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アーリーアーリーモーニング
しおりを挟む午前8時。京獄は、久しく嗅いでいない日本の伝統的な発酵食品一つ、味噌の香りで目が覚めた。
「あかりん、おっはー」
「おはよう。もうそれ誰も使ってへんで」
軽快なリズムでツッコミを入れた灯の手元には、白い皿の上で黄金に輝く卵焼きがあった。テーブルを見てみると、わかめの味噌汁、パックご飯、カット野菜のサラダが並んでいる。
「すごいこれ、あかりんが作ったの?」
「一宿一飯の恩です。あ、食材勝手に使ったけどごめんね。食べれるならどうぞ」
「ありがてぇー!一飯っていうか、十チョコだったけどね」
一人分しかないことに気づき、灯に問うが「チョコがそこまで来てるから」とのことなので遠慮なくいただく。
「えー!すごいうまい!この味噌汁とか、心に染みるわぁー。いいお母ちゃんになれるよ」
「お母ちゃんて」
「じゃあ、いいお嫁さん?」
京獄が発した「嫁」という単語に、聞き覚えのある声が重なる。また、頭の中に影が落ちてきたが、うまそうに卵焼きをほおばる京獄を見ていると、重ねて思い出すことが不純な気がしてやめた。
「……どっちも無理やろ」
「あははっ、ツッコミいただきましたー」
京獄が、「あ、時間やばい!」と、慌てて味噌汁を流し込み、丁寧にごちそうさまをする。灯がその一連の様子を眺めていると「そうだ」と、後片付けを頼むみたいな軽さで京獄が言った。
「晩ごはんも作ってくれないかな?」
あからさまに困惑している灯に、京獄は慌てて付け足す。さらに逃げ道をなくすため、いそいそと身支度をしながら。
「俺今日、昼も食べられないくらい忙しくて、晩ごはんはゆっくり家で食べたいんだよね」
そんな京獄の小細工が効いた。灯は状況を察し、とても自信のない感じで「俺でよければ」と頷いた。
「助かる!夜8時には帰るね!あ、食材とか自由に買って!鍵とお金ここに置いとくね」
「あ、嫌いな物とかは……」
「ないない!あ、あと今日、機材借りに配信者くるけど、あかりんのこと伝えてるから気にしないで!行ってきます!」
「いってらっしゃい……」
灯は、嵐のように去っていく京獄をただただ目で追うことしかできなかった。
一方京獄は。
『え、お前は早すぎ!2時間前じゃんw』
『いや~ちょっと張り切りすぎちゃいました~?』
駅で待ち合わせていた相手を困惑させた。
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