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93 まあファンタジーフィクションに一般人っていませんよね
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「ストーカーレベルの情報網だけど、エミリーさんに何かあるの?」
「愛おしい孫娘のことを思えばこれくらい当然のことさ。」
「こやつは孫娘馬鹿じゃ。
孫のために全てを捧げているのじゃ。」
メアリーさんは疲れたため息をしていた。
疲れたため息から察するに、嫌なのだろう。
結構苦労してそうだな。
過干渉な人に振り回される気持ちは十分にわかる。
モグモグモグ
紅茶を頼まず軽食をテーブル一杯に並べて食べまくっている場違いな人物(ミウスさん)に目をやる。
ミウスさんがいっぱい食べたいからと席を分けてもらって正解だった。
「そちらの方は食べるのがお好きなのですか?」
「食べるのが好きって言うよりも別の目的かな。」
独占するための観察かな。
基本的にミウスさんは他の人とつるむことに関しては寛容的だけど、独占欲は人一倍強い。
だから、自分の時間を削られないようにするための品定めしているのかも。
ご飯を食べながらも耳を機敏と動かしながらこちらの様子を伺っている。
「ところで、幹さんは身体に傷があるとおっしゃられていたのですが、現在はないのですか?」
「今は無いね。
ちょっと伝手で手術をしたからね。」
「エミリー、あまり人様の領域に踏み入れるのはよくないぞ。
他人様の話したくないことは黙っておくのはまた美徳だ。
ちょっとばかり飛び級し過ぎたせいか、人の地雷原を踏む癖があってな。
すまない、許してくれ。」
「構いませんよ。
日ごろから踏み抜かれていましたから。」
「……すまない。」
軽いブラックジョークのつもりだったが、そうは捉えなかったらしい。
俺も空気を読むのがまだまだだなと思いつつ、彼女のことを深く見る。
目は口ほどにモノを言う。
このことわざは、日ごろから忌避もしくは奇異の眼で見られた幹が会得した一つの技能のようなものだった。
目を深く見ることで相手がどのような心理を表しているのかを、理解することができる。
ふと、深い部分が見えた。
『ゾンビ女がこちらをみるな!』
これは、貴族か?
さらに深いところを見る。
『臭い女がこっちくんな。』
必死に努力して、匂いやゾンビ女と言われた原因を取り除くために勉強し実験していたことが分かった。
自身のように呪いと呼ばれるものではなく、体質によるものではあったが、それでも特異な体質だった。
それこそ呪いのように。
『自己の呪い』か、珍しい呪い方しておるなあ。
俺様達の仲間だけだと思っていたぜ。
牛鬼の仕業では無いのか。
ふむ、数奇な運命よな。
世代の呪いとまでは行かぬが可哀そうなものだ。
『自己の呪い』は条件次第では自分で解くことが可能だ。
俺らの一族にも解いた奴ら、極少数だが居るさ。
難儀
おめえらみたいな崇め奉るほうが珍しいんだからよ。
日の元は祟からさ。
崇め、祟られるな。
それが基本だっつうのによう。
こいつらは忌み嫌われ続けたから、こうなっただけ。
腐らなかったのは育ての親が強いからだろ。
ふん、今だこのような呪いが蔓延るとは縁のない世の中だ。
徳があるから不もあるもんだろ。
「呪い…」
言語変換能力を用いずに呟いた言葉。
今先ほどの聞こえてきた声は鳴りを顰めていた白虎と牛鬼女王のものと見られる。
だがその一言に反応したのは他でもないメアリーさんだ。
「Noloi、ノロイ、呪い、カースのことでしょうか。
私には過去に現代医療では特定不可能と言われた傷がございました。
切除しようにもあまりにも大きく分厚く、傷というにはあまりにも早い成長速度をもったケロイド、鉤爪でした。
そして、書物では対処できず、祈祷という不可解なモノを用いてやっと治療できたのです。
既に、その残滓は無くなっていると言われましたが、あなたにはなぜその言葉が出たのか、お話しすることはできますか。」
「うーん、そこのミウスさんがその手の人でね。
僕もここ最近、呪いというものにかかっていたらしく、その手のことには敏感になっていると言われたよ。」
ミウスさんには合図を出せば、口裏を合わせてくれるだけの信頼がある。
俺に好かれたいという絶対的な信頼が。
クズの思考だが、これは使わせてもらう。
一応異世界ガイドブックの規約的に微妙なところらしいから、信頼云々の前に合わせてくれないと困るけどね。
「ミウスさんが…ではまた時間のある時にでもお聞きいたします。」
「すまないな、幹くん。
メアリーが感情的になるのが久しぶりなもので、君に対しても傷つけてしまった。」
君は魔術師になってしまったんだね。
メアリーにはその手のものには喉から手が出るほど欲しいものがあった。
今は消失したが、まだあると信じている奴らもいる。
そいつらから守ってくれると助かる。
話している最中に不意にティースプーンを用いて砂糖を入れる。
茶の揺れる波紋と瞬きを用いた3言語同時使用モールス信号会話。
並列思考を用いていた、他の俺たちが聞いてやっとわかった内容。
これをできると信じて、話すことの人はじいちゃんクラス、もしくはそれ以上の戦場を潜ってきた戦争屋ではなく。
国家機密を扱う組織のエージェントのような、とんでもない日常の自然さだった。
彼はただの祖父バカではなかったのだった。
「愛おしい孫娘のことを思えばこれくらい当然のことさ。」
「こやつは孫娘馬鹿じゃ。
孫のために全てを捧げているのじゃ。」
メアリーさんは疲れたため息をしていた。
疲れたため息から察するに、嫌なのだろう。
結構苦労してそうだな。
過干渉な人に振り回される気持ちは十分にわかる。
モグモグモグ
紅茶を頼まず軽食をテーブル一杯に並べて食べまくっている場違いな人物(ミウスさん)に目をやる。
ミウスさんがいっぱい食べたいからと席を分けてもらって正解だった。
「そちらの方は食べるのがお好きなのですか?」
「食べるのが好きって言うよりも別の目的かな。」
独占するための観察かな。
基本的にミウスさんは他の人とつるむことに関しては寛容的だけど、独占欲は人一倍強い。
だから、自分の時間を削られないようにするための品定めしているのかも。
ご飯を食べながらも耳を機敏と動かしながらこちらの様子を伺っている。
「ところで、幹さんは身体に傷があるとおっしゃられていたのですが、現在はないのですか?」
「今は無いね。
ちょっと伝手で手術をしたからね。」
「エミリー、あまり人様の領域に踏み入れるのはよくないぞ。
他人様の話したくないことは黙っておくのはまた美徳だ。
ちょっとばかり飛び級し過ぎたせいか、人の地雷原を踏む癖があってな。
すまない、許してくれ。」
「構いませんよ。
日ごろから踏み抜かれていましたから。」
「……すまない。」
軽いブラックジョークのつもりだったが、そうは捉えなかったらしい。
俺も空気を読むのがまだまだだなと思いつつ、彼女のことを深く見る。
目は口ほどにモノを言う。
このことわざは、日ごろから忌避もしくは奇異の眼で見られた幹が会得した一つの技能のようなものだった。
目を深く見ることで相手がどのような心理を表しているのかを、理解することができる。
ふと、深い部分が見えた。
『ゾンビ女がこちらをみるな!』
これは、貴族か?
さらに深いところを見る。
『臭い女がこっちくんな。』
必死に努力して、匂いやゾンビ女と言われた原因を取り除くために勉強し実験していたことが分かった。
自身のように呪いと呼ばれるものではなく、体質によるものではあったが、それでも特異な体質だった。
それこそ呪いのように。
『自己の呪い』か、珍しい呪い方しておるなあ。
俺様達の仲間だけだと思っていたぜ。
牛鬼の仕業では無いのか。
ふむ、数奇な運命よな。
世代の呪いとまでは行かぬが可哀そうなものだ。
『自己の呪い』は条件次第では自分で解くことが可能だ。
俺らの一族にも解いた奴ら、極少数だが居るさ。
難儀
おめえらみたいな崇め奉るほうが珍しいんだからよ。
日の元は祟からさ。
崇め、祟られるな。
それが基本だっつうのによう。
こいつらは忌み嫌われ続けたから、こうなっただけ。
腐らなかったのは育ての親が強いからだろ。
ふん、今だこのような呪いが蔓延るとは縁のない世の中だ。
徳があるから不もあるもんだろ。
「呪い…」
言語変換能力を用いずに呟いた言葉。
今先ほどの聞こえてきた声は鳴りを顰めていた白虎と牛鬼女王のものと見られる。
だがその一言に反応したのは他でもないメアリーさんだ。
「Noloi、ノロイ、呪い、カースのことでしょうか。
私には過去に現代医療では特定不可能と言われた傷がございました。
切除しようにもあまりにも大きく分厚く、傷というにはあまりにも早い成長速度をもったケロイド、鉤爪でした。
そして、書物では対処できず、祈祷という不可解なモノを用いてやっと治療できたのです。
既に、その残滓は無くなっていると言われましたが、あなたにはなぜその言葉が出たのか、お話しすることはできますか。」
「うーん、そこのミウスさんがその手の人でね。
僕もここ最近、呪いというものにかかっていたらしく、その手のことには敏感になっていると言われたよ。」
ミウスさんには合図を出せば、口裏を合わせてくれるだけの信頼がある。
俺に好かれたいという絶対的な信頼が。
クズの思考だが、これは使わせてもらう。
一応異世界ガイドブックの規約的に微妙なところらしいから、信頼云々の前に合わせてくれないと困るけどね。
「ミウスさんが…ではまた時間のある時にでもお聞きいたします。」
「すまないな、幹くん。
メアリーが感情的になるのが久しぶりなもので、君に対しても傷つけてしまった。」
君は魔術師になってしまったんだね。
メアリーにはその手のものには喉から手が出るほど欲しいものがあった。
今は消失したが、まだあると信じている奴らもいる。
そいつらから守ってくれると助かる。
話している最中に不意にティースプーンを用いて砂糖を入れる。
茶の揺れる波紋と瞬きを用いた3言語同時使用モールス信号会話。
並列思考を用いていた、他の俺たちが聞いてやっとわかった内容。
これをできると信じて、話すことの人はじいちゃんクラス、もしくはそれ以上の戦場を潜ってきた戦争屋ではなく。
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