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閑話 ホオズキの花言葉は「あなたを誘惑している」2
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蒼汰が玲菜と来夢に迫られているころ科夫は家で婚約者を待っていた。
「まだかなまだかなまだかなまだかな……」
「科夫、いい加減そのまだかなって叫ぶのやめなさい。忍ちゃんと今日ヤることヤるんでしょう。そんなふうに期待ばっかりしてたら引かれるわよ」
「お、おおおひゅきゅりょ!部屋に入るならノックぐらいしろよ!!」
「したわよそれも10回もノックしてから大きな声でも返事が来ないんだからお父さんの若い時とほんとに似過ぎよ」
「んだよ。良いじゃねえかよ、初めてのカノジョなんだぜ」
「ったく乙女心が解ってないね」
「乙女って歳か?」
「あんたこれから自分の家事は全部やってね」
乙女に年齢は関係ないのだと言わんばかりの女王っぷりだ。
まあ家庭内ヒエラルキーなんて大抵専業主婦、主夫が強いのだが……
「けど親父がね」
「仕事ではしっかりしてるけどエロゲばっかやってたからね。むしろ現実の女子が怖かったもんだよ。告白もプロポーズも全部私だったからね」
「なんか想像できたわ」
生粋のオタク属性に言わせてみれば3次元はクソである。
自分の都合のいい世界にひたすら現実、外界から離れることができるから楽しいのだ。
自分が現実に適応してないのではなく現実が自分に適応すべきというようなわがまま理論に至ることも良くある。
「あの人はね、学生のころから髭も濃かったしおっさん面だったからモテなかったもんだよ。私が告白しても絶対美人局かなんかだとかって言って断ったしね」
「ある意味親父らしいというか、ボッチオタクらしいというべきか」
「あんたもそんな大人になるんじゃないよ。忍ちゃんが居るとは言ってもそんな童貞丸出しの状態じゃお父さんみたいに尻に敷かれるよ」
「それはもう尻に惹かれてる気がするから大丈夫」
「ったくうちの男どもときたら……」
母は呆れ果てた様子で俺を部屋を出て行った。
ピンポーン
タイミングよくインターフォンが鳴った。
「あら、忍ちゃんこんばんは。科夫が待っているわよ」
「こんばんは、いつもいつもお世話になっています沙奈絵さん」
「しーちゃん!」
「フーちゃん学校振り、嬉しいのは分かるけど学校で隠す気なかったよね」
「う」
「ほらほら忍ちゃん、科夫を叱るのはベットの中か部屋の中にして早くおあがり、ご飯も食べてって」
「そうですね、ベットでよーく躾けておきます。それと夕食をごちそうになりますね」
「……」
「ほら科夫もそんなところでぼーっとしてないで行くよ」
「おふくろ」
「何さ」
「女って強いんだな」
「今更さ」
朝になると布団の中身は鬼灯のように中身が無い2人の野郎が居たという。
「おはようフーちゃん、私は学校に行くからきちんとバレないようにね。いざとなれば校長や理事長を脅すけど生徒に伝わると厄介だからね。きちんと自分を律すること!いいね」
「……は…い」
「ごめんね昨日張り切りすぎちゃって、その分休日はきちんと愛し合ってあげるから」
そういうことをするから干からびるのだと思うがそれはそれで気持ちいいから良しとする。
何とか身体に鞭を撃ち学校へ行く準備をして朝食を取ろうとしたら
「情熱の~あか~いば~ら~」
無茶苦茶つやつやのオカンが居た。
「おふくろおはよう」
「おはよう♪科夫」
「親父は?」
「今日は休みだからまだベットに居るわよ」
そういって朝食を準備してくれたのだが……
「今日はなんかいつもに増して健康に良さそうな朝食だな」
シジミの味噌汁に干しニンニク、卵黄たれの納豆、雑穀米
どれも消化に良く必須栄養素の多い食品だ。
そして大抵こういう朝食の時は……
「お…はよ……う、科…夫……」
「親父……」
生きる屍にしか見えない親父が起きてきた。
「アナタ、朝食はきちんと食べてね」
精力剤にも似た食事構成の朝食の場合はいつも母が生き生きとして肌を艶々させている。
そして親父は某ウイルスゾンビのようにグロテスクなうめき声をあげて疲労困憊な様子だ。
これが両親が性活をした後に見られる根田家恒例の朝見れる光景である。
だが今回は自分もゾンビの一人だった。
「いいか科夫、女には逆らうとロクなことが無いぞ。しかも恋した女に関わる時は要注意だ。どんな攻撃をしてくるかわからん。特に蒼汰君のような男子は女子に眼をつけられるとおっかないぞ。ああいう自分のこだわりを持っている私のような男子は一度女に惚れられると隙が生まれれば一気に喰われるぞ。まだ科夫のように最初から相思相愛なら良いがそうでない場合は愛するまでとても困難が待ち受けるだろう」
「親父……」
俺は静かに人差し指を親父の後ろに向けた。
「まだまだ、絞り足りなかったようだね」
親父は絶望的な表情をしていた。
だが親父の言う通り親友の恋路は実際とても険しかった。
親父の言っている現状に加えて三角関係、それに蒼汰の取り巻く環境がさらなる困難を導きだそうとしている予感が俺には合った。
「まだかなまだかなまだかなまだかな……」
「科夫、いい加減そのまだかなって叫ぶのやめなさい。忍ちゃんと今日ヤることヤるんでしょう。そんなふうに期待ばっかりしてたら引かれるわよ」
「お、おおおひゅきゅりょ!部屋に入るならノックぐらいしろよ!!」
「したわよそれも10回もノックしてから大きな声でも返事が来ないんだからお父さんの若い時とほんとに似過ぎよ」
「んだよ。良いじゃねえかよ、初めてのカノジョなんだぜ」
「ったく乙女心が解ってないね」
「乙女って歳か?」
「あんたこれから自分の家事は全部やってね」
乙女に年齢は関係ないのだと言わんばかりの女王っぷりだ。
まあ家庭内ヒエラルキーなんて大抵専業主婦、主夫が強いのだが……
「けど親父がね」
「仕事ではしっかりしてるけどエロゲばっかやってたからね。むしろ現実の女子が怖かったもんだよ。告白もプロポーズも全部私だったからね」
「なんか想像できたわ」
生粋のオタク属性に言わせてみれば3次元はクソである。
自分の都合のいい世界にひたすら現実、外界から離れることができるから楽しいのだ。
自分が現実に適応してないのではなく現実が自分に適応すべきというようなわがまま理論に至ることも良くある。
「あの人はね、学生のころから髭も濃かったしおっさん面だったからモテなかったもんだよ。私が告白しても絶対美人局かなんかだとかって言って断ったしね」
「ある意味親父らしいというか、ボッチオタクらしいというべきか」
「あんたもそんな大人になるんじゃないよ。忍ちゃんが居るとは言ってもそんな童貞丸出しの状態じゃお父さんみたいに尻に敷かれるよ」
「それはもう尻に惹かれてる気がするから大丈夫」
「ったくうちの男どもときたら……」
母は呆れ果てた様子で俺を部屋を出て行った。
ピンポーン
タイミングよくインターフォンが鳴った。
「あら、忍ちゃんこんばんは。科夫が待っているわよ」
「こんばんは、いつもいつもお世話になっています沙奈絵さん」
「しーちゃん!」
「フーちゃん学校振り、嬉しいのは分かるけど学校で隠す気なかったよね」
「う」
「ほらほら忍ちゃん、科夫を叱るのはベットの中か部屋の中にして早くおあがり、ご飯も食べてって」
「そうですね、ベットでよーく躾けておきます。それと夕食をごちそうになりますね」
「……」
「ほら科夫もそんなところでぼーっとしてないで行くよ」
「おふくろ」
「何さ」
「女って強いんだな」
「今更さ」
朝になると布団の中身は鬼灯のように中身が無い2人の野郎が居たという。
「おはようフーちゃん、私は学校に行くからきちんとバレないようにね。いざとなれば校長や理事長を脅すけど生徒に伝わると厄介だからね。きちんと自分を律すること!いいね」
「……は…い」
「ごめんね昨日張り切りすぎちゃって、その分休日はきちんと愛し合ってあげるから」
そういうことをするから干からびるのだと思うがそれはそれで気持ちいいから良しとする。
何とか身体に鞭を撃ち学校へ行く準備をして朝食を取ろうとしたら
「情熱の~あか~いば~ら~」
無茶苦茶つやつやのオカンが居た。
「おふくろおはよう」
「おはよう♪科夫」
「親父は?」
「今日は休みだからまだベットに居るわよ」
そういって朝食を準備してくれたのだが……
「今日はなんかいつもに増して健康に良さそうな朝食だな」
シジミの味噌汁に干しニンニク、卵黄たれの納豆、雑穀米
どれも消化に良く必須栄養素の多い食品だ。
そして大抵こういう朝食の時は……
「お…はよ……う、科…夫……」
「親父……」
生きる屍にしか見えない親父が起きてきた。
「アナタ、朝食はきちんと食べてね」
精力剤にも似た食事構成の朝食の場合はいつも母が生き生きとして肌を艶々させている。
そして親父は某ウイルスゾンビのようにグロテスクなうめき声をあげて疲労困憊な様子だ。
これが両親が性活をした後に見られる根田家恒例の朝見れる光景である。
だが今回は自分もゾンビの一人だった。
「いいか科夫、女には逆らうとロクなことが無いぞ。しかも恋した女に関わる時は要注意だ。どんな攻撃をしてくるかわからん。特に蒼汰君のような男子は女子に眼をつけられるとおっかないぞ。ああいう自分のこだわりを持っている私のような男子は一度女に惚れられると隙が生まれれば一気に喰われるぞ。まだ科夫のように最初から相思相愛なら良いがそうでない場合は愛するまでとても困難が待ち受けるだろう」
「親父……」
俺は静かに人差し指を親父の後ろに向けた。
「まだまだ、絞り足りなかったようだね」
親父は絶望的な表情をしていた。
だが親父の言う通り親友の恋路は実際とても険しかった。
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