オタク草食系男子は超肉食ヤンデレ宝石令嬢に美味しくいただかれます~純愛から狂愛へダイヤモンドの瞳は狙った獲物を逃さない~

スライム道

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キャッツアイの石言葉は「洞察力」2

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蒼汰さんの家に遅れて入ると来夢さんはさっそく朝食の準備をしていた。
自前なのか可愛らしい猫のがプリントされたエプロンの紐を結ぶ姿はおせっかいな幼馴染みを思わせる。
実際幼馴染なのだから質が悪い。

「その猫のエプロンは?」
「これは蒼汰君のお義母さんに縫ってもらったエプロン。私が蒼汰君のお母さんみたいな大きいエプロンが欲しいって言ったらくれたものだよ」
「小さい時に蒼汰さんのお義母さんに……」

つ、強い、これほどまでに好意を持った幼馴染とは強いのか

「蒼汰君と会った時の私の身長は140センチだったしそれから一切成長しなかったけどこれが今でも使えてるから嬉しいよね」
「そうですね子どもの時のモノを変わらず使っていられるのは嬉しいですよね。私も父から貰ったこの時計を今でも使っていますしそれでも嬉しいのに好きな人のお義母さんから貰った物なら猶更ですよね」
「好きな人のお義母さんから貰った物ならね」

これは牽制しあっていると第三者の目から見て捉えていいのだろうか?
互いに互いが恋した人物の母親をお義母さんと呼び合う精神攻撃にも捉えられる。
もちろん発音だけで判別することはできないだろうが二人は感じ取っていた。

実際、コイツ、結婚も済んでないのにお義母さんと呼んでいると互いに威嚇しつつ自分の強みを見せながらもどちらが先に戦いのゴングを鳴らすか牽制しあっていた。

女の戦いはいつもチクチクとした牽制から始まり陰湿な戦いに終わる。
風の如くすばやく動き、林の如く静かに構え、火の如く瞬く間に侵略す、山の如く動かない
一瞬たりとも気を抜いてはならないのは女の闘い。

しかしここでドンパチしては二人の破滅の未来しか見えないため一先ず休戦することにした。

「とりあえず野菜を切ったりするのは手伝いますよ。私も来夢さんの和食の作り方が気に成りますし」
「うん、私も玲菜さんが覚えた世界の料理も気になるから教えてくれる?」
「蒼汰さんに食べさせるついでならいいですよ」
「もちろん。蒼汰君が最優先だもの」

なんと献身的な女子なのだろうか。
私自身、蒼汰さんをものにできるように蒼汰さんの情報を集めてこそいるが、自分自身の性格は自己分析では蒼汰さんを振り向かせるには足りないと感じている。
それこそ蒼汰さんにピッタリな性格はたった今覚醒した多少の独占欲もありつつパートナーへの理解もある来夢さんのような性格だ。
むしろ全男性にとっての理想的な男性と言っても過言ではない。

「一つ聞いていいですか?」
「何?」
「今まで貴方のことを蒼汰さんをモノにするための脅威であることは認識していましたがこれほどまでに蒼汰さんの好みになる事は容易ではなかったはずです。長い年月貴方を動かし続けた原動力は蒼汰さん以外にもあると私は踏んでいます。この予想は当たっていますか?」

私はどうにも長い年月たった一人のために人生を捧げるという行為が疑わしかった。
このような行動は通常、教育による洗脳でしかありえない、それ以外にありえてはならない代物だと確信していた。

ここでいう教育による洗脳とは宗教観点、学習観点、親からの刷り込みなども該当するものとす。
アインシュタインの言葉に常識とは18歳のまでに集めた偏見のコレクションであるという言葉がある。
哲学を齧ったことのある人ならば一度は聞いたことのある言葉だ。
即ちこの偏見のコレクションの収集に働きかける人物が複数居るときに起こる現象ともとれる。
もちろんこの偏見のコレクションを改善する方法もある。
自問自答行為がその代表例だ。
この際に哲学を用いる。

「うんうん、違う。私はずっと自分に問いかけてたの」
「問いかけ?」
「そう、私にとって一番の幸福は何だったのかを」
「それが……」
「蒼汰君を支えること」

一体何を持ってその答えに行き着いたのか。
常人には理解できない思考かもしれない。
自分だって理解できそうでできない、曖昧な答えしか出てこなかった。
どれだけの自問自答をすればその答えにたどり着くのか、はたまたどのような環境に居れば歪んだ感情を持つのか。

「私は蒼汰君がいじめから助けてくれた。いいえ、いじめをものともしない精神に惹かれた。私ができないと思った生き方をやってのけた蒼汰君に尊敬してた。憧れてた。気が付いたら恋してた。でもそれ以上は望んじゃいけないと思った。だって蒼汰君が眩しすぎるから」
「……(やっぱり蒼汰さんは昔から独りだったんですね)」
「せめて陰になれるようにと思った。だって光は影があって初めて成り立つものだから。でも……玲菜さんのおかげで吹っ切れた。玲奈さんみたいな蒼汰君の光に成れるようになりたいと思った」
「……そうなんですね」

私はこのどうしようもなく可哀そうで羨ましくて誰よりも負けたくない人物が強く見えた。

「間違えた」
「え?」
「私は蒼汰君の隣に立つ光にも陰にもなりたい。全部独り占めしたい!」

私はとんでもない眠れる獅子を起してしまったのかもしれない。
だが後悔はない。
なぜなら

「これでどんな女性が蒼汰さんを選んでも悔いはありませんね」
「私はいざとなったら許嫁という切り札を切るからね」
「それはずるいですよ。それに小さいころだから契約上は保護者の同意無き場合は無効ですよ」

そのあと互いに笑いあって朝食を作りあう二人の少女の姿を蒼汰は見たという。

「来夢さん知ってましたか?猫の目を模した人工ガラスキャッツアイの石言葉は「洞察力」蒼汰さんを良く見るあなたにピッタリだと思いますよ」
「ありがとう玲菜さん」
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