいちゃんの時並みの感じを出しているぞ。

「ほれ、こんこるどのあやまりだったか。
 人間は目標を見つけるとそればかりに集中しすぎて周りに成功する目標となる存在が居るのにそれに見向きもしない。
 だが無駄だとわかっていてもそれを貫かんとするから我ら鬼が居たのじゃがな。」
「おい酒吞童子、それ以上は言って大丈夫なものなのか。」
「天狗の頭領はええと言っておったし大丈夫だろう。」
「習わしが話す、良いか幹鬼は願いを追い求め続けた人間の成れの果てに近い。 
 餓鬼も何かの願いを持って死んだ。
 儂もな。」

願いはやがて呪いになり恨みになる。

「ま、わしらも現状を変えようと何かしらの変化加えたわけでもない。
 それに甘え続けた変えることもできないモノであった。
 埋めようとしても埋めきれんものじゃ。」
「誰だってそうじゃね。」
「そうでもない。
 誰もが楽な道に行きたがるのと同じことよ。」
「わからねえよ。」
「わからないから白虎は選んでしまった。
 女王に変わり我らの憎しみを背負わせてしまったことを謝罪す。」
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