オタク草食系男子は超肉食ヤンデレ宝石令嬢に美味しくいただかれます～純愛から狂愛へダイヤモンドの瞳は狙った獲物を逃さない～

芝生（イネ）の花言葉は「神聖」2

「なんか2人とも姉妹見たいね」

夏目さんが蒼汰の思ったことを代弁してくれた。

「「「「え？」」」」

どうやら思っていたのは夏目さんと蒼汰だけだったらしい。

「一応私には年の離れた従姉妹がいるのだけれどもその二人が丁度そんな感じなのよ。来夢さんがお姉さんで玲奈さんが妹って感じかな」

「私がお姉さん？」
「私が妹……」

片や拳を掲げ、片や項垂れる。
男兄弟ではよく見る光景かもしれない。
兄が活発な人物でよく親に怒られていたりすると弟はそれを見て学習するため上手く生きようとするため比較的外面は大人のように見やすい。
（この場合の外面とは容姿ではなく、外向けの動き方のこと。部屋が片付いてなかったり家での出来事は基本カウントしない）
年下という生き物は経験が内容で経験を見ていることが多い。
それを学習し活かすかは本人の考え方次第なのだが……

来夢さんはいじめられていたことも相まって上手い生き方を模索してきたのだろう。

「来夢さん、頑張ったんだね」

ヾ(・ω・*)なでなで

やはり姉のような妹、そんな家族愛の表現が似合う来夢さんだった。

「ぐ……」
「ほら見なさいあれが淑女というものよ」

実例がその場に居ては反論のしようがないがそれであきらめてくれたら苦労しないのがエリクソンさんの血である。

「こうなったら、最終手段です」

胸元からコンビニで子どもから聞かれたら答えに困る商品1、2を争う液体を掲げた。

凄《・》　獣《・》

「玲菜ちゃん、それを女子高生が買うのはどうかと思うよ」
「玲菜、あなたという子は……」
「玲菜さんそれはちょっと……」

奥様ンズはドン引きである。
それもそうだ。JKが精力剤を持ってくるなんてどこのエロ漫画か小説くらいのものである。

「それ、自分で飲むの？」
「フハハハ、来夢さんあなたは馬鹿ですか！この私がそんな粗末なことをするわけがありませんよ」

ものすごい白と青のプライドが無茶苦茶高い某有名一族にして悪の帝王様に見える口調で言っていた。
甘夏さんは怒っていても精々ヤンデレ化するくらいのものだったのにこんな漫画キャラのような発言をすることはなかった。

「もしかして甘夏さん……」
「……ッ！」

甘夏さんは思わず目を見開いてしまい、今までの行動がなかったことのように顔を赤く染め上げ顔を隠しながらしゃがみ込んだ。
この様子に春菊さんは淑女にあるまじき様子で口をあんぐりと開けていた。
葵さんと夏目さんに関しては……

「若いっていいわね」
「そうね、好きな人のことならなんでも知りたいし共感したくなる…青春ね」
「独占欲がいくら強くても相手に合わせようとする努力を怠らないのは良いことだし来夢も危ういかしらね。まあでもあの子はどんな形であれ蒼汰君と一緒に居られればいいっていう子だから結ばれることはないかもしれないわね」
「確かに来夢さんは蒼汰君になら都合のいい女にでもなっちゃいそうな勢いよね。心配だけど蒼汰君の今までの話や性格を見る限りではそんなことはしないだろうけど……」

なんとまあ、恋バナをお菓子に優雅に紅茶を飲んでいらっしゃる。
葵さんはまだわかるが夏目さんも良いところのお嬢様なのか一つ一つの所作が綺麗である。
ティーカップを最小限の音しか経てずに紅茶を飲む姿は有名画家の絵の題材にでもなりそうだった。

「蒼汰君」
「あ、来夢さん」
「私とは結婚しないでもいい。でも偶にでいいから一緒に遊んで」
「う、うん」
「蒼汰さん」
「甘夏さん復活したんだ」
「私は蒼汰君に２次元というカテゴリーを教えていただきたいのですが……」

来夢さん、甘夏さん双方に上目遣いをされた蒼汰はどうしたものかと辺りを見渡す。

「あの玲菜が淑女のように……陰で努力しているのはわかっていたけれどそれをさらけ出す前にばれたからそのままあどけない好意を見せつつ教えを乞う……」
「春菊さん、あれは紛れもない本心からくるものですよ」
「葵さんの言う通りですよ。私の娘、秋芽も学校で刺繍を習った時なんか私に見せないように必死で隠しながら部屋でしていて思わず私がおせっかい焼きたくなっちゃって部屋に入ったら拗ねそうになりましたけど私に習いに来ましたもん。それでプレゼントしてくれた時は悪いことしちゃったと思う反面、秋芽は私に綺麗に作ったものをプレゼントしたかったんだなと思いましたもん」

娘の成長を実感する運動会を撮影しに来たレフ眼もったお父さんみたいな感じになってるんだけど……
（レフ眼：最近の運動会とかで見る人は少なくなったレンズの大きいカメラの愛称で画質がかなり良く撮れるため人気のある古参のカメラ。しかし最近はスマホのカメラもかなり高性能になり保存方法などもレフ眼はSIMカードが必要なのに対してスマホはケーブルさえ合えばパソコンに繋がるため一般市民からその脚光を浴びることは少なくなりつつある）

「えっと玲菜さん、私が教えるよ？」
「……そうですね。来夢さん宜しくお願い致します」

今、かなり苦渋の決断を迫られた顔をしていたのは気のせいだろうか……