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74‐１

「私は食べ物？」

牛焼肉のような香りを彷彿とさせる肉の焦げた匂いは食べ物にしか見えない。

「私、牛。
　そしてあなた飢えを満たしたい。
　どんなことをしても。」

どんなことをしてでもあなたの飢えを満たす存在になりたい精神が無ければそのようなことは起きない。

「ねえミウスさん。人間は天上者じゃないよ。」
「知ってる。
　私の主は私だけ。」

それだけ言うとそっと離れた。

「私だけだから私がやりたいようにやる。」

今度は手を掴んで引っ張て来た。

「迷惑かける。
　でも自由じゃなきゃ嫌。
　私を振り回してくれても良い。
　自由は不自由。
　でも楽しい。」

手から肉の焼ける音が聞こえる。

「この呪いは取り外すにはもう一つの俺と話し合う必要があるし何とも言えないよ。」

肉の焼ける音が治まった。

「うん。蝙蝠食べよう。」

蝙蝠を食べるのは初めてだ。
どんな病原体を媒介としているかわからないので殺菌が重要となりそうだがミウスさんは紫色の光を出し始めた。

「その光は？」
「太陽の光。
　普段は届かない太陽の光。」

実際に可視できる光の色とミウスさんの言葉のニュアンスから紫外線の一種と見受けられた。
紫外線の殺菌効果は昔から知られていることだ。
特にオゾン層でせき止められる類の紫外線はダニなどの微生物も殺すと言われている。

「これするとお腹壊さない。」
「なるほどね。」

ミウスさんは肉食でもあるようだ。

「普段も肉を食べるの？」
「あんまり食べない。」

草食動物と思われている生物も肉を食べることはある。
増しては哺乳類は動物性たんぱく質を摂取することは必須事項だ。
そのため牛なども肉を食べようと思えば食べられる。

「食べ過ぎると体調崩す。」
「しばらくは野菜を食べていようか。」

ミウスさんの今の状態から見てベジタリアンと同じとみて良いと判断し穀物の量も制限したほうがいいのかと思いながら蝙蝠を瞬く間に解体していくミウスさんを見ていた。

「血は薬なる。」

ミウスさんはどんどん解体しながら素材が消えていき消えていった空間に違和感程度のモノを感知できる。
何かしらのスキルを使っているようだ。

「今日食べる分の肉は確保できたよ。」

モモ肉にあたる部分だけを残して解体していった。

「そっかじゃあまだ時間あるし先に進もうか。」

道中薪や食べられる植物を採取しながら人工的な目印を添って進んでいく。
人に悟られないように巧妙に隠してはいるが騎士たちがここを訪れる際に作ったものであることは明白だった。

それらを隠蔽して二度とこれ無いように細工を施した。