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チョコレート_2
しおりを挟む「いやー、関西の人みんな面白いから、関西弁ってだけで面白い配信者と思われるでしょ?」
「いやそれは人によるやろ」
「あ!ツッコミいただきましたー」
「でもやっぱ、あかりんすごい話しやすいよ」
「いや、きょーちゃんが8割しゃべってるやん」
「うわっ男性ファンからのきょーちゃん呼び、グッと来る!」
京獄が、突然立ち上がり、腕をバタバタさせながら無駄に高く飛び跳ね始めた。灯が「何が起きているかわからない」顔をしていると、今度は改まって正座する。
「さて、本題に入りましょう。この、ファンからもらった大事なチョコさん達ですが、俺は甘い物が苦手なので食べきる自信がありません」
そのうちの一つをランダムにとって、キュッと抱きしめる。
「でも、それぞれの想いがこもっているチョコを残すわけにもいきません」
大げさに頭を振り、しばらくしたのち灯のほうへ顔を勢いよく向ける。あまりの勢いに、灯がびくっとなった。
「そこで、あかりんの出番です」
だらららら、と、セルフドラムロールを始める京獄。
「じゃん!俺と一緒に!チョコ食い尽くしましょう企画!」
灯はとりあえず、まばらな拍手を送った。
「あーもう無理ー」
「最終全部同じ味やった」
「確かに!でもどのチョコも美味かった」
腹をさすりながら、次々と床に寝転がる。「たまに来るせんべい的なのでだいぶ助かったね」と言う京獄に同意しながら、ちら、と確認した時計の針は、3時を指していた。
「苦手言うてたのに、俺と同じくらい食ったんやない?無理せんでもよかったのに」
「だってせっかくファンの子がくれたから」
京獄は、動画を回しながら食べていた。最初に箱を持って決め顔をし、一つか二つ食べる様子を撮って、次の箱を選ぶ。それを30回ほど繰り返した。今日中につなぎ合わせて動画にするらしい。
「……そういうところか」
「ん?何?てか今日あかりん泊まっていきなね」
「えっ、さっき会ったばかりの人間泊めたらあかんよ」
「あー、ここ、編集手伝ってくれる人とかその友達とか彼女とか、コラボ相手とか普通に泊まってるから心配しないで」
「いや、めっちゃ心配やわ。きょーちゃんの守りガバガバやん」
「いや、君の方が心配なんですが」
京獄がぼそりとつぶやく。
「え?」
「ううん、とにかく気にしなくていいから!洗い立てシーツの布団もあるし、歯ブラシとかいろいろ、お泊りセットもあるよ。ビジネスホテルか!って言われるくらい」
「ほな、1日だけ……ありがとう」
灯が風呂場で「ビジネスホテルや」と突っ込みを入れるほど、本当にいろいろそろっていた。タオルから始まり、簡易パジャマに至るまでだ。どういう経緯でこうなったかは不明だが、度が過ぎる「お・も・て・な・し」精神にはクリステルもびっくりだ。
それぞれ寝支度を済ませ、それぞれ胸に(メンタルではなくフィジカル的な)もやもやを抱えながら、眠りにつくことにした。
「じゃ、おやすみーあかりん。また明日!」
「うん、ほんまありがとう。おやすみ」
京獄は、隣の部屋で灯が布団に潜り込む音を確認してから電気を消した。
(今日は多分大丈夫だとして、明日1人にしとくの不安だ……あっ。適任がいる)
京極はスマホでアプリを開き、”適任”にコンタクトを試みた。
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