カピバラ異世界温泉郷~勇者は女湯を覗いていたので出禁にしたら、戦争仕掛けてきてカピバラが魔王と呼ばれるまで~

スライム道

文字の大きさ
4 / 13

e/j 4

しおりを挟む
「か、課長!大丈夫ですか!」

酷く頭が割れるように大ぶりの柵杭を打つようなハンマーで叩かれるような痛みと
いっそ殺してくれと思うくらいの激痛がが身体中で襲われていた。

真っ先に実さんが寄り添ってくれるがそんなことどうでもいいと思えるくらいの痛みに襲われていてもう死だけを望んでいた。

《宿主の願いを確認、痛覚無効を獲得しました。続けて痛覚分離、触覚を獲得を申請……申請受理、痛覚無効触覚を獲得しました。宿主の身体に付与します。……本人賛否対応不可能により強制付与。》

痛みが治まったかと思ったら今度は寒くなってきた。
血がなくなっているのだろうか。

《宿主の状態改善の願いを確認、寒波耐性の獲得を申請、獲得しました。血液生成の獲得を申請、見送りに成りました。再申請を送ります。省エネルギー体を獲得、現在の宿主の身体では付与不可能により転生体に付与します。》

「青磁お兄ちゃん!口から血が、血が、死なないで!」

なんだ、実さんが俺のことを青磁お兄ちゃんだって?死に際に幻聴でも聞こえてるのか?
いやいや、俺は結婚せずに独身貴族を謳歌するって決めた男だぜモテたいなんて願望有る筈がねえさ。
ってことは現実か…………告白したい人って俺!?
いやだ、現実逃避したい。
温泉にでも入ってまったりしたい!

《宿主の意思を確認、現実逃避を付与、温泉関連スキルを生成します。》

(なんか聞こえるんだけど、何語か解らんのだが…………)

声を出そうとしてもそもそも身体自体も動かないし何をしようにも動くことは無かった。
これぞニート生活。
半ブラックな出世街道だったが最後の最後で休暇をもらえたようだ。
まあ片道切符だからもしあの世があるならいろんな人と交友を持ちたいな。
いろんな言葉を話してみたい。
子どもの時みたいに可愛いって言われたい。

《宿主の意思を確認、伝達変換能力を付与、休憩スキルを獲得、魅了《可愛い》を取得完了。》

そして別嬪な姉ちゃんとウハウハしてえな。

「青磁おにいちゃんに浮気者~!」

実さんや残念だったな。俺はあなたから告白も受けてないしフルスイングをかまさせる道理もないのだよ。

《宿主の意思を確認、スキル未練を獲得。》

未練ってよお。
あ、やべ忘れてた。
最後の最後で振り絞った言葉は

「悪い、冷蔵庫の牛乳消費期限切れてるから捨てといて。」

「お兄ちゃんの馬鹿ぁ~。」

「流石課長、最後の最後まで裏切らない発言っすね……。」

《宿主の願望を検出しました。情報リソースより検索、消費期限の解除スキルと断定。
 スキルを検索、該当データ無し。
 代行手段として時間操作、空間操作を獲得、統合、時空操作に変化しました。
 宿主の認知可能領域不足を確認、追加、認知、演算系スキルの検索、該当データ1件、王の付与を行います。》

最後もしょうもないし最後の言葉もしょうもない。
部下にも呆れられてもしょうがあるまい。
つまらない人生だった。

今一度生を受けられるのなら人としていきたい気持ちがある反面他の生も受けてみたいと思う反面いろいろあるな。
輪廻転生を信じるなら俺は何に生まれ変わるのやら。

「あと実さん…………。」
「な゛でずが……。」

ああ、ボロボロに顔を崩してせっかくの美人が台無しだ。

「普通に数年越しの告白は重いんで却下します。っつうわけで幸せになってくれ…………。」

最後の最後に立つ鳥跡を濁さずにしたかったんで冷たく突き放した。

「…ん…………っこ………ょ!」



最後の声は聞こえぬままにあっけなく人生のカーテンを閉じた。

なんの変哲もない転勤族の家庭に生まれて平凡だが確かな出世街道を踏みしめる人生のはずだったカーテンは何者かによって誤って閉じられてしまった。
おかげで童貞のまま生涯を終える厄年に告白を受けそうになるもそれすらも叶わず生物としての寿命を終えた。

間違ってカーテンを閉めてしまった人物は慌てて開けようとしたが既に閉まってしまったカーテンは燃え始め無くなってしまう。
だから別のカーテンを用意することにした。
そしてもっと違う景色の見えたはずの窓にかかっているカーテンにも少しだけ細工をすることにした。
そうほんの少しだけ今しがた作ったカーテンを風に当てるようにほんの少しだけ二つの窓を開けた。

《以上の情報を転生体に送ります。では良い鼠生を。》

さっきから聞こえる声はなんだ?

橋本 青磁 42歳 1(世界)1月9日 午後8時16分 36秒 10ms死亡
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...