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里芋の花言葉は「無垢の喜び」2
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「忍先生に持っていかれちゃいましたね」
あの後、登校時間ギリギリということもあり忍先生が生徒指導室へ彼女たちを連れて行く形で終わりとなった。
「うんそうだね」
「ねえ忍先生って誰?」
「あ、ごめん来夢さんは忍先生の事知らなかったよね。忍先生は僕らの担任で見ての通り理系の先生で今は生物を担当してるよ」
「担任なんだ。それであの声は何なの?」
忍先生の引き出しに楽器の音も入っていたことは蒼汰も知らなかったが忍先生の引き出しはとても多い。
カラスの警戒声から雀を呼ぶ声、犬猫はもちろん様々な声を出せる。
ウグイスのさえずりも口笛で吹けたりするので先生というよりも山猿という印象が強い。
「一応あの人生物学者の博士号持ってるからいろんな生き物の声が出せるらしいんだけど楽器までできるとは知らなかった……」
「博士号ですか、私も持っては居ますがあの人も持っていたんですね」
「そうなんだ。博士号持っててもそこまで超人になられるとは思わないけど……」
蒼汰は来夢さんの反応を見る限りでは自分も異常な空気に慣れてしまったのかなと思いながら苦笑いを浮かべつつ「そうだね」と呟く。
甘夏さんも同様に最近は人間業ではありえない、一般的ではないことが多く起こっていたことからそれに慣れてしまい蒼汰と同じように苦笑いを浮かべていた。
「話は変わるけど甘夏さんも博士号を持っているんだ。けどなんで高校に通おうと思ったの?」
「あーそれは母の影響もありますし仕事も一段落して落ち着いたので何か楽しみが欲しいと思って日本の高校に入学しただけですよ」
「へえ玲菜さんのグループはうちのグループでもある程度関りがあるから知っていたけどそんな経緯があったんだ……あ、じゃあまたお昼休みに」
「うん勉強頑張ってね」
「ええ、その間に蒼汰さんを私のものにしますので」
来夢さんも重ね合わせるように話し込んでいると別の校舎に来たためここで別れる。
とは言ってもここまで来たら蒼汰たちのクラスもすぐそこだ。
「よ、カップル」
「なんだよ科夫、俺と甘夏さんはそういう仲じゃないって……」
「そうですよ科夫さん私は蒼汰さんの通い妻です!」
「いやそれ勝手に甘夏さんが俺の部屋に入ってきてるだけだからね」
甘夏さんがメディアを歪めようとしていたので正そうとするが……
「おいおいマジかよ。とうとう蒼汰にも春が来たのか、俺は蒼汰がこのまま独身を貫いて独身貴族に昇格するんじゃないか不安だったがもう通い妻がいるなら将来安泰だな」
「だから科夫、甘夏さんは通い妻でも何でもないから。大家さんとただの住民の関係だから」
「嗚呼なんということでしょう。蒼汰さんは私のことを都合のいい女としか思っていないのでしょうか、無理をしなくていいんですよ蒼汰さん。あの口だけ許嫁の来夢さんのことなんか忘れて私と永遠に一緒に暮らしても」
「来夢?もしかして入学してすぐに音楽関係の部活で引っ張りだこの山羽楽器の社長の娘にして音楽コンクールの様々な楽器のソロ部門で続々と賞を取っているっていうあの来夢さんか?」
流石科夫といったところか一年に関しても情報が早い。
それとも蒼汰が疎いだけか?
二次元にしか興味ないオーラを漂わせている蒼汰は見ての通り校内の情報に疎い。
かと言って社会の情報に疎いわけではなく時事などはしっかりと見るため社会人とは話が合いやすい。
「来夢さんってそんなに有名なの?」
「有名も何も同人音楽とかも偶に作成、販売しているからSNSのフォロワー数も普通に万超えてるし下手な芸能人よりも著名人だぞ」
「へえ、知らなかった。けど同人音楽も出しているのか……」
「ああ、その歌声はとてもオペラベースなんだけどアニメ調な音楽にも調和してて知る人ぞ知る音楽って感じだけどな。うちでも仕事をしないかと連絡してみたこともあるんだが趣味でお金は貰いたくないって理由で断られたんだけどな」
そういえば最近のモンアドワールドの有料アップデートでは讃美歌のような音楽を入れていた。
そのメンバーに選ばれたのだから名誉なことではあるがやはり彼女は趣味は趣味、仕事は仕事で公私混同はしたくない性分なのだろう。
甘夏さんと違って会社の金を使うことがないし……
「蒼汰さん、私は自分の会社のお金は使っていませんよ」
「え?」
「え、甘夏さん自分の会社持ってるんだ。流石海外は違うね」
心読まれた?
そんなに顔に出ていたかと思うが科夫も蒼汰の心を読んだことをツッコまなかったので恐らく顔に出ていたのだろうと深く追及することはせず科夫の話に持っていくことに……
「蒼汰さんの顔に出ているわけではありません。愛の力です!」
「まあ蒼汰は顔が基本無表情だからわかりづらいけどまだ合って半年も経ってないのにわかるのは愛の力でも問題なさそうだけどな。ところで一年生の来夢さんの関係はなんなんだ?許嫁とか言ってたけど?」
持っていくことはできなかった。
科夫のところに下手に話すと写真部に伝わりかねない。
「それは昼休みにでも話すよ」
写真部は様々な陽キャ系部活との交流があるためどこから漏れるかわからないしここは来夢さん本人話してもらった方がいいと思った。
あの後、登校時間ギリギリということもあり忍先生が生徒指導室へ彼女たちを連れて行く形で終わりとなった。
「うんそうだね」
「ねえ忍先生って誰?」
「あ、ごめん来夢さんは忍先生の事知らなかったよね。忍先生は僕らの担任で見ての通り理系の先生で今は生物を担当してるよ」
「担任なんだ。それであの声は何なの?」
忍先生の引き出しに楽器の音も入っていたことは蒼汰も知らなかったが忍先生の引き出しはとても多い。
カラスの警戒声から雀を呼ぶ声、犬猫はもちろん様々な声を出せる。
ウグイスのさえずりも口笛で吹けたりするので先生というよりも山猿という印象が強い。
「一応あの人生物学者の博士号持ってるからいろんな生き物の声が出せるらしいんだけど楽器までできるとは知らなかった……」
「博士号ですか、私も持っては居ますがあの人も持っていたんですね」
「そうなんだ。博士号持っててもそこまで超人になられるとは思わないけど……」
蒼汰は来夢さんの反応を見る限りでは自分も異常な空気に慣れてしまったのかなと思いながら苦笑いを浮かべつつ「そうだね」と呟く。
甘夏さんも同様に最近は人間業ではありえない、一般的ではないことが多く起こっていたことからそれに慣れてしまい蒼汰と同じように苦笑いを浮かべていた。
「話は変わるけど甘夏さんも博士号を持っているんだ。けどなんで高校に通おうと思ったの?」
「あーそれは母の影響もありますし仕事も一段落して落ち着いたので何か楽しみが欲しいと思って日本の高校に入学しただけですよ」
「へえ玲菜さんのグループはうちのグループでもある程度関りがあるから知っていたけどそんな経緯があったんだ……あ、じゃあまたお昼休みに」
「うん勉強頑張ってね」
「ええ、その間に蒼汰さんを私のものにしますので」
来夢さんも重ね合わせるように話し込んでいると別の校舎に来たためここで別れる。
とは言ってもここまで来たら蒼汰たちのクラスもすぐそこだ。
「よ、カップル」
「なんだよ科夫、俺と甘夏さんはそういう仲じゃないって……」
「そうですよ科夫さん私は蒼汰さんの通い妻です!」
「いやそれ勝手に甘夏さんが俺の部屋に入ってきてるだけだからね」
甘夏さんがメディアを歪めようとしていたので正そうとするが……
「おいおいマジかよ。とうとう蒼汰にも春が来たのか、俺は蒼汰がこのまま独身を貫いて独身貴族に昇格するんじゃないか不安だったがもう通い妻がいるなら将来安泰だな」
「だから科夫、甘夏さんは通い妻でも何でもないから。大家さんとただの住民の関係だから」
「嗚呼なんということでしょう。蒼汰さんは私のことを都合のいい女としか思っていないのでしょうか、無理をしなくていいんですよ蒼汰さん。あの口だけ許嫁の来夢さんのことなんか忘れて私と永遠に一緒に暮らしても」
「来夢?もしかして入学してすぐに音楽関係の部活で引っ張りだこの山羽楽器の社長の娘にして音楽コンクールの様々な楽器のソロ部門で続々と賞を取っているっていうあの来夢さんか?」
流石科夫といったところか一年に関しても情報が早い。
それとも蒼汰が疎いだけか?
二次元にしか興味ないオーラを漂わせている蒼汰は見ての通り校内の情報に疎い。
かと言って社会の情報に疎いわけではなく時事などはしっかりと見るため社会人とは話が合いやすい。
「来夢さんってそんなに有名なの?」
「有名も何も同人音楽とかも偶に作成、販売しているからSNSのフォロワー数も普通に万超えてるし下手な芸能人よりも著名人だぞ」
「へえ、知らなかった。けど同人音楽も出しているのか……」
「ああ、その歌声はとてもオペラベースなんだけどアニメ調な音楽にも調和してて知る人ぞ知る音楽って感じだけどな。うちでも仕事をしないかと連絡してみたこともあるんだが趣味でお金は貰いたくないって理由で断られたんだけどな」
そういえば最近のモンアドワールドの有料アップデートでは讃美歌のような音楽を入れていた。
そのメンバーに選ばれたのだから名誉なことではあるがやはり彼女は趣味は趣味、仕事は仕事で公私混同はしたくない性分なのだろう。
甘夏さんと違って会社の金を使うことがないし……
「蒼汰さん、私は自分の会社のお金は使っていませんよ」
「え?」
「え、甘夏さん自分の会社持ってるんだ。流石海外は違うね」
心読まれた?
そんなに顔に出ていたかと思うが科夫も蒼汰の心を読んだことをツッコまなかったので恐らく顔に出ていたのだろうと深く追及することはせず科夫の話に持っていくことに……
「蒼汰さんの顔に出ているわけではありません。愛の力です!」
「まあ蒼汰は顔が基本無表情だからわかりづらいけどまだ合って半年も経ってないのにわかるのは愛の力でも問題なさそうだけどな。ところで一年生の来夢さんの関係はなんなんだ?許嫁とか言ってたけど?」
持っていくことはできなかった。
科夫のところに下手に話すと写真部に伝わりかねない。
「それは昼休みにでも話すよ」
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